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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは世界を救う

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354話

相殺したのを確認した俺は足に力を込めてヤミに合図を送る。


「ヤミ、行くぞ」

「仕方ないのじゃ」


俺は右に向かい、ヤミは左に向かう。


「ドラゴンネイル」


まずはその言葉とともにヤミの放つドラゴンの爪が黒い神に向かっていく。

先ほどのときにはちゃんと気づいていなかったが、今までのものとは違い、今のドラゴンネイルは手を魔力として飛ばすことができている。

ドラゴンとしての大きな手と爪が黒い神へと向かっていく。

それを見て、黒い神は確信をもって言う。


「いいですね!これを防ぐと次はあなたの攻撃が来るということですね」

「いんや、違う」


俺はそう言うと、ヤミが出したドラゴンの手を、気を纏った拳で後ろから殴る。


「何!」

「なんじゃと!」

「どうしてヤミが驚くんだよ…」


それによって出来上がったのは、魔力と気を纏った手。

もしかすればできるのではと思っていたこれは、クロとそして今黒い神となった相手を見て思っていたことだった。

俺一人では絶対にできることがない技。

それが、魔力と気を混ぜた攻撃をするということだった。

クロとかであれば、魔法に憎悪の塊を乗せて、目の前にいる黒い神は二つを最初から混ぜることによって攻撃をしてきている。

それを俺もできるのではないかと考えた。

だから、ヤミの攻撃に纏わせるようにして気を放ったのだ。

うまくいく確証はなかったが、憎悪の塊を弾いたときに感じた気をうまく使うやり方と、ロシュツスキルを使っているヤミと、その露出によってヘンタイスキルが発動している俺ということで、かみ合わさったのだろう。

強化されたドラゴンネイルが黒い神へと向かっていく。


「いいですね。こういうものを望んでいたのですよ、俺はね!シンカイ流、六の拳、ゴッドラッシュ」


それに対して、黒い神は多くの拳で対処してくる。


「いいですね、いいですね!」


案の定というべきか、黒い神はそれをはじき返してくる。

俺とヤミ、二人ともが強化されたといえど、まだ足りないということなのだろう。

どうすれば勝てるのか?

そう考えていたのもあるが、こちらは二人いることで油断していた。

気づいたときには、黒い神が目の前にいた。


「油断はダメですよ。シンカイ流、三の拳、ライトニングゴッド。続けて、シンカイ流、一の拳、トルネードゴッド」


俺は迫りくる拳をギリギリのところで頭を下げることで躱す。

黒い神は、そんな俺の動きもわかっているように、さらに攻撃を繰り出す。


「シンカイ流、八の拳、バックゴッドフィスト」

「く…」


俺はなんとか顔の前に腕をクロスすることで直撃は防ぐ。


「さすがというところですね。今のを対応してしまうのは…」

「対応できてないけどな…」


そう言葉にしながらも、攻撃をなんとか防げた腕に力を込める。

当たり前のことだが、攻撃を防ぐことによって、腕にはダメージが入ってしまっている。

いてえな、本当に…

しかも、今の攻撃はなんだよ。

俺と同じ人に教わったくせして、俺よりも使える技が多いのかよ。

先ほどの裏拳を見てそう思う。

一緒の人に教わったということは、スターの父親から技を教わったということで間違いないのだろう。

でも、そうなると思うところはあった。


「気になったんだが…」

「なんですか?俺が答えられることであれば、答えますよ」

「じゃあ聞くけどな。俺と同じ人に教わったということでいいんだよな」

「そうだと言いましたよ」

「だったら、どうしてスターのことを助けようとは思わないんだ?」

「ああ、そういうことですか…」


そう、スターのこともちゃんとわかっているはずだ。

だからこそ、俺とは違ってこの目の前にいる神には、スターを助けるという大義名分のようなものがあるはずだ。

こうなることがわかっているような気がしたからというところも大きい。

ただ、黒い神は少し考える仕草をすると笑いだす。


「くくく、はははははは!」

「何がおかしいんだよ」

「おかしいに決まっていますよ。だって、俺がスターの父親を神から追い出した…いや、殺したのですからね」

「は?」


こいつは何を言っているんだ?

俺はわけがわからなかった。

でも、次に続く言葉がなんとなく予想できてしまい、体に力が入る。


「あなたもなんとなく気づいているはずですよ。その予想は当たっています。まさしく召喚された勇者と、召喚した神には同じように願いを叶えることができるのです。だから俺は…」

「うおおおおおおお」

「おおっと!」


言い終わる前に、俺は黒い神に拳を突き出す。

ただ、それは簡単に避けられてしまう。

黒い神はやれやれとばかりに手を広げて言う。


「やれやれ…最後まで言い終わらせてほしいのですが…」

「うるせえ」


俺はそう言いながらも、さらに近づくために地面を蹴ろうとしたところでヤミに頭を叩かれたのだ


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