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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは追われる運命ってね!
52/382

52話

「これからどうするのよ…」

「いや、どうするって、俺に聞くのか?」

「だって、どういうことかはわからないけど、ただしがお尋ね者になってるんだから仕方ないでしょ」

「確かに、気づいたらそうなってるな」

「それでは、違う国に行くというのはどうでしょうか?」

「そうですね。それがよろしいのでは?」


その会話に割って入ってきたのは、シバルだ。

それに対して、バーバルも同意する。


「違う国!」


違う国という単語で、喜ぶアイラには、やっぱりそういう憧れがあるんだろうなと思いながも、俺も詳しく聞くことにする。


「まずはどこの国に行くかということについてですが…ボクはリベルタスがいいと思います」

「リベルタス?」

「はい。そうですね、ただしにも説明が必要ですね。こちらを見せましょう」


そう言ってシバルがどこからか取り出したのは地図だ。

そこには真ん中を中心に四つの国があり、どうやら合計で五つの国があるみたいだ。

だからといって、その名前が読めるわけではないので、俺はうんうんとうなるばかりだ。

というか、ここの国というか場所がどこなのかもわからないので、そこからになりそうだが…

説明してくれるみたいなので、ちゃんと聞いておくかな。


「まず、ボクたちがいるのがオンスフル。いろいろな人が流れつく国とも言われて、中央などは貴族や商人などのお金を持つ人の権力が強い国になります」

「なるほどな」

「次にボクたちが行きたいのがリベルタス。自由の国と呼ばれており、一つ大きさを持った機関があり、その機関が出している法に触れない限りはどんなことも自由に行える国ですね。」

「ちなみに法を破るとどうなるんだ?」

「普通に処罰されますね」

「なるほど」


法律がある。

まあ、元いた場所と同じのようなところだろう。

そんなことを考えていると、さらにシバルは他の国を説明してくれる。


「そして、魔法使いの学校があり、魔法を学ぶ人が多くいる国、マゴス。修道女を鍛えるための大教会。そして修道女たちが仕える場所である、大聖堂がある国、セイクリッド。最後が多くの騎士が在籍しており、さらにはその騎士の中からトーナメントを行い、最後に勝ったものが王となる国、レックスの五つがありますね」

「そうか…」


わかったようでよくわからないが、とりあえず今いる国がオンスフルで、これから行く国がリベルタスだということだけはわかった。

でも、この世界で国だけでも五つあるのか…

後は今後疑問になってきそうなのは、いるかはわからないけれど魔王の城とかがどこかにあるだろう。

そうなれば、そこが六つめの国になるのだろうか?

