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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
パーティーにヘンタイが増えた

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42話

「てい!」

「うわ…なんだか古典的なものもあるのね」

「どうだろうな、罠を感知する魔法でもあるから、それの対策じゃないのか?」

「なるほどね」

「ただし、こちらも石を投げましたよ」

「おっけー」

「それにしても、こんな方法で安全かを確かめるなんてね」

「仕方ないだろ、見ただけでわからないんだから、こうするしか思いつかなったんだよ」

「いいんじゃない。面倒くさいことを除けば、完璧だと思うしね」

「そうですか?これはこれでなかなか楽しいですよ。普段だともっと気を付けて進みながらも、罠も数回はかかったりしてましたからね。こんな方法があったなんて驚きました!」

「それならいいんだがな…」


そう、現在森に入って、時間はそれなりにたっている。

そんな中で俺たちの手元にあるものは、先ほどの岩山からもってきた、たくさんの石だった。

アイラが先ほど、古典的なやり方だと言っていたが、全くもって否定できない方法を現在行っていた。

というのも、やっていたことは石を周りに投げまくるというものだ。

捕らえることを考えている罠が用意されていることから、予想はしていたが俺たちが石を投げると、その石が落ちたところで魔法の光といえばいいのか、それが起こると石に魔法でできた紐のようなものが絡みつく。

あれって、俺が知っているのであれば、バインドという魔法だろうか?

これで、罠を石で無効化したのはかれこれ十以上あるだろう。

よくある話では、罠が仕掛けられているものを見破るスキルを持った人がいて、そんな人と一緒に冒険するのが普通だ。

あとはさっさと罠を発動させて、捕まったと勘違いしてやってきた人を逆にこちらが奇襲する。

というものだが、俺たちにはそういうスキルがないので、隠れようとしたところに罠があった場合には結局意味をなさなくなってしまう。

だから考えたのは、罠をただただ破壊するというものだ。

あっちに石を投げ、こっちに石を投げてを繰り返している。


「ねえ、冒険って感じじゃないんだけど」

「し、仕方ないだろう。こういう地味なことも必要なんだ」

「ボクたちの中でもう少し魔法を理解していれば違ったかもしれませんがね」

「それを言われたら、私だって、もう少し他の魔法を使えるように練習やっていればよかったのかな…」

「いや、こんなことが起こるなんて予想してなかったし、今更だろう」

「そうなんだけど、こういうのって違うじゃない」


言っていることはわかる。

俺も冒険がこんなことになるとは思わなかった。

思い描いていた限りでは、みんなで協力しあってモンスターと戦っていく。

途中までは確かに思い描いた通りだったのになとはアイラも思っているのだろう。

それに対して現在やっていることはさっきも言ったように石を投げているだけ…

これだけシュールな絵をお届けできる冒険者たちはいないだろう。

それでも、そんなシュールな絵はまさかの形で終わりを迎える。


「何か明るい?赤いわね?」

「どうしたんだ、アイラ?」

「あの方向なんだけど」

「うん?」


アイラが気になることを言ったので近くにいた俺が、アイラが指さす方向を見る。

確かに視界の先が少し赤く、明るくなっているような…

あれは、なんだ?

