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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは追われる運命ってね!

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53話

「疲れた…」

「疲れましたね」


アイラに続いてバーバルもそんなことを口にする。

それに関して、俺も同意はするが、それでもすぐに休むというわけにもいかなかった。

ある程度遅くなる前に先に進んでおきたいからだ。


「まあ、そういうな、頑張れよ」

「そうです、お二人とも、目的の場所までもうすぐです」

「「ええーー」」


最初に喧嘩していたのが嘘のように仲良くなった二人を見ていると、少し和む。

だからといって、俺も疲れが飛ぶというわけではない。

シバルは鍛えているというのと、しんどさもドMスキルの力なのか、しんどいという顔を見せない。

俺も転生するまでの肉体よりも若いということもあって、そこまで疲れたということもなかった。

最初は運動不足に悩まされるのかと思ったけど、ヘンタイスキルのせいで体が否応なしにも強化されて、ある程度体の動かし方がわかってきたからなのかな…

ふとそんなことを考えながらも、俺たちはこの先にあるという湖に向かっていた。

ソバの湖。

それなりに大きく、水も綺麗だとここに向かう途中に出会ったほかの冒険者が言っていたのだ。

まあ、その聞いた相手がこれから向かう町や村で手配書が配られている人間だとは思うまい。

そうして、二人のしんどいという言葉から数分。

ようやく丘を登り終えた俺たちは、その下に広がる光景に驚いた。


「すげえな」

「はい。ここまで綺麗だとは思いませんでした。」

「この湖の上流に次の町があるのか?」

「はい。そのようですね」


地図にはいくつか印がついている。

それは、あのときに会った冒険者がつけてくれたものだ。

その冒険者によると、この先には町があるようだ。

逃げる前までいた村とは違って、それなりに大きな町らしい。

でも、湖が近くにあるのだからそこで町を築けばいいと思うのだけれど、そうはならなかったらしい。


「本当にいるのか?」

「先ほどの話ですか?」

「ああ…」

「気にはなりますよね」


アイラたちが湖にさっさと近づくのを後ろから追いかけながらも、俺たちは冒険者たちが軽く口にしていた内容を思い出した。

本当にいるのか、水龍ってやつは…

ここの湖には水龍というモンスターがいるらしい。

その水龍は何年かに一度災害を起こすらしい。

だからこそ、湖の近くに町を作らなかったみたいだ。

という話しだ。


「まあ、災害を起こすときくらいしか、水龍も現れたところを見たことがないということだしな。それも前あったのが五十年前だっけか?」

「そうですね。普通にそれを経験した人がいないので、わかりませんよね」

「ああ」


そんなふうにして、シバルと話しながらも先に湖についた二人がはしゃぐ声が聞こえる。


「すごい気持ちい」

「本当に、ここにずっといたいわね」


きゃあきゃあとはしゃいでいるところ悪いが、この場所もある程度休憩をすると離れたいというのが正直なところだった。

だけど、そんなときに本当の予想外なことが起こる。

急に空が暗くなってきたのだ。


「なんだ?」


俺は突然の出来事に焦る。

それは他のみんなも同じだったようで、全員が一か所に集まる。


「急にこれって何?」

「わからん。なんだこれ?」

「気を付けましょう、何が起こるかわかりません」

「な、何かきてもわたくしの魔法で吹き飛ばします」


警戒を強めた俺たちだったが、それは空にいた。


「ド、ドラゴン⁈」


いたのは真っ黒な見た目をしたドラゴンだった。

それはそのまま上を通りすぎていく。

俺たちは何もできないまま硬直しながら、通り過ぎるドラゴンを見ていた。

まあ、そもそも何かができる距離でもないしな…

完全に通り過ぎたのを確認した俺たちは、緊張してその場に座り込んだ。


「いや、ビックリだな」

「本当に、何あれ?」

「ボクも初めて見ました」

「こ、腰抜けたかも」


全員がその場にへたり込んでいたときだった、いつもの声が頭に響く。


【あれは、黒龍ね】

「(その、黒龍がなんでいるんだ?)」

【わからないけど、何かあったんじゃない】

「(その何かがわからないと意味ないだろ)」

【だったら、あなたが調べてきなさいよ】

「(嫌だよ。普通に目の前で飛ばれただけで、吹き飛びそうだからな)」

【それだったら、聞かないでよ。言えることは、気をつけなさいってことね】

「(へいへい)」


俺は誰にも気づかれることもなくそんな会話をする。

でも、あれだ。

こういう、旅立ちのときに伝説級のモンスターと出会うことになるとは…

会いたくはないが、そのうちに会うことになるんだろうなと考えながらも俺は頭を抱えながらも、結局その後は湖から少し離れた場所で野営をすることになった。

水が潤沢にあることで作る料理は水を使ったものになったのは言うまでもない。


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