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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは世界を救う

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353/382

351話

クロからでていた黒い何かごと殴りつけた俺は、すぐに倦怠感に包まれた。

そして頭の中をめぐるのは、怒りの感情だった。

やれ、感情のまま倒せという感情が頭の中をめぐる。

俺はその感情のままクロを再度殴りつけるはずもなかった。

すぐに正気を取り戻して頭を振る。


「ちっ、なんだよ、これは…」

「はは!いいだろう?俺の憎悪スキルは、俺だけじゃないこの黒いものに触れるだけで、それに包まれるんだよ。今度はもっと触れていいんだぞ!」


そんな言葉とともに、クロは俺に向かってくる。

魔法など唱えなくても十分なほどの黒い何かがクロを包み込んでいる。

触れるとよくないものだということをクロ自身もわかっているからこその突貫だ。

どうすれば触れないで避けられるのかということを考えようとしたとき、視界に肌色が広がる。


「は?」

「鬱陶しいのじゃ!ドラゴンネイル!」


疑問に思う間もなく、放たれたのはドラゴンの爪。

それによって、クロは後退を余儀なくされる。


「はは!とうとう魔王様も参戦ってことだな!」

「えっと、ヤミ…」

「なんじゃ…」

「ツッコミをいれた方がいいか?」

「どっちかというと、あまり触れないでほしいのじゃ…」


そう言いながらも横に並んだヤミの服装は、先ほどの肌色が見えたことからわかるように、大事な部分しか隠れていないような下着だった。


「わらわじゃって、わらわじゃって…もう少しまともなスキルが備わっておったのなら、こんな服装をしなくてよかったのじゃ」

「た、確かにそうだな」


本気で少し絶望したように言うヤミを見て、少しかわいそうに思いながらも、俺も下着を被っている以上は同じようなものだよなと思ってしまう。

このときに、大丈夫だ、俺と一緒になっただけだろ?

みたいな言葉をかけることができればよかったのだろうが、珍しく目に涙を浮かべているヤミを見て、さすがにそんなことは言えなかった。

そのヤミを見て、ある違和感に気づいた。

ヘンタイ眼で視ている限りでは、全くというほど魔力が暴走している感じがなかったからだ。

どういうことだと思っていると、ヤミが言う。


「さっきの勇者を見ていて思ったのじゃ、わらわもやらないといけないというのがの」

「そういうものなのか?」

「当たり前なのじゃ!おぬしもそうじゃろ?だから殴りに行ったのじゃないのかの」

「それは…」


確かにそうだった。

勇者の一人である、金色風魔が最後にやったこと、あれをわかっているのはこの場で俺とヤミだけだ。

そして、それを見た俺たちは当たり前のことだけど、心を動かされたと言っていいのだろう。

俺はバカにするクロに対して思わず拳を振り上げていたし、ヤミも自分が暴走する可能性があるのにも関わらず攻撃を行った。

俺たちは、あの勇者たちに動かされている?

そう考えると、どこかおかしかった。


「ヤミ、いけるのか?」


俺は隣に立っているヤミにそう聞く。

ヤミは力強くうなずくと言う。


「当たり前なのじゃ」


その言葉とともに、俺は再度ヘンタイスキルを発動する。

横には幼女体系とはいえど、言ってしまえば合法ロリ美少女がかなり際どい姿で立っている。

チラッとそちらを見ただけで、どことなく見えてしまいそうなくらいには、その姿はかなり際どい。

だからこそ、しっかりとその姿を観察することでヘンタイスキルは発動する。

そしてしっかりと拳を構える。

そんな俺たちを見たクロは笑う。


「はは!どうした?変な恰好をするだけで、俺に向かってこないのか?」

「向かう必要がないからな」

「なんだと?俺に、俺にそんなことをいうなんて、ただしといえどさすがに怒るぞ!」

「怒ればいいんじゃないか?」


いつものように怒り始めたクロに対して、俺はそう冷静に返す。

俺は、どこかヘンタイスキルをちゃんと理解した気でいた。

でも、俺はこのときようやくといっていいのか、本当の意味でヘンタイスキルを理解した感じがした。

ヘンタイスキルが発動することによって俺に感じるエネルギー。

そして、気というものも含めて…

俺はクロに向かってゆっくりと歩き始める。

それを見たクロは笑うと俺に向かってくる。

当たり前のように黒い何かを纏ったまま…

そして言う。


「さあ、殴れるものなら殴ってみろ!」

「ああ、そうさせてもらう!」

「は?」


驚くクロとは違い、固めた拳を振りぬいたのだった。


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