そう思っていたとき、鼻にどことなく焦げ臭さを感じた。

俺はすぐに最悪の事態を口にする。


「燃えてるのか?」

「え⁉」

「本当ですかただし!」


驚くアイラと、俺の言葉を聞いて合流する足を速めるシバル。

ただ、俺たちはすぐにそれを視界にとらえる。


「炎が迫ってるじゃない」

「どうしますか、ただし」

「どうするって言われても、逃げるくらいしかできないんじゃないか?」

「いえ、アイラ様。ホーリーバリアで守れたりはできませんか?」

「む、無理よ。私も炎だけってなったら防げるのかもしれないけど、そこに燃えている木なんかも追加で倒れたりしたら結局はつぶされるわよ」

「ということは…」

「はい」

「逃げるわよ」


そうして俺たちはすぐにもっていた石を投げ捨てて、来た道を戻る。

こういうときに川をたどってきたのが、よかった。

来た道を戻るときに間違えなくてすむからだ。

罠がなかったら適当に逃げるなんてこともできたかもしれないけど、それができないのでこうなっているということだ。

走って逃げる。

でもおかしいことに気づく。


「なあ、なんだかおかしくないか?」

「はい。結構走っているのに岩山のほうにつきませんよね」

「え?ちょっとどういうこと?」


俺とシバルが異変に気付いて立ち止まると、アイラもわけがわからないながらも、同じように立ち止まる。

炎が来ているはずのほうを見ると、場所は同じで全く近づいていなかった。


「これって…」

「シバル!」

「はい!」


なんだと俺が言う前に、アイラがシバルの名前を呼び、シバルはわかったように返事をして盾を構える。

そこに飛んでくるのは火球。

どういうことだ?

俺が疑問に思っていると、アイラは先ほどまでの戸惑っていたのとは違い、冷静に周りを把握しながら言う。


「もしかしたら、幻影と攻撃魔法の合わせ技かも」

「幻影?」

「うん、でも幻影魔法を使えるってことは…って話してる時間もないみたいね」

「アイラ様、来ます!」

「わかってるわ、我の前に絶対に通さない聖なる壁を、ホーリーバリア」


わけがわからないまま、魔法が飛んできてアイラがそれを防ぐ。

何が起こっているかわからないし、どういう状況かもわからない俺はどうしていいかわからなかった。

最低でも何かをするためには、さっきのアイラが言っていた幻影をなんとかするくらいしかないのか?

ってか幻影ってなんだよ。

急に俺の知らない情報をいれるなよ。


「(スター)」

【何?都合のいいときに呼びかけないでよ】

「(そうは言ってもな、俺もこういう状況になるとは思ってなかったからな)」

【だから言ったのに、魔法使いの女をハーレムに加えないのって】

「(いや、言ってないだろ…言ってたのは襲えってことくらいだったぞ)」

【そうだったかしら?】

「(って、そんな話はどうでもいいんだよ。この状況どうすればいい?)」

【それは自分で考えなさい】

「(自分で考えてもよくわからないから聞いてるんだけどな)」

【もっと考えなさい】

「(なんだ、その理不尽な回答は…)」

【しょうがないわね、ヒントくらいはあげるわね】

「(ああ、それを教えてくれ)」


そこで俺はあることを聞いた。

それによって、さっきアイラが言いかけたことの内容を理解した。

幻影か…

そのスキルを俺にほしいくらいだが、ないものねだりをしても仕方ない。

それでも、ないものねだりをしたいくらいには、俺たちは一方的に攻撃を受けていた。

幻影という名前でスキルを予想すると相手は姿を消していて、相手からこちらが見えて、一方的に攻撃をしてくるという状況なのだろうか?

攻撃は飛んでくるというのに、相手が見えない。


「くそ、厄介すぎる」

「そうね。さっきの石を捨てちゃったのを後悔してるわね」

「確かにな」

「どうしますか?」

「このままでもじり貧だよな」

「はい。攻撃は今のところ防げいますが、このままってわけにもいきません」


どうする。

幻影をどうにかしないと、俺たちは何もできない。

だからといって、対処方法が思いつかない。

そんなときだった、シバルの声が響く。


「来ます」


シバルがその方向を見たときには、それは迫っていた。

これまでで一番大きな火球。

それをシバルはなんとか防ぐが、押される形になる。


「きゃ!」

「アイラ!」

「ただし⁉」


すると後ろにいたアイラが押されることになった。

そこで、俺たちは川の近くで戦っていたことが悪い方向へと向いた。

アイラが川に落ちそうになったのだ。

俺はとっさにアイラの肩を掴み、川に落ちないように弾く。

こういうときに鍛えていないことに対する弊害がくるのかよ。

アイラは確かに落ちなかった。

でも引き戻すことを行った俺が川に落ちたのだった。

顔から落ちたことによって、すぐに体が流れの速い川にもっていかれる。

そうして、俺は落ちてはいけないはずの川に落ちた。

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