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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは世界を救う

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360話

渡された紙に書かれた内容というのは、簡単なこと。

ただ、私にはかなりの勇気がいる内容ではあった。


「これ、本当にやらないといけないのかな…」


一人しかいなくなった場所で、そう口にするけれど、約束の時間にはやらないといけないというのはわかっている。

だからといって、自分の中にあるケッペキスキルがそれを拒否している。

書かれた内容というのは、ヘンタイ神を崇めよというものだった。

ヘンタイ神?

そう、やることというのはただしをヘンタイの神とするというものだった。

そう言われても、最初はピンとはこなかったけれど、セイクリッドが今どうなっているのかを考えちゃうと、あり得ない話ではなかった。

パンツを被った何物かを推すかのようなことをするのがこの国なので、私はそれを後押しするだけでいいという話しだった。

それによって、セイクリッドではヘンタイ神という神をさらに信仰させるということにする。

よって、人々から絶大な人気を誇ったただしは神様となる…


「やるしかないことはわかってるんだけど、うまくいくの?」


これからやることは荒唐無稽な内容であることは話しを聞いた私自身もわかっていた。

だから、正直なところを言えば、うまくいくのかすらもわかっていない。

でも、時間がくればやるしかない。

すぐにやらないのは、各々の国でセッティングがあるからで、演説というべきか、ヘンタイ神を崇めさせるために必要な行為をするのにも人をある程度集める必要がある。

それについては、アネさんがうまく纏めてくれているはずだった。

後は準備が完了するのを待つだけではあるものの、どんなことを話すことにすればいいのかはわからない。


「そんなの、適当なことでいいでしょ?」

「ミライ…そう思うならミライが言えばいいんじゃないの?」

「私は嫌。そういうのはちゃんとただしのパーティーであるアイラがやらないとね」

「絶対に話しをしたくないだけでしょ!」

「そう思う?」

「もちろん」

「だったら、私がやろうか?」


絶対にやりたくない、そう言うと思っていたからこそ、まさかのことを言われて戸惑ってしまう。

ここはミライに任せたほうがいいのだろうか?

でも、そうなってしまうと、私がここにいる意味って…

それに、頼まれたのは私なのに…

そんなことが頭の中にぐるぐると回る。

考えているというのが、ミライにもわかったのだろう。

ミライは私のことを少し押す。


「何?」

「ううん、そうやって悩むぐらいならやったらいいのにって思うだけ」

「確かにそうなんだけど…」

「何が不満なの?」

「それは…そのやっぱりこれよ!」


私はそう言って、それを見せる。

そこにあるのは、買いたてなので綺麗なのはわかってはいるものの、女性用の下着だった。


「これを被って何かを話さないといけないっていうのが嫌なだけなのよ。わかるでしょ?」

「そうだね。それは確かにわかるよ。だったら被らなくてもいいんじゃないの?」

「でも、シバルやバーバルは被るって言ってたんだから!」


アイラのその言葉で、ミライはなんとなく察する。

二人が被っているのだから、私も被らなくてはいけないと思っているのだろうということを…

だけど、ミライ自身はわかっている。

その二人が特殊なだけで、アイラも真似をする必要はないんじゃないのかっていうことを…

でも、アイラはなんだかんだと言いながらも、パンツを被って喋るということはわかっていた。

ミライが視た未来でしていたからだった。

そう、未来を視ていたから、わかっていたはずだった。

だというのに、アイラは違った。

魔力がある人で、初めてミライのヨチスキルを破った人、それがアイラなのだが…

その破ったことというのが、パンツを被り、さらにはブラジャーもつけるというまさにただしが乗り移ったのかと思うような恰好だったのは、ミライ自身も予想はしていなかった。

だけれど、その後の演説ではしっかりと役割を果たす。

アイラはそう、それなりに集まった人の前で、演説のようなものを行うのだった。

緊張をしないといえばウソにはなるけれど、それでもここに立てているのは、パンツを被っているからというのもあるのだろうと、今更ながらに思ってしまう。

良くも悪くも、こうなってしまえば、自分の視界には人が映らない。

感覚が研ぎ澄まされていることによって、魔力を感じて人がどれだけいるのかもわかるような感覚になる。

後は、嬉しくはないけれど、ただしと同じ格好をしているということがいいことだったのかもしれない。

アイラは気合を入れて話をはじめる。


「あなたたちは、自分の未来を変えられる人を知っていますか?それは神でもなければ周りの人でもありません。あなた自身なのです」

『わああああああああああ』

「こんな恰好をしていますが、それを教えてくれたのは、こんな恰好をしていた人でしょう。自分が変わろうと思えば、その日からあなたは思考が行動がそっちに引っ張られるようにして変わるのです」

『わああああああああああ』

「それも未来で予想されていたことと、誰かが言うかもしれません。でも、それでもその未来を上回る何かを成し遂げればいいと思います」

『わああああああああああ』

「だから、おかしな恰好をしてもいいのです。そうやって少しずつでも自分を変えていきましょう!」

『うおおおおおおおおおお』


何か特別なことを言った覚えは私はない。

それでも、みんなは盛り上がってくれる。

どこからか、そうだヘンタイ様に続けという言葉が聞こえてくる。

信仰と呼ぶにはちょっと違うものだったのかもしれないけれど、それでも私たちが出会ったただしという男ならこんなことを言いそうだと思いながら口にした。

そして、私は魔力を高める。

同じく、波長を合わせるようにして四つの国から魔力の高まりが起こるのだった。


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