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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは追われる運命ってね!

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66話

「ヒメ!ヒメ!」

「うん?」

「よかった、目が覚めたのね」

「じょ、状況は?」

「わからないというところが正直なところね」

「そう…」


なんと言っていいのかわからないけれど、私はヒメを見つけることができた。

ここに来るまでに、それなりにことがあった。

ランページタウルスが去って行くまで見えなくて、いなくなった後もそこに二人はいなかった。

痕跡を探して、見つけないといけない。

そう思っていたときに、バーバルが魔法を使う。

サーチという魔法だ。

魔法使いがいるだけで、これだけ心強くなるとは思わなかった。

それのおかげで、痕跡を辿ることができ、私たちはヒメのもとへとやってこれた。

そして、ヒメを見つけて、起こした。

なんでただしがいないのかはわからないけれど、どうせヒメを逃がすために何かをやったのかな…

ちょっと格好つけてやる感じがするのが、なんとなく想像で見える。

なんとなくそんな気がする。

でも、それで自分が連れていかれるなんて…


「ふう、ただしを救いにいかないとになるわね」

「ふ…世話がやけるやつだな」

「はい、今度はわたくしが助けられる立場にならないとですね」

「ということで、起きたところすぐで悪いけど、行くわよ」

「ええ、任せて」


私たち三人はやる気に満ちていた。

やる気に満ちた私に言われて、ヒメがいいという返事をもらった私は手を貸す。

ヒメを起き上がらせると、私たちは作戦を考えながらも町の近くにきていた。


「先に話しておくわね」


そう言って、ヒメが短刀をしまっていた腰の部分から石を取り出す。


「これは?」

「もしかして、魔法石ですか?」

「え?あの変な恰好のやつに取られたんじゃなかったの?」

「取られる前に、なんとか変装のスキルで、やり過ごしたの」

「スキル…でも、あれは自分にだけ使えるものじゃ?」

「そんなことをヒメは言ってないでしょ」

「そうね」


確かに、ヒメはあのとき、変装という言葉とおかしなポーズをとっていた。

あんなポーズや言葉を発しながら姿が変わったから、普通はそう思うじゃない。

でも、そのおかげで全員が騙されたことを考えると、いい手だったと思うしかないわね。


「それじゃ、魔法石を回収はされなかったということね」

「ええ、だから魔法石をまた探しにくるタイミングで、ただしさんを助けましょう」

「そうね」


そのためにもまずはということで、町へと侵入するための経路を探す。

こういうことに詳しいのは実は、私よね。

こうみえても、修道女となるために修道院に入っていたときにはよく抜け出していたからね、

アクアは別に監視の目が多いというわけじゃないけど、あの黒服の男たちが領主の手下だと考えると、むやみに町に突っ込むというのもダメだということがわかる。

そんなときに、シバルが言う。


「昼まで待つのがいいと思いますか?」

「でも、ヒメを探すのなら、昼まで待つのがいいと思いませんか?周りを確認できますし」

「確かに、ヒメさんの言うことはわかります。でも、探すときに一番無駄なことはわかりますか?」

「えっと、無暗に探し回ることかしら?」

「そうです。ヒメさんを探すときに、無暗に探し回るというのは、時間をかなり無駄にします。だったら、どうやって当たりをつけると思いますか?」

「えっと…」


ヒメはその言葉に考えこんでいるみたいだ。

シバルは、私と違ってかなり頭がいい。

こういう戦略を考えるのも、ただしが仲間になる前から考えてくれていた。

だから、ただしと出会えたということもあるけど…

そんなシバルの作戦なのだから、考えがあるってこと。

でも、もうすぐ夜になる。

そんなタイミングで探しにくるってどういうことなんだろ?

さっきから、ヒメが言ったように、明るいうちに探すほうが簡単って思うのに…

バーバルがさっき使った、サーチという魔法も、基本的に相手の体の一部がないことには発動しないものだ。

さすがに黒服の男たちが、その魔法を使うことができたとしても、体の一部がないことには使うことができないだろう。

私たちには、昨日寝たときにヒメが枕にしていたクッションがあって、そこについた髪の毛からサーチの魔法を使ったけど、あっちはそんなことはできない。

だから、夜に…

夜といえば、初めてただしがいないタイミングで野宿になりそうね。

野宿…

もしかして!


「シバル…」

「どうかしましたか、アイラ様?」

「もしかしてだけど、野宿するときの明かりで見つけるとか?」

「さ、さすがです、アイラ様」

「まさか、そんなこと?」

「はい。これは頭を使ったモンスターでも行うことで、逆にいえば、ボクたちもモンスターを狩るために、モンスターたちが使う松明などの明かりを使って場所を特定したりしますからね」

「なるほど、単純なことだけど、思いつかなかった」


ヒメがそういうと、私は得意げな顔をしておいた。

ふふん、以外と気になったところが正解みたいだね。

でも、そうなると本当に夜、町へ潜入するということでいいみたいね。

それまで何か話をするのもいいかもね。

私たちは、近くで座れる場所で四人座った。


「なんだか、変な感じね」

「どういうことよ」

「確かに、そうかもしれませんね」

「は、はい」

「ちょっと、バーバル…緊張しているの?」

「し、仕方ないと思いませんか、あんなことがあったのですから」

「どういうこと?」

「気になる?」

「ちょっと、アイラさん?」

「だって、ヒメが気になってるみたいだからね」

「そうかもしれませんが、そういうことはわたくしが自分の口でいうことではありませんか?」

「ええ…」

「そんな風につまんなそうな顔をしないでください」

「冗談よ。それなら、言う?」

「そうします」


そうして、バーバルが私たちが仲間になるまでの内容を簡単に言葉にしていた。

といっても、結構な重要なこと、というべきか、仲間がたくさん亡くなってしまったことに関してはかなり端折った内容ではあったけど…

ま、でも、そんなこともどことなくヒメは気づいてるみたいだけど。

ヒメって結局何者なんだろう?

この依頼が終われば、教えてくれるっていうのだから、有名人とか?

そんなことを考えていると、バーバルの説明が終わる。


「以上が、わたくしがただしさんや、アイラさん、シバルさんとのパーティーを組むまでです」

「そっか、そんなことがあったのね」

「はい…だから、今度はわたくしがみなさんの役に立てるような魔法使いになりたいと思っています」

「それは楽しみね」

「はい。ボクたちは遠距離の攻撃がうまく使えませんから」

「ほんとよね。私なんて、魔法防御系のものだけだしね」

「アイラ様、それは仕方ありませんよ。元聖女様なのですから」

「ちょっと、シバルー」

「すみません」

「そっか、だからなのね」


元聖女という言葉で、ヒメは何かを感じ取ったようだ。

なんだろう、本当にヒメって…

そんなことないよね?

私たちはその後には、少しくだらないこと、主にただしの悪口を言い合って時間は過ぎていった。

夜になり、町の明かりに紛れるようにして、私たちは町に入った。


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