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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは世界を救う

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372/382

370話

「はあ?何を言ってるんですか?」

「いや、そのままの意味なんだが…」

「意味がわからないと言っているわけじゃないんですよ、俺は…」


だったら、どうしてそういう反応になるのかがわからない。

俺は魔王になると言っているだけなのに…

ただ、プレイはそんな俺の言葉を聞いても、納得はしていないようだ。

そんなプレイに畳みかけるようにして、俺は話す。


「魔王になるっていうのが、そんなにおかしいことなのか?」

「おかしいでしょう。そもそも魔王になるということが、できるのかさえわからないことではないでしょうか?」

「本当にそうか?」

「どういうことですか?」

「この世界で、プレイは役割を最初からもって神様になったといったな」

「はい、そう言いましたが…」

「役割が最初からある人を俺は、もう一人知っている」

「それは、もしかしなくても今の魔王のことですか?」

「そういうことだ。ヤミについても、最初から魔王だということになぜかなっていたからな」

「確かにそうですね。でもそれは…」

「それなりの力があって、その中から神様とやらが選んだんじゃないのか?」

「…」


どうやら正解だったらしく、プレイは何も言えなくなる。

思いついたことだった。

魔王というものは神に選ばれた存在だというのは、前の会話からわかっていた。

そして、俺が神様とちゃんと認められるようになるのに必要なことというのか、他の神様たちを黙らせるために必要なことというのが、プレイを倒すことなのだろう。

ただ、それをしないことには、俺たちはもしかすればこの神界から元の場所へ戻れないのかもしれない。

そんなときに思ったことというのが、そもそもこの世界のクリア方法だった。

魔王を倒すこと…

そうすることによって、神様が願い事を叶えてくれて、この世界から解放されるというものだ。

ああ、そういえばもう一つあったはずだ。

俺を倒すことで願いを叶えてくれるというもの…

でも、それは俺が倒されることによってスターに迷惑をかけるということが確定しているため、使うことができない。

だったら、やることは魔王を倒すこと。

でも、今のままであれば魔王はヤミのままだ。

そこで神様である、プレイに魔王をヤミではなく、俺にしてもらおうということになる。


「本当に正気なのですか?」

「もちろんだ」

「この世界に転生したのですから、この後の人生も送ることができるのですよ」

「確かにそうなのかもしれないけどな。俺はもともとこの世界の住人じゃないしな…それに…」

「なんですか?」

「俺は考えていたことだ。この世界を離れるときのことをな」

「どういうことでしょうか?」

「今は神界にいるから、どういうわけか、みんなが消えてしまった他の勇者のことを覚えているだろう。でも、元の世界に帰ったときに、それは忘れてしまうからもしれない」

「だから、消えてしまうのは、ただしがいいってことですか?」

「そういうことだ。どうだ?いい考えじゃないか?」

「それは、でも、スターが…」

「悲しむってか?」

「はい、俺はそう思います。だから俺を…」

「倒せってか?」

「はい」

「それはできないって、さっき言っただろ?」

「どうしてですか?」

「いい加減、わかるだろ?俺のスキルはヘンタイだぞ?女性を傷つけることはできないってな」


そう、結局神様となるのであれば、今のままヘンタイ神として神となるのだ。

ヘンタイというのであれば、女性を傷つけるタイミングは特殊なプレイのときだけすると決めている。

だからこそ、プレイが女性だということがわかっている今、俺にはプレイを倒すということができない。


「なあ、わかるだろ?」

「そうですね」

「嫌なのか?」

「はい、俺の存在が…」

「そんなもの、今からでも新しいものを探せばいいんじゃないのか?」

「そんな簡単にできれば…」

「苦労しないってか?」

「だって、それはそうじゃないんですか?」

「確かにそうなのかもしれないな。でも、どうせなら新しいことが待ってるって考えたほうがよくないか?」

「そんなに都合よくなることはあり得ませんよ」

「そうかもな!でも、神様が都合よく世界を扱おうとした結果、俺というイレギュラーが変えてしまったんだぞ?だったら、プレイがこの後も都合よくいい何かを見つけるって考えるのも不思議なことじゃないだろ?」

「確かに、その通りですね」

「だろう?」

「はい」

「だったら、いい加減終わらせようぜ、この世界というか、神様とやらの悪だくみをな」

「そうですね」


プレイはそう言って笑う。

もともと中世的な顔立ちのプレイが笑うと、神様の美貌と言えばいいのだろうか、絵になる。

そんなことを考えながらも、俺はプレイの支持によって魔王となるのだった。


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