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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
パーティーにヘンタイが増えた

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50話

「おい、どうなってんだこの森は…」

「そう言われましても、わかりません」

「くそ、これじゃあ奥に進めねえじゃないか」


俺たちは貴族に頼まれていた人探しの依頼をこなすために、森に来ていたのだが、最初は森の中に入ることができないし、今度は入ることができたと思ったら、多数の罠が出迎えてくれた。

そのせいで、結局今は、森の入り口に戻ってきていた。

このまま何もしないというわけにもいかない。

かといって、罠を見つけられる奴なんかを仲間にはしていない。

何かいいやり方はないのか?


「くそが…あ、おい…」

「なんですか?」

「森を燃やすのはどうだ?」

「な、何を」


魔法使いの女に声をかけると、驚いたように言われるが、俺はいい案が頭に思い浮かんだのだ。


「まあ、俺様が考えた内容を聞けって」

「はあ…」

「この森にはすでに火がはなたれていた。そこに俺たちが登場して、なんとか火を消す。これが一連の流れでいいと思わないか?」

「でも、そうなれば、火をつけた人が必要になりますけど」

「そんなの、いいやつがいるだろう」

「誰ですか?」

「元聖女様だよ」

「そんなこと…」

「ああ?確かにあいつ本人なら無理かもなあ」


そうだ。

確かにあいつ本人なら、火の魔法は使えない。

俺もこの世界にきて、魔法の適正というものを教えてもらったので知っている。

魔法の適正というのは普通魔法、修道女魔法、剣術などと組み合わせられる魔法の三つがあると、そして俺様のような勇者というスキルや、他にもスキルによって使うことができない限りは、適正は三つのうち一つしかないということ。

簡単にえば、全ての人が魔力を持っており、その中でもどれかの魔法を使うことができるのだ。

あの男のことはわからないのだが、普通魔法で一番簡単といわれているファイアーの魔法くらいは使えるだろう。

だから、男がやったことにすればいい。


「ほら、いただろう、男が」

「いましたが、それが…」

「そいつが火の魔法を放って、森を燃やしたことにすればいいんだよ」

「ですが、それはいくらなんでも…」

「ああ?勇者である、俺に命令するのか?」

「そんなことは決してありません」

「それじゃ、準備を開始するぞ」


そして俺たちは、森に火を放った。

ここで魔法を使うことをすれば火の巡りも速いと思ったが、そうはしなかった。

さすがにというべきか、このあと火を消すことも考えるとむやみに魔力を使いたくなかったからだ。

さすが、俺様は頭がいいな。


「ははははは、燃えろ燃えろ」


森が燃えていくのを、俺は笑いながら見ていた。

その後は火を魔法で消し、森に再度入った。

燃えた森は多少歩きにくくはあったが、罠が燃えたのかなくなっており、イライラはなくなった。

それにしても、女がいないな。

依頼としてもらっていた、女がいない。

まあ、ここまで燃やしてしまったら、生きてるかもわからんがな。

そんなことを思いながら歩いていると、何かを見つける。


「なんだこれ?」

「これは、上位のモンスターが使う磔台」

「磔台?」

「はい、上位のモンスターの中には、私たち冒険者の戦意をそぐためにも、人の目の前で人を殺めたりすることがあります」

「それで士気が下がると?」

「はい」


なるほどな。

確かに俺はその場面を見たことがないからわからないが、人が目の前で殺されでもすればそれなりに戦意がそがれてしまうのかもしれない。


「それで、そのモンスターはなんだったんだ?」

「わかりません。上位になればなるほどモンスターは他のモンスターが使っている中でいいと思ったものは自分でも行いますから…」

「そうか、でも、それならやっぱり森に火をつけてよかったんじゃないのか?」

「どうしてですか?」

「そんなヤバいやつを相手しなくてもよくなったからな」

「そ、そうですね」


まだ何か言いたげな女を無視して、俺たちは森を進む。

ほとんどが燃えていることで、建物があった後などはあったが、結局のところ俺たちが捜索を頼まれた人はいないし、そもそも森に死体すらも落ちていない。

俺たちが来ることを見越して、全員が逃げただけかもしれないな。

とりあえず、依頼の人はいなかった。

森はすでに火をつけられていて、すぐに俺たちが消化した。

火をつけたのは、元聖女のパーティーにいる男だということを伝えればいいな。

最高だ。

これで、また俺の地位が上がる。

俺たちは何もすることもなく地位が上がっていく。

そうだ、そうなるんだ。

俺は高笑いを行いながらも、森を後にするのだった。


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