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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは世界を救う

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358/382

356話

「結局は何がしたかったんだ?」

「何がしたかったのだと思いますか?」

「さあな、神様のしたいことなんか、俺にわかるはずないだろ?」

「確かに、そうなのかもしれませんね」


黒い神はそう言葉にする。

俺とヤミの混ざり合った攻撃によって黒い神は倒すことができたのだが、この黒い神が敵だったのかどうかはわからない。

俺を試すような戦い方といい、完全に何かを伝えようとしてきているかのような戦い方だった。

わざわざ同じ相手に技を教わったこと言ってきたことといい、その後に俺をわざと怒らせるようなことを言ってきたことを考えてもそうとしか思えない。

だからこそ、なんとなくわかるのは黒い神はスターの父親を殺した相手というわけではないのだろう。

そうじゃなければ、わざわざ俺にそんなことを言わないのだろうからだ。

まあ、今それを気にしたところで仕方ないのかもしれないが…


「俺が勝ったってことでいいのか?」

「倒れた俺を見ても、勝っていないというのですか?」

「別にそういうことを言いたいわけじゃないけどな。確認ってやつだ」

「そういうものですか」

「そういうものだ」

「では、そろそろ消えるとしましょうか?」

「どうして疑問形なんだ?」

「わかりませんか?」

「なんとなくわかる。上に帰る前に何か言いたいことでもあるからだろ?」

「さすがですね」

「お前の思考なんかわかりたくはないけどな」

「そう言わないでくださいよ」

「だったら早く言ってくれ」

「仕方ありませんね。この人を頼みますよ」

「この人ってクロのことか?」

「はい。あなたも気づいてやっていることでしょう?終わらせるためには勇者をどうにかしないといけませんよ」

「そうかよ…」

「それに…」

「なんだ?」

「いえ、これ以上は直接話をして確認してください」

「説明が面倒くさいだけだろ?」

「そうかもしれませんね。また、上で会いましょう」


黒い神はそう言葉にして、消える。

数分してクロは目覚めた。


「あ…いてえ…」

「起きたか?」

「ただし!俺はまだやれる!」

「自分の今を見てもそう思うのか?」

「なんだと?」


クロはそう言いながらも体を見た。

それまで体にまとわりついていた黒いもの。

憎悪の塊がなくなっている。

こうなってしまえば、先ほどまでの強さというものもなくなっているだろう。


「まだやるのか?」

「俺は、この世界で変わるために来たんだ!」

「だったら立てよ」

「言われなくてもそうする」

「おぬし!」

「ヤミ…」

「じゃが…」

「いいんだ」


ゆっくり立ち上がるクロを見て、ヤミが声を荒げるが、俺はそれを制する。

ここでクロと戦わないといけないのは決まっているのだからだ。


「俺の方が強いんだ、俺の方が!」

「だったら、俺を倒せばいいだろ?」

「うるせえ、俺は!」

「いいから魔法を撃ってこい!」


俺はそう言葉にする。

それに呼応するかのようにクロは魔力を高める。

少し黒い何かがクロにまとわりつく。


「俺の憎しみがこんな簡単になくなるわけないんだよ!」

「だったら、その憎しみを込めた攻撃をしてこいよ」

「そんなこと、言われなくてもわかってる!黒炎よ、黒炎よ…燃えて燃えて、憎しみの炎となれ、煉獄、パーガトーリィ」


黒いネットリとした炎が俺に向かってくる。

今までと同じかそれ以上に異質なもの。

だけど、それを見て思うのは残念な攻撃だと思ってしまう。

強い攻撃ではあるが、その憎みは俺に向けてのものじゃないからだ。

俺を倒すのであれば、俺を憎む力で倒すものだと思ってしまう。


「あんな攻撃どうするのじゃ!」


クロの攻撃を心配そうに見るヤミの方を俺は見る。


「なんなのじゃ?」

「いや、なんとかしようと思ってな」

「ち、近づいてくるな、なのじゃ」

「そう言われてもな…じゃあ、手でもつなぐか?」

「なんなのじゃ?」

「いや、ちょっとな」


ゆっくりと迫りくる炎に対して、俺は少し嫌がるヤミの手をつなぐ。

見た目通りで、ヤミの手は中身に反して小さくて柔らかい。

いつかの肩車を思い出すが、今はそこじゃない。

しっかりとこの感触を体に流しておく。

これでヘンタイスキルは強化される。


「なんなのじゃ?」


ヤミはそう言うが、俺は無視して炎に向かっていく。

まじまじヤミのことを見たことによって、離れていく際に見えたヤミの恥ずかしそうな顔といい、それを見ることによってさらにヘンタイスキルが増す。

俺は生きて確実にヤミの元へ帰る。

そう自分の中で思うことで生命力は増している。

俺は全身に気を纏う。

そのままゆっくりと炎に向かっていくのだった。


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