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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは追われる運命ってね!

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67話

「いや、俺の一張羅どこにあるんだよ?」

「何を探してやがんだ?」

「いやあ、ちょっとね」

「服などを気にする前に、魔法石がどこかを何かスキルで探してはくれませんかね?」

「無理だろ。というか、そういうことはピエロの見た目をしてる、あんたがやれよ」

「くくく、そうかもしれませんねえ」


現在、領主鄭にて俺はピエロたちと行動をともにしていた。

あれだ、昼間の敵は夜の友ってやつだ。

あ、決して卑猥な意味はないぞ!

そんなアホなことを考えながらも、俺たちは魔法石を探すために領主の家の中を走り回っていた。

かなり広いせいで、探すのにも苦労する。

って、そういえば領主が何かを言っていたな…


「なあ、関係あるかわからないが、さっき来ていた男たちが、俺に対して魔力がないから使えないと言ってたぞ」

「「!」」

「な、何かまずいことを言ったか?」

「いや、坊主に魔力がないということにも驚いたが、今はそこを気にしている場合じゃねえな」

「魔法石は魔力がなければ、発動しないものですからねえ、そんな中で魔力がないからという言葉が出てくるということは…」

「あー、なるほどな、もう魔法石が使える状態になっているってことか」

「へえ、頭の回転が速いな坊主」

「本当に、感心しますよ」

「いや、普通だと思うけどな」


こちとら前世では、独身ということもあって、いろいろな仕事のプロジェクトに常に駆り出されるくらいにはいろいろなことをやってきたせいで、次にどんなことをやるのかなんてことも先読みしてやっていかないと、仕事が終わらなくて帰れないなんてことがたくさんあった。

そのおかげで、異世界に来てもいろいろなことをできていると考えれば、いいことなのかもしれないが…

く…

社畜時代の俺が泣いている。

そんな風にして、アホなことを考えているとは思わず、二人はすぐに部屋から窓ガラスを割って外に出る。


「お、おおい、さすがに急すぎるだろ」

「まあ、坊主も気をつけろよ」

「そういうことです。こちらはすでにやることが変更になりましたので」

「だからって、俺を置いていくのかよ」

「仲間とかじゃ、ねえからな」

「そうです。魔法石を奪い合った中ではありましたけれどね」

「そういうこった」


そう言うと、二人はどこかに去って行った。

なんとなく行先がわかるが、今の俺ではやつらに追いつけないということはすでにわかっていた。


「上の服がとられるとはな…」

【バカね。ちゃんと隠しておかないから】

「仕方ないだろ、まさか捕まえてくるとは思ってなかったんだからな」

【じゃあ、どうなるって思ってたのよ】

「ほら、あれだ。ちょっと一緒にやるってやつだよ」

【あー、一瞬でも仲間になると思ってたの?】

「だってな、あのタイミングで魔法石を持って出てきたんだぞ、そこは仲間にだな」

【あー、はいはい。でも、さっきの二人組で気になったところがあったでしょ?】

「ああ、魔法石をピエロが持って行ったと思ってたけど、どうやら間違ってたみたいだな」

【そうね。あんたが勘違いをしただけ、みたいね】

「いや、ほんとにな。俺も回収をしたら、合流するか…」

【どこに向かったのかわかったの?】

「まあ、なんとなくだけどな。あれだ、湖じゃないのか?」

【魔法石が手に入ったのだから、当然よね】

「だな…」


俺は外に出ずに、屋敷の中を走る。

こういうときに、何かいいものがあるといいんだけどな。

そんなことを考えるが、いいものがすぐに見つかるわけではない。

くう、こういうときに限ってヘンタイスキルがあると便利だと考えてしまっている自分がすでに怖い。

かといって、ヘンタイな姿にならないことには、戦うこともできないしな。

いい手がないのか?

そんなときに、気づけば大きな扉の前に来ていた。


「なんだここ?」


俺は部屋の扉を開けた。

そこにあったのは箱…

一番最初に目につくようにして中央に置かれている。


「なあ、あれって」

【ちょっと、待ちなさい…まあ、何かの卵でしょうね】

「卵だと?」

【何?別に気になるなら、盗ったらいいじゃない。下着みたいに】

「おい、俺がいつも盗っているような言い方はやめてくれよ」

【ふーん、盗ってないの?】

「いや、盗っているけども…」

【だったら言わないでくれる?】

「それは、すいませんでした。って、ここにあるじゃねえか!」


そう、中央にポツンと箱が置かれていたためにあまり気が付かなかったが、どうやら壁に磔にされるようにして上着が置かれていた。

どういう置き方なんだよ。

疑問しか浮かぶことはないが、俺はついでに箱を小脇に抱えると、あるところにしまうことにすると、その場を後にしたのだった。

言っておこう、返してもらうだけだ、決して盗人ではないぞ!

そうして、ようやく外に出ると、そこには肩で息をしているバーバルがいた。


「ただし!」

「バーバル、一人なのか?」

「みんなが!」

「わかった。行こう」


俺は、バーバルと合流すると何かを言う前に、外に向かって走りだした。


「大丈夫か?」

「はあはあ、だ、大丈夫」

「で、でもなあ」

「体力がそれなりに減っても、魔力はあるから」

「そ、そうか」


でもな、バーバルが走るたびに、その豊満な胸がばるんばるんと揺れるので、俺のヘンタイスキルが発動するんだよな。

本当に、いい胸をお持ちで…

し、仕方ない。

俺は遅れそうになる、バーバルをお姫様抱っこした。


「ただしさん?」

「捕まってろよ」


戸惑うバーバルをよそに俺は、そのままの勢いで走る。

ヘンタイスキルが発動しているので、重さをほとんど感じない。

ただ、目線は走るたびに揺れる胸と前を交互に見ていたのは言うまでもない。


【ヘンタイ!】


その言葉に、俺は言い返すことができなかったのだった。

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