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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
パーティーにヘンタイが増えた

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45話

『何、こいつ?』

「こいつとは失礼ですね、露出の多いお姉さん」

『何を…バカにしているの?』

「そんなわけないですよ。俺はただ事実を言ったまでですから」

『まあ、いいわ…でも、ここに来るまでに私たちの部下がいたはずだけど』

「あー、あのイケメン雑魚ですか?」

『雑魚?魔法を使えるようになったから、そう簡単にやられるものだとは考えにくいけど』


言っているのは、あのインキュバスのことだということはわかった。

でも魔法が使えるだけで強いというのであれば、魔法使いは最強じゃないのか?

魔法が使えるだけで、そんなに強者になれるのだったら、俺も魔法が使える存在になりたかった。

そんな風に変にショックを受けていたときだった、前にいるサキュバスが俺が被っているものを見て、気づく。


『それは…本当に倒したというのは本当のようね』

「まあな」

『そうなのね…あれだけ力を与えてやったのに、仕方ないわね』

「そうなのか?」

『ええ…でも、私たちはそう簡単にはいかないわよ』


その言葉とともに何かをした。


「また、幻影に…気を付けて!」


アイラのその言葉に俺はここに来るまでに自称神に教えてもらった内容を思い出していた。



俺は川沿いを走りながらも、話しかけていた。


「雑魚だったな…」

【ええ、そうね。でもインキュバスが雑魚だったということはね】

「何かあるのか?」

【ええ、さっきあの少女たちの方にいたサキュバスは強いわよ】

「どうしてそんなことがわかるんだ?」

【そうね…簡単な大前提として、サキュバスは群れたりしないのよ】

「そうなのか?でも、それにしてはインキュバスもいたな…」

【そうなのよ。そして、明らかに、さっきのインキュバスはサキュバスによって命じられて、あんたを殺りに来てたのよ】

「そうなのか?」

【当たり前でしょ。基本的に、インキュバスは男の体を、サキュバスは女の体を使って、その性を満たすもので、あんたたちを殺した後に、体だけをもらうつもりなのよ】

「なるほどな。だから俺の方には男が来ていたってことか…」

【そうね。】

「でも、それなら別にサキュバスの方が強いってならなくないか?」

【わからないの?強い理由は、ただしが川に落ちる前にわかっていたことよ】

「というと?」

【相手の姿が見えなかったでしょ?】

「確かにな…気づいたら攻撃がきて、川に落ちてたな」

【それは、サキュバスの中でも高位のもののみができるといわれる、幻影っていう魔法みたいなものね】

「なるほどな。」


そんな厄介なものがあるのかと思った。

見えなくなる魔法ということだろうか?

確かにどこからともなく魔法が飛んで行っていたし、そもそも岩山や森の付近から出られなくなったのも、それの影響なのかもしれないな。

でも、あの弱いインキュバスの男は使っていなかったよな…

普通にファイアーっていう魔法を使っていただけの出がらしのような存在だった。

ということは、そんなやつを簡単に命令できていた、サキュバスは強いということなのだろう。


「言いたいことはわかった」

【だったらわかるでしょ?】

「どういうことだ?」

【あれと戦うにはある程度観察でもしてから戦いなさい】

「まあ、言いたいことはわかるよ」


言いたいことはわかっていた。

それでも、殺して肉体を奪っていくという言葉を聞いて、それを見逃すなんてことはできない。

そのとき、これまでは感じることがなかったものが見えた。



【はあ、本当にどうするのよ…】

「ふ、大丈夫だ」


頭に響く声を感じながらも、俺は相手が見えていた。

ヘンタイ眼…

ブラジャーを目の位置につけることによって、使えるようになった新しい技といえばいいのだろうか、適当に思いついてやってみたが、これは使える。

俺は地面を蹴った。


「どこに向かって!」

『!』


アイラの慌てる声が聞こえるが、すぐに俺が地面を蹴って振り上げた拳が何かに当たって止まっていることに気づいた。

そして、相手であるサキュバスもかなり驚いたようだけれども、それでも俺の攻撃を防いでみせた。


「今のを防ぐとは、やっぱりさっきの男よりも強い」

『どうして、私たちのことが見える?何も見えていないはずの見た目をしているのに!』

「うーん、どうしてって言われてもな…」


攻撃を防がれたことに驚いている俺と、幻影によって見えなくなっているはずの相手を完璧に把握されていることに驚いているサキュバス。

でも、からくりを教えてくれと言われても難しい。

俺だって、ブラジャーを目の位置に装着したら、全ての妨害魔法を見破ることができました。

なーんて、荒唐無稽な話をしたところで誰も信じてもらえないだろうからだ。

でも、現在実践で使えているのだから、荒唐無稽なものでもないという…

完全に矛盾している頭の中だったが、何も言わない俺に対してサキュバスが動く。


『もう一度』


サキュバスも信じることができないのか、また何かを発動したのを感じる。

先ほどと同じような魔力を感じたので、これが幻影ということだろう。

それでも俺は見えている。


「そこだな」

『くう!』


俺は先ほどよりも強い殴りを相手に向かって放つ。

それを相手は少し虚を突かれながらも、防ぐ。


『本当に見えているみたいね』

「だから、そうだって言ってるだろ?」

『意味がわからない、そのふざけた恰好。顔を隠しているってことなら、あなたのスキルは…』

「ふ…なんだと思うんだ?」

『私たちのような上位のサキュバスのみが使える幻影を完璧に見破れるスキルなんて、私たちですら伝承でしか聞いたことがないのに』

「そうなのか?」

『そうよ。』

「おい、どこに行く?」

『ふふん、私たちにはまだ、奥の手があるのよ』


このままでは勝てないということがわかったのだろうサキュバスは、後ろに逃げ出す。

それも先ほどまでは隠していた羽根を広げていることで、スピードがかなり速い。

追いつくことはできないだろう。

それでも、この眼があれば見失うことはない。


「あ、ちょっと!」


アイラのそんな声が聞こえながらも、俺はサキュバスを追う。

理由は決まっている。

なんとなく嫌な予感がしているということだ。

それは、ここまでで、まだバーバルの姿を見ていないことだ。

そして、あの話。

殺して、その体を奪うというものだ。

もしかすれば、バーバルもそうなってしまう可能性がある。

それがどういう効果になるのかはわからないけれど、インキュバスですら、痛めつけてて魔法を使えるようになったといっていたのだ。

体を奪われるようなことになってしまえば、どういうことが起こるのかの知識が俺にはない。

それに、バーバルのことを救いたいと思ったのだ。

前を進むサキュバスは速い。

このままでは間に合わない。

しょうがない。

全く正攻法ではないやり方を試すしかないか…

サキュバスが進む方向に人がいるのを感じた俺は、走りながらもラリアットで木をへし折る。

そして、それを掴むと人の手前に落ちるように力を込めて木を投げた。


「ふ!」


裂ぱくの気合とともに木は飛んでいく。

それを見ながらも俺はサキュバスに向かって再度駆け抜けた。

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