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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
パーティーにヘンタイが増えた

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37話

わたくしは起きると、すぐに周りを確認した。

全員寝ているみたいだし、今なら大丈夫のようね。

昨日は予想外のことが起きたから、予定が狂ってしまったけれど、今日は大丈夫よね。

そんなことを考えていると、トカゲのような生き物が近づいてきた。


【どう?贄は見つかったのかしら?】

「はい」

【だったら早く連れてきなさい】

「わかっています」


そのトカゲが離れていくのを待ってから、心の中でごめんなさいと思いながらも、わたくしは横に寝ている女性二人を見る。

贄はこの二人でいいだろう。

一人は元聖女として活躍していて、いまだにかなりの力を持っているし、もう一人は女性騎士としてわたくしも名前を聞いたことがあるほどだ。

この二人を差し出すことができれば贄も足りて、わたくしの役目も終わるだろう。

そうなったら、わたくしも同じように…

冒険者として夢見た時間が少しでもあったのだから、それで幸せなのだと思うしかない。

もし、何かあいつらが情けをかけることがあったのなら、わたくしはこの二人のために、時間をかけて償うことにしよう。。

贄は二人、それもかなり強力な二人だ。

この二人なら文句はないだろうけれど、それでも問題はあった。

このパーティーには一人男がいることだ。

でも、男なのだからうまくいけば協力者にできるのだろうか…

この体を差し出せば、そんな風になってもらえるかしら?

でも…

うまくいかなかったらと考えてしまう。


「はは…ずっとわたくしは結局自分のことばかり、誰かのことを考えていない。そんな自分が…」


嫌になる。

声にならない声で涙を流す。

誰にも知られないところで…

でも、それも解放される。

だから二人に謝りながらも、わたくしは自分自身のためにやることをやるのだった。



嗚咽も漏らさないでバーバルが泣いていることを知りながらも、私は何もできない。

それは何も知らない人間が、やることではないからだ。

わかっているけど何もできないってこういうことを言うのかな。

起きてバーバルが座っているなって思ったけど…

泣いてるなんてね。

何か事情があるにしても、ここで私が聞いていいものか悩む。

それでも、さっきの魔法から考えてちょっと理解しちゃうかな。

さっきの火を使った魔法も、魔法を扱う出力をしっかりとわかっているからできることだ。

自信というべきか、過信というべきか…

それがあるせいで、その自信が何かによって壊されたときにどんなことが起こるのかが、想像できてしまっていた。

私にもあったそれは、面倒ごとに巻き込まれるということにも繋がる。

私には同じような悩みを抱えたシバルがいてくれたからなー…

そう一人じゃなかったから、別に誰か悪い人に騙されるということも、闇に落ちるなんてこともなかった。

だけど、そうじゃないのなら、たぶん…

そこまで考えたときだった。

いいにおいが漂ってくる。

だからだろう、シバルの体がピクリと動いた。

ぼさっとしていればシバルが起きてしまうだろう。

私は一芝居うつことにした。


「うんーん…」


そんな声とともに伸びをしながら、私は今起きたように感じさせる動きをする。

バーバルはまずいと思ったのだろう。

慌てて流していた涙をふくような服がすれる音が聞こえてきた。

それで何をしているのかはわかったけれど、私が今何かをできるわけじゃないしなー。

これを知っちゃったら、余計にいがみ合う気にもなれないね。

こういうのってただしやシバルに言うべきなのかな?

ううん、いいや。

下手に何かをして警戒されちゃっても仕方ないことだし…

私は私で、やれることをするだけだね。

隠しているというか、秘密にしていること、私にもたくさんあるもんね。

そんなことを思いながらも、私はシバルを起こすとただしの方に向かう。

シバルがよだれをたらしながらもよく寝ていたのを見て、笑ってしまったことで、モヤッとしたものが少し収まったからというのもあるのだろうけれど、その後は普通にバーバルと接することができたのだった。

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