そんなことをふと考えながらも、俺はとあることを聞いた。


「それで、この状況は結局どうなってるんだ?」

「それは誰にもわからないんだ」

「本当にただしは何もしていないの?」

「え…記憶がなくなる前に何かしたのかってことなのか?」

「そうよ」

「いや…」


くそ…

こういうときに記憶喪失という自分の設定があだになるとは思っていなかった。

でもやっていないのだ。

この世界にきたのはほんの数日前のことなのだから…

それに罪状だ、それがおかしい。


「放火なんてした覚えが全くないんだが…」

「そうよね。ただしと一緒にいて、そんな思いきったことをしていれば、隠せるとは思えないわね」

「でも、それを知っているのはボクたちだけですから、世間の知らない人からすれば、誰かが言っていれば信じるのかもしれませんよ」

「そうね」


そう、今現在…

俺たちは元の町に戻るという予定を変更していた。

というのも、バーバルがさらに進んだ村に行ってから元の町に帰りたいと言ったためだ。

でも、それがよかったのだと思い知った。

俺もあいつらが森を放火したのと同時にそんなことを俺に擦り付けてくるとは思わなかったのだ。

だから、その町でそんな手配書のようなものが回ってきたときにはさすがに、ビックリしたものだ。

まあ、そういうのもあって、現在はその手配書をもらって、町の外で話し合いを開始しているわけだ。


「どんな罪状だったんだ?」

「確か、あの森に火をつけて、誰かを殺したとも書いてあるわね。えっと、バーバルになっているののもね…」

「わたくしもいつの間に亡くなっていたんでしょうか?」

「いや、実際には全部でっち上げだと思うけど、冒険者登録していたから、そのせいじゃないの?」

「そうだと思いますね。誰がやったかはボクたちだけが知ってるってことですね」

「あの勇者らしいといえば、らしいね」


そうアイラが言うのもわかる。

だって手配書に書かれていた内容はこんな感じだったらしい。

~森に捜索に来た我々勇者が見たものは、燃えた森だった。慌てて魔法を使いと消化を行うも、駆け付けたのが遅かったこともあり、森は焼けてしまい、焼け跡から冒険者の証であるプレートが見つかり、いずれも遺体は燃えてしまったのかなくなっていたが、一緒に焼かれてしまったものであると考える。被害者の冒険者は…~

なんだろうか…

あっているところが一つもない手配書というのもどうかと思う。

それに、やったのはお前だろうと俺は言いたい。

というのも、俺は合流した後に、すぐに勇者たちが火をつけたのだということをみんなに報告している。

三人でバーバルを岩山から出る際には、勇者たちが燃え行く森を見ていたのだ。

俺たちは気づかれないように元の町よりさらに近くにある村に向かったのだ。

そうしてバーバルの休息をかねて、三日目に差し掛かったころ、そんな手配書が届いたということだ。

だからこそ、俺たちは村唯一の宿屋から外に出てきたということだ。

そして、現在近くの開けた場所で会議中なのだ。

何度読んでも意味がわからない罪状を向けらているのだ。

かといって、相手は勇者。

俺が何かを言っても無意味だ。

それにアイラやシバルが何かを言っても、あのときのマルク商会の言うことを聞いていないことで、そんな商会が敵に回ることを考えれば、後ろ盾は完璧というものだろう。

無実の罪で俺は捕らわれれば、アイラやシバルたちもどうなるのかわからない。

あとわからないのは、バーバルについてだ。

冒険者プレートを回収されていることで、冒険者として亡くなったことにされているだろう。

このまま生きていることになったとしても、面倒くさくなりそうだ。

余計にこの国にいることは難しくなっているということだ。

だから、先ほどのようにもうこの国にいたくないという内容で落ち着いたのだ。


「俺はどこの国でもいいが…」

「私はセイクリッド以外ならどこでもいいわよ」

「ボクもレックス以外なら」

「わたくしはマゴス以外でしたら…」

「なるほど、そして、今いるオンスフルもダメとなると残るはリベルタスのみになるってことか…」

「そういうことね。」


どうやら、みな自分が何かを覚えた国には帰りたくないらしい。

ふむ…

今後面倒なことに巻き込まれないならいいけどな。

そんなことを思いながらも、俺は地図を見ながら言う。


「それで、行くとすれば今はどのあたりで、どうやって行くんだ?」

「どのあたりなのかはここらへんでしょうか?行くのはもちろん徒歩です」

「ぼ、冒険ね!」

「あ、歩くのですか…」


歩いていくという言葉に、冒険と嬉しそうに言うアイラと、きつそうに言うバーバル…

二人を見て俺は呟く。


「なるほどな、ってイタ!」

「ねえ、今失礼なこと考えなかった?」


妙に感がいいアイラに頭をたたかれた。

確かに両方を見た。

アイラは活発発言からわかるように全体的にほら、あれだし…

それに比べてバーバルは、魔法使いということもあるのかあまり体を動かすということがないからか、しっかりと目に毒な見た目を…


「ねえ!」

「いえ、何にも考えていません!」

「本当に?」

「本当でございます」

「あはは…」


それを見ていたシバルは苦笑いをしていたが、シバルが一番どちらのいいところも持っているとは、口が裂けても言えないことだ。

うん、アイラ。

俺はその視線だけで、ダメージを受けそうだ。

そんなことを思いながらも、話を修正していく。


「それじゃ、行くのはリベルタスでよかったのか?」

「そうですね。そこが一番いいかと」

「そうね。ようやくちゃんとした冒険を行えるようになったんだし、違う国に行くというのが、一番よね」

「歩くのはあまり嫌ですが、わたくしもこのままここにいるというわけにはいきませんね」


そうして次の目的地が決まり、俺たちはその方向に向かって歩き始めた。

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