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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
パーティーにヘンタイが増えた

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47話

かっこつけたはいいものの…

完全に見た目が間違っているのは、自分でもわかっていた。

というのに…


【へんたい!】

「うるせ…」


自称神にヘンタイと言われながらも構えをとる。

拳にはしっかりと武器を装備する。

まあ、俺だということをばれないためにも工夫は行うが…

そんなことをしていると、サキュバスが怒ったように話かけてくる。


『さっきから、私たちの幻影を無視して…』

「幻影?なんのことかわからないな」

『そんなふざけた恰好なのに、前も見えていないはずなのに、どうして…』

「ふ…わからん。新しい目が開いたとしか言えないな」

『ふざけたことを…』


サキュバスと呼ばれている女の声がするモンスターが、悪態をつきながら、歯ぎしりをしているのが聞こえる。

なんだろう、モンスターだから今の状態では相手の顔がわからないが、これは可愛いのか?

く…

ここで急にブラジャーを外したくなってきた。

でも、待てよ…

ここで外してしまって可愛くなかったらどうしよう?

現在は顔を想像しているし、声だけを聴いている限りではかなり可愛いのだ。

もしここで外してしまって不細工だった場合は、期待もプラスでかなり落胆するだろう。

そうなってしまえばヘンタイスキルも弱体されてしまう。

あれだ…

想像して、声だけで楽しむことができれば、俺のヘンタイスキルも強くなるというものだ。

ということは、なるほどな、ここは外すのが間違いか…

俺はすぐにその結論に達したが、その思考に至るまでに某中二ポーズをしていたからか、サキュバスが言う。


『私たちのことをバカにして!』

「いや、バカにしたわけじゃ…」

『だったら、何をしたっていうの?こうなったら、私たちだけの技を見せてあげる』

【あーあ、バカにしちゃったから…】

「うるさいわい」


なんでバカにしたことになっているのかはわからない。

ただ、考えごとをしていただけだというのに…

でも、見過ごせない状況にもなった。

サキュバスの魔力が跳ね上がったからだ。

先ほどまでよりももっと大きな魔力だ。

それまでも、あった魔力よりも強い。


『これを使うと、ここにかけていた幻影が全て解けちゃうけど仕方ない。』

「何をする気だ?」

『それは、その身に受ければわかるね。』

「!」

「火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー」

「土よ、相手を吹き飛ばす土となせ、アース」

「まじか!」


それは二つの魔法だった。

どういう原理なのかはわからないが、それは確かに俺の方に向かって飛んでくる。

避けることは簡単だけれど、これをよけてしまうと後ろにいるバーバルに当たってしまう。

土の魔法は、先ほどのように土の壁を地面から出せれば防げるだろう。

でも炎はどうだ。

さすがに二つは防げないのではないのか…

いや…

俺は、そこでこちらに近づく二つの存在を感じ取った。


「おら!」


だからこそ、迷うことなく地面を殴り土の壁を作りだす。

これによって、土の攻撃を防ぐ。

次に来た炎は、凛とした声が響く。


「我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」


その声とともに、炎を防ぐバリアができる。


『な!?』


サキュバスが驚くのも無理はなかった。

俺もここに来るとは思っていなかったからだ。

逃げたというよりも、流されたと思っている俺自身を探しにいくものとばかり考えていたが、どうやらそうではなかったらしい。

アイラとシバルはサキュバスを俺たちと挟む形で立ち止まる。

その二人に俺は声をかける。


「何かやるべきことがあるんじゃないのか?」


それにアイラはムッとした顔を少ししたが、すぐにやれやれというように首を振る。


「大丈夫よ。私には、このサキュバスを倒すってことの方が重要だからね」

「そうなのか?」

「そうそう…それにシバルにも言われたのよね。あんな川に流されたところで、あいつは死なないってね」

