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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
パーティーにヘンタイが増えた

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38話

やはり朝ごはんといえばこれだろう。

俺はお味噌汁と昨日の夜ご飯のとき残していたパンに野菜などを挟んで軽くあぶるようにて焼く。

これによって野菜の水分が少しパンにしみ込んで柔らかくなるというものだ。

本当のところをいうと朝食になるとご飯がいいのだけれど、今のところは白米が見つからなかったし、外でご飯を炊くなら、飯盒のようなしっかりと蓋ができる鍋が必要になってくるので、それが今はない時点で作るのは難しい。

あとはそうなるとお漬物もほしくなるしで、いるものが増えるから難しいというところもある。

それでも美味しそうにできたご飯を見て、みんなが目を輝かせるのを感じて、俺は嬉しくなる。


「ただし…いいにおいを漂わしすぎです」

「本当にね。そのせいかはわからないけど、シバルはよだれ出していたもんね」

「そ、それは騎士としても恥ずかしい」

「そうね」

「そうだ、ただし。どうして夜変わってくれなかったんだ?」


からかわれるのが恥ずかしかったのだろう、話題を変えるためにもシバルは自分と交代する予定だったのにも関わらずに、そうしなかった理由を聞かれるが、俺はそれの答えをあらかじめ考えていたのでそれを口にする。


「それは俺も寝てたからだ」

「ええー」

「さすがにな、ここまで歩いてきたからか、疲れてな。」


そう言ってとぼける。

すると、それを見たシバルが呆れたように言う。


「それは見張りの意味がないのでは?まあ、寝ていたボクが言えることじゃないかもですけど」

「そうだな。それに、このバリアがあるおかげで、何か変わったことが起きることはなかったしな」

「そうなんですけど…」


騎士としての役割が果たせなかったことで少し不貞腐れているのだろう。

本当のことを言ってしまうと、ずっと起きて監視をしていが、それを言ってしまうと、シバルが落ち込んでしまいそうなので言うことはない。

それに、本当にただ起きて周りを見ていただけで、他には何もしていないので、感謝されることもないのだ。

それくらいにはアイラの張ったホーリーバリアが活躍していたということだろう。

本当に、魔法って便利だ。

俺にはそれが、羨ましいという言葉しかでてこないが…

そんなことを考えながらも、俺たちはご飯を食べ進める。


「ご馳走様でした」

「おう、それじゃ行きますか?」

「そうね」

「はい」

「ふふふ、それじゃわたくしとはそろそろお別れですね」

「そうだな」


その言葉を聞いて、今更ながらバーバルが俺たちを目的地が近いから一緒に来ていたことを思い出す。

どうやらバーバルは、俺たちが依頼を受けているモンスターがいる岩山の隣にある森の方に用事があるようだ。

少し内容を聞いた限りでは、何かの探索依頼ということらしいので、もし探し終えるタイミングが同じであれば、帰るときも一緒に帰ることができるだろう。

まあ、それもまずはお互いの依頼がしっかり成功することが大前提にはなるがな。

そうして別れた俺たちは岩山に入る前に荷物を隠すように置いた。

岩山の奥を見た俺たちはお互いを見ると、口を開く。


「よし!」

「やるわよ」

「はい」


俺たちは三者三様の意気込みをもって、ガマガエル討伐に向けて岩山に入る。

すぐにガマガエルが見つかるというわけではない。


「まずは水辺を探さないとね」

「えっと、何が書いてあったんだっけ?」

「はい。ガマガエルの生態は山にある石を好んで食べますが、水辺がある山にしか生息できないということですね」

「どうしてなんだ?」

「ガマガエルは石を食べるカエルですが、その肝心な石を消化するのに、水を一緒に取らないといけないということみたいですね」

「なるほどな」


話しを聞いただけでは、かなり残念な生物に思える。

岩を食べるというのに、水が必要とか…

かなり矛盾しているだろ。

だからこそ、今回のように岩山に水辺がある場所は、ガマガエルとしては過ごしやしい場所なのだろう。

そんなことを思いながらも、俺は気になったことを聞く。


「そういえば、ガマガエルはモンスターなのか」

「そうですね。突発的モンスターになります」

「突発的モンスター?」

「はい。モンスターにも実は二種類パターンがいまして、一つは前回あったゲートと呼ばれるものから現れるモンスターをディザスターモンスターと呼びます。言ってしまうと、モンスターの災害ですね。」

