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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは世界を救う

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382/382

380話

「わかったか?」

「わかった、君にやられていったものたちがどういう気持ちだったのかも含めてね」

「それならよかったな」


俺は倒れた男を見下ろしながらも、そう言葉にした。

男は、力なく倒れながらも言う。


「どうだ?今なら、殺すこともできるぞ?」

「やめておく。俺はそういうことをやりたいわけじゃないからな」

「そうか、そうか…そこは思った通りだな」

「まあな、それに俺のやるべきことは終わったしな」

「そうか」

「ああ、一発殴れた。それだけで十分だ」


そうだ。

俺は最初から言っていただけだ。

一発殴るとな。

それにだ…


「ま、感謝はしておくよ」

「何にだ?」

「あんたのすべてにな…」


俺はそう言葉にすると、光に包まれたのだった。

なんとなく、アイラならこうするのではないのかという確実ではないけれど、予感のようなものはしていた。

それというのは、光が収まったところでわかる。

この体では初めて見る場所、神殿のようなところに俺は来ていた。

いつか、金色の風を使う勇者と最初に出会った場所。

そう、勇者が召喚された場所だ。

ここに俺がいるということは、勇者として召喚されたということなのだろう。

それもアイラたちに…

もし、アイラが神様に願いを言うのだとすれば、これだろうというのはわかっていた。

そして、見える顔は当たり前だけれど、見知ったものだ。

ただ、アイラたちは、俺の顔を見てもしっくりはきていない。

当たり前のことではある。

これまでは転生した後の顔に出会っていただけだったからだ。

今の顔が所謂本当の顔ではあったが、それは確かに転生後の顔と似ているが、見たことはないだろう。

だからこそ、アイラたちは戸惑っている。

そんなアイラたちに、俺は声をかける。


「よ!」

「ただしなの?」

「呼び出した人間が、どうして疑問形なんだよ」

「だって、見た目が違うからね。疑っても仕方ないでしょ?」

「そうなのかもしれないけどな。こういうのは雰囲気でわかったりするものじゃないのか?」

「雰囲気?それでわかるなら、苦労はしないんだけど…」

「確かに、それはそうなんだけどな」

「だったら、いつものようにパンツを被ったらいいんじゃないの?」

「いや、出てきた勇者がパンツを被ってたら、ヤバいだろ…」

「え?そうなの?」

「そういう顔をされる理由は確かにわかるけどな。今更って言いたいんだろ?」


俺がそう言うと、アイラは当たり前とばかりにうなずく。

わかっていたことではあったが、そこまで躊躇なくうなずかれると、さすがの俺も傷つくのだが、これまでの行いを考えると仕方ないことだろうと、納得もする。


「それで、姿は変わったけど、結局はただしでいいのよね」

「当たり前だろ?じゃないと、こんな会話も普通はしないだろ?」

「そうね。かみ合ってるものね」


話しがかみ合うということは、過去の記憶もしっかりとあるということだ。

それが、会話によってアイラもわかったのだろう。

ただ、疑問に思うことは俺もあった。


「えっと、そういえば、どうしてアイラだけなんだ?」

「そんなの、シバルたちは忙しいからに決まってるでしょ」

「どういうことだ?」

「ほら、勇者の試練というものよ」

「ああ、あったな、そんなの」

「そういえば、勇者召喚に驚いてなかったよね」

「アイラならこうすると思ってたからな」

「へえ、そう思われてるならよかった」

「最初の仲間だったからな、当たり前だろ?」

「そうね」


そして、俺とアイラは召喚された神殿を出る。

ただ、出るタイミングで、アイラにちょっと待ちなさいと、履いていたパンツを脱いで渡される。


「いいのか?」

「ヘンタイなら、つけないと意味ないでしょ?」

「確かにそうだな」


俺はそれを持ちながらも、外に出る。


「ただし!」

「あら、ただしはなかなかダンディになったのね」

「なんなのじゃ、こっちのただしもなかなかなのじゃ」


シバル、バーバル、ヤミがそんなことを言いながらも、モンスターを倒している。

俺はそれにパンツを被って参戦する。

アイラの匂いに包まれた俺にヘンタイスキルが発動する。


「うおおおおおおお!」


そして、モンスターに向かっていく。

いつものようにヘンタイスキルを使って…

結局のところ、三十歳を迎える前に再度この世界に勇者として召喚された。

当たり前のように使えるのは、魔法ではなくてヘンタイスキルだけだ。

ただ、一緒に戦うアイラたちを見て思う。

ヘンタイスキルも悪くない。

魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れたが…

これで大切な仲間を救えて、一緒に戦えたのだから、よかったのだろう。

俺は、モンスターを倒しながらもそう思うのだった。

戦いが終わり、アイラたちとの今度こそ、濃厚な再開を果たした俺は、結局のところ魔法使いになれないのかもしれない。

ああ、そうだ。

ヘンタイスキルも悪くないのだ。

俺はただ、いつものようにパンツを被ったり、脱いだりしながらそう思うのだった。



ー終わりー

二年間の間、読んでいただき本当にありがとうございました。

中だるみしたり、よくわからなかったりするところも多々あったりしたとは思いますが、ここまで読んでいただき本当に感謝しかありません。

また、自分が書いた作品に出合い読んでいただければ幸いと思います。

本当にありがとうございました。

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