「なるほどな」


確かにそうだ。

ここにいるからな。

俺の正体にそれとなく気づいている、シバルだから言えたことだろう。

ちなみに、そのシバルはというと、こちらを見て、心なしかウインクしているように見える。


「それで、これからどうやって倒すのか算段はあるのか?」

「それなんだけど、シバルの魔法剣を使うわ」

「へえ…それはなんだ?」

「ふふふ、簡単に言うと、なんでも斬れてしまう剣のことよ」

「なるほどな。でも、それをここで話してていいのか?」

「大丈夫よ。どうせ、さっきそいつらはその攻撃をくらって一体は倒したと思ってたのに…」

「あー、合体したのか?」

「よくわかったわね」

「まあな…」


先ほどから違和感は感じていた。

目の前にいるのは一つのサキュバスと呼ばれるモンスターのはずなのに、声は二つを合わせたようなものだった。

そして、先ほどの同時に魔法を唱えて攻撃してくるというやり方は、一体ではできないやり方だったからだ。


「それじゃ…」

「ええ!シバル任せたわよ」

「はい」


俺たちは互いに見合うと動きだす。

そして剣を抜いたシバルは確かに魔力というものが集まっているのがわかった。

なるほど、これを守る必要があると…


『私たちが殺すのー』


そして、それを見ていたサキュバスがそう口にして戦いが始まる。


「おらよ」


俺はまず地面に落ちていた石を投げる。

詠唱をしようとしていたサキュバスが、それをやめる。


「行くわよ」

「おっけー」


そして俺たちは同時に近づいた。

そこでようやく気づいたのだけれど、アイラはどうやら木の棒を持っている。

武器なのか?

俺が疑問に思っていたが、俺よりもリーチがあるアイラの方が先に攻撃を仕掛ける。


「ふ!」

『甘い、甘い』


連続で放たれた突きは、サキュバスに避けられてしまう。

ただ、サキュバスも反撃ができない。

よし、俺も!


「って、あぶねえ」


攻撃参加しようとしたが、アイラの棒が俺の額をかすめる。


「ちっ…」

「今舌打ちしたか?」

「だって避けるんだもの」

「いや、今はサキュバスを一緒に倒すための仲間じゃないのか?」

「私にヘンタイの仲間はいません」

「ま、まじか…」


これは本格的に俺がただしとバレるとまずいな…

魔法剣をしようとしているシバルもどことなく、一瞬魔力が乱れた気がする。

いや、今はそんなことを考えている暇はないな。

また、サキュバスが魔法を唱えようとしてくる。


「火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー」

「土よ、相手を礫となって敵を貫け、アースグラベル」


距離が近いことから、土をひっくり返して防御するのは間に合わないか!

でもここには俺が用意したあれがある。

俺は地面に刺さっていた木を抜くと、そのまま振り回した。


「どっせい!」

『くうう』

「ちょっ、ちょっと、我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」


相手の魔法を破壊することに成功はしたが、木も粉々に砕け散った。

そして、その木の破片が二人に飛び散ったのだけれど、アイラはそんな言葉とともに魔法で防御して、サキュバスは鎌を回すことで防ぐ。


「何もやり返すことないでしょ」


それによってアイラが俺に対して悪態をつくが、俺は鼻で笑うだけにしておく。


「ちょっと、今笑ったわね!」


この戦闘では、サキュバスを相手しているはずなのに、気づけば相手のことを無視しているばかりだ。

それにサキュバスも気づいたのだろう、声を荒げる。


『私たちを無視するな!』

「いや、無視しているわけじゃないけどな」

「そうよ」

『だったら、なんでそんなことばかり』

「そんなこと?よくわからないな」

「本当にね」

「ああ、本当に」


そして、そんな会話をしていたときだった。

シバルも会話に入ってくる。

すぐにわかる、魔法剣というものが出来上がったのだ。

剣は確かに俺が見たことないような光の輝きを放っていた。


「これで決める!」

「ああ(ええ)!」


シバルの決意に俺とアイラは反応して前に突っ込む。

これで終わらせると、俺たちは前に走り出したのだった。

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