「なるほど」

「それ以外に、突発的にモンスターが発生、生まれることをアウトブレイクモンスターと言います。ちなみにですが、ディザスターモンスターをディモン。アウトブレイクモンスターをブレモンと呼んでいますね」

「ほう、そのブレモンが今回のモンスターってことでいいんだよな」

「そうですね。まずは水辺を見つけるためにも、川を見つける必要がありますね」


そんなことをシバルと二人で話していたときだった。

気づいたら先行していたアイラがこちらを振り向いて、声をかけてくる。


「ただし、シバル。川が見つかったわよ」


アイラは岩山を少し上って見ていたようで、元気よく声をかけてくれるはいいが、シバルがそんな姿を見てあわあわとしている。

慌てる気持ちはよくわかるが…

俺が気になるのは、スカートの中が見えるかどうかだ。

それにしても、聖女じゃなくなってから、アイラは本当に聖女のときにできなかったことをしてるって感じがするな。

このままというわけにもいけないので、俺はシバルに声をかける。


「それじゃ、俺たちも行きますか」

「はい。アイラ様を一人にしてしまうと、さすがに先々に行ってしまいそうですからね」

「いや、もう行ってるような気がするがな」

「そうですね」


俺とシバルは顔を見合わせて苦笑するとアイラと同じように岩山を登る。

こういうときも心配になったシバルが先に行ってしまうので、後ろからその姿を見るので、勝手にヘンタイスキルが発動するので岩山を登るもの疲れないのがラッキーなのかはわからないが、自称神がそれを見て笑っていそうだ。

そんな中で登り終えたとき、アイラが言う。


「こっちよ!」


上から真剣な表情で水辺があるであろう場所を指さすアイラと同じ方角を見る。

そこには確かに川があった。


「なあ、シバル。」

「はい」

「こういうときは川上に行くのがいいのか?それとも川下に行くのがいいのか、どっちだと思う?」

「そうですね。川上ではないでしょうか?」

「やっぱりそうだよな」


川下がどこにつながっているかはわからないけれど、俺がいた世界では川を下っていくと、基本的に海へとつながっていたから、もしこの世界でも同じならカエルは海では暮らせないだろうからだ。

といっても、モンスターなので俺の常識が通じるかが不安ではあるが…

とりあえずということで俺たちは川上に向かって歩き出した。


「簡単な予想を言っていいか?」

「なんですか?」

「このまま上に上がれば滝があるよな」

「ここは山ですからね、そのようなこともありますね」

「そこで違う生き物とかに出会ったりしないのか?」

「どうですかね」


早速気になったことを聞いてみたが、シバルからの反応としては行ってみないとわからないというものだった。

確かに騎士としても長くやってきたシバルからしても、予測できないことがおきるということもあるので、下手なことを言えないのだろう。


「どうしてそんなことが気になったのですか?」

「なんとなくだけどな」

「でも、滝のこと知っていたんですね。」

「それくらいはな。なんとなく知識としてうろ覚えだけどな」

「そうですか」


適当なことを答えながらも、頭の中ではかなり焦っていた。

危ない、危ない。

自分の設定を自分で忘れるところだった。

ちなみにアイラはというと、初めて行く場所に心躍るという感じで、先ほどと同じように一人先に進んでいる。

なんだろうか、この子守りをしているような感覚は…

そんなことを思いながらも、俺たちは進んでいく。

そして予想通りの展開が待ち受けていた。

ドドドという滝のようなものが流れる音が近くに聞こえるようになってきたのだ。

これはかなり水辺が近いということだ。

さすがに滝の音が近くなってきたということもあるが、先行していたアイラも離れることをやめて、近くにくる。

そろそろモンスターと遭遇する確率が高くなったということだろう。

そして、岩山の陰から滝を見れる位置まで来たときだった。


「いるわね」

「みたいだな」

「はい」


俺たちはとうとうというべきか、ガマガエルと呼ばれるモンスターを発見したのだった。

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