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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイが異世界にやってきた
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そんなルールがあるなんてな

「やっと町か…」

【そうね。】


町が見えてきた。

それは俺が思っていたよりもかなり大きいものだった。


「おい、あれはなんだ?」

【検問ね】

「いやいやいや…これ行ったら捕まるやつだよね」

【そうね。】

「そうねじゃないんだけど。どうすんだこれ?」

【どうするの?】

「いや、それを俺が聞きたいんだが…」


まず町に入らないといけないはずなのに、それすら検問のせいでできないとか…

よくも悪くも町自体は堀に囲まれているので、入ることになれば見られるということは確実だろう。

転生物語ででてくる町は高い塀に囲まれているのが多いのに、今回は堀になっているとは…

これだと、さすがに誰からも見られないで町に入るなんてことができないだろう…

どうしたものかと思っていたときだった。


【しょうがないわね】

「なんだこれ?」


そう言われて出てきたものは何か通貨だった。


【それは、この世界で使われている共通の通貨よ】

「なるほど」


って、そんなものが無料でもらえるなんて最高じゃないか!

これはもしかしなくても、この後は町に行って、悠々自適ライフが送れるだろう。

基本的にお金さえ払えば、こういう検問も通してもらえる可能性が高いのだ。

俺は早速列に並ぶと、順番を待った。

スムーズに流れていき、自分の順番が回ってきた。


「通行証かもしくは通行料の提示をお願いします」

「わかりました」


と答えたはいいが、いまいち書いてある内容がわからないので、通行料というのがお金にするといくらなのかわからない。

異世界に転生したのだから、こういうところも全部読めるものにしてほしいものだ…

そんなことを思いながらあたふたとしていると、ため息が聞こえる。


【はあ…通貨は十枚よ】

「はい。」

「ああ、間違いないな」

【ほんと、こんなのもわからないなんて、バカね】


いや、転生させられて急に何もわからないこの世界で適応できるほどの能力を俺は持ち合わせていませんからね。

後、そう思うならそういうスキルを持ったやつを転生させろよな。

などと今すぐにでも言ってやりたいが、ここでそんなことを言ってしまえば、完全にやばい奴になってしまうので我慢をしていた。

硬貨が偽物でないのかを確認後に、通行料を払ったという領収書のようなものをもらったときだった。

ポケットに入っていたそれが落ちる。


「うん?なんだこれは?」


気づかないで行こうとしたところで、検問をしていた男をそれを拾った瞬間に、その出来事が起こった。


「押さえろ!」

「え?何々?」

「確保だ!」

「え?うわーーー」


こうして、俺はなぜか捕えられてしまった。

わけがわからないまま連れてこられたのはどこか部屋だ。

理解が追いついていないし、警備をしている人たちということだけあって、こちらも抵抗できるだけの力を出せない状態だったので、簡単に連れてこられてしまった。

そして、目の前にあるのは一枚のパンツ…

確かに女性もののパンツをもっていたのなら訝し気に思うのは仕方ないだろうとは思うけれど、すぐに捕らえられるようなことはあり得ないことだと思っていたのに、何が起こっているのだろうか?

そう思っていたとき、目の前にいた男がそのパンツを指さしながらいう。


「これはどうした?」

「どうしたと言われましても…」

「女性の白のパンツというものは、修道女しか着用が認められていないものなんだ。」

「そうなんですか?」

【うわ、何その面倒くさいルール】


いや、お前が言うなよ。

スターが渡してきた下着によって、こんな事態になっているんだぞ。

というか、その世界のことくらい、転生させるなら調べておけよ。

叫びたくなる衝動を抑えながら、俺はその取り調べを受ける。


「そうなんですか、だと!知らないわけがなかろう!」

「そうではないんです…こう見えて、俺は記憶を無くしているといいますか…」

「何?」

「噓じゃないです。この国がどこかもわからなくて…だから先ほどもお金というのがいくらということもなかなかわからなくて…」

「そうなのか?」

「はい…」

「そうか…確かにここまでも素直に連行されてきたことを考えると、そうなのかもしれないな」

「知らなかったこととはいえ、すみません…」

「いや、まあそれならば仕方ないが、とりあえずこの下着は修道院に返すことになるが、それで大丈夫だな?」

「はい」

【いや、ダメでしょう。あなたはあれがないと強くないのに。それに、もとはといえばあたしのものなんだからね。ここは取り返しなさい】


頭の中でそう言われるが、無視だ。

本当にどの口が言うのかと思う。

ここまで苦労したことはあっても助かったことはないと思う。

とりあえずこの場はなんとかなりそうだ。


「今回ばかりは見逃すが、今度からはしっかりと何かあった場合は確認をしてから入るようにしてくれ」

「わかりました。ありがとうございます。」


なんとかなったと思って、町の中に入れてもらったときに、スターがボソッという。


【なんだか、あなた演技をするのもうまいのね…】


まあ、元社畜ですからね。

そう思ったのはいうまでもない。

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