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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと旅立つ人たち

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338話

「ミライは大丈夫なのか?」


馬鹿げたことを言ったアイラにそう言葉をかけると、アイラは頷く。


「大丈夫じゃなかったら、ここには来ないと思うんだけど」

「確かにそうなんだけどな。さすがに早いと思ってな」

「別に、ミライもすぐに目を覚ましたからね」

「そうなのか?」

「そうよ。ミライにも言われたしね。早くいくようにって…」

「そういうことか」


ミライには、視えたのだろう。

俺たちが何を話すのかというのが…

だから、アイラたちにもそれを知ってもらうためにすぐにこの場所に来てもらう必要があった。

自分の心配よりも、伝えることを優先した結果ということなのだろう。

まあ、それなら盗み聞きということをしなくてもよかったのではないのかと思うが、アイラは違ったらしい。

こういうことをするというのも面白そうだからということらしい。

なんでそんなことがわかるのかというと、アイラが今自信満々に言っているからだった。


「これも、やりたかったことの一つでもあるからね」

「そうなのか…」

「ただし、すみません。ボクにはアイラ様を止めることはできなくて…」

「いや、いいんだけどな」

「それで、ただし…」

「なんだ?」


俺はそこであることを聞く。

次の目的は風の勇者に会いに行くというものだ。

ただ、その前にミライのところへ行くようにとアイラに言われた俺は、ミライが休んでいる部屋へやってきていた。


「どうして俺を呼んだんだ?」

「独り占めをしたかったからって言ったら、おかしい?」

「おかしくはないけど、驚きはするな。そういうことは言わなそうだからな」

「確かに、私はそういうことを言うのは、アイラの手前嫌ではあるかな」

「そうだろ?」

「うん」

「ちなみにだが、アイラは盗み聞きをしていたぞ」

「何それ?」

「やりたかったことらしい…」

「はあ…私が世間知らずにしてしまったところはあるけど、本当になんて言っていいのかわからないことをたまにしてしまうところだけはかわんないか…」

「仕方ないんじゃないのか?ミライもそういうところあるだろ?」

「私はないからね!」

「え?」

「うん?」

「はは…」

「ぷくく…」


俺たちはそして笑いあう。

少し笑ったところで、俺は本題を切り出す。


「それで?ミライはどうしてここに俺を呼んだんだ?」

「それは独り占めしたかったからで…」

「いや、それはもういいからな」

「ちぇ…それならいいけど。言いたかったことがあってね」

「言いたいこと?」

「そうだよ。私はこう見えてもヨチスキルで未来を視ることができるのは知ってるよね」

「一応な」

「一緒に行ったこともあるんだし、そこは当然って言ってほしいけど」

「よくない記憶だな」

「ねえ、そういうことを言わないでもらっていい?私だって、パンツを被った人との共闘なんて本当は嫌だったんだからね」

「それを言われると何も言えないな」

「ふふーん、そうでしょ?って毎回話題が逸れるけど、それじゃないよ。伝えたかったんだよ。ただしのこれからのことについて…」

「これからのことについてだと?」

「そうだよ。ちゃんとヨチスキルで視たんだからね」

「その内容に何か変わったところがあったのか?」

「そういうことだよ。聞かなくてもいいの?」

「前も言っただろ?未来を聞いても、わからないだろってな。変えられる可能性だってあるわけだしな」

「ただしなら、確かにそうなんだろうけど。これは、ただし以外のみんなについてのことなんだけど…」

「そうなのか?」

「うん。言いたいことわかる?」

「なんとなくな」


言いたいことと言われて、なんとなく思いつくことはあった。

それは、勇者たちが消えていることについてだろう。

そこから考えられる未来というのは、俺も消えるというものだ。

だから俺の未来を視ることによって、影響があるとすればアイラたちにだ。

でも…


「まあ、俺は別に転生させられて、無理やりここに連れてこられたわけだしな」

「そうだけど、いいの?私もさっきのことを考えると、ただしのことを覚えていられるかわからないから…」

「そうなったら、そうなったってことじゃないのか?」

「はあ…本当に言いたいことがわかってるのか、どうなのか、わからないことをただしは言うよね」

「仕方ないだろ、そのときにならないと本当のことなんかわからないわけだしな」

「確かに、ただしならパンツでも被って、この世界にずっといそうだもんね」

「なんだよ、そのヘンタイは…」

「え?ただしのことだよ!」

「まじか…」

「ぷ、ぷくく…」


俺はミライが笑うのを見て思う。

確かに、ミライが視た未来では、そうなる可能性が高いのだろう。

それがうまくいった未来なのか、どうなのかわからないけれど、大きな可能性の一つだと考えておくのがいいということだ。

後はだ…


「どうなるのかはわからないけどな。勇者のことは任せろ」

「うん。頑張って」

「ああ…」


俺はそう言って部屋を出ていく。

出る前にミライの言葉が背中に届く。


「あの人も未来を変えているから…」


そんな言葉が…


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