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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと旅立つ人たち

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333話

「はあはあ…」

「ふふ、ミライはスキルで避けても、体力が持たないことはわかっていたからね。これで終わりよ!」

「エル、頼めるか?」

「しょうがねえな」


結局のところ、最後は体力的にキツいミライがアイラに追い詰められる形になったのだが、今のアイラの拳を受けることは危険と判断した俺はエルにお願いをする。

エルもわかっていたのか、しょうがないという感じでゲートを作る。

ミライに振るうはずだったアイラはそのままゲートに吸い込まれていき、その拳は誰もいない虚空を殴る。

ケッペキスキルが発動していることで、ひゅっと音がなるその拳は、当たればミライの未来はないのではと思ってしまうくらいには、威力がかなりあった。


「エル?」

「ひ!」


攻撃が空ぶったことによって、空ぶらせた本人であるエルに強烈な視線を向けると、さすがのエルも俺の後ろに隠れる。

さすがに怖すぎる状況に、俺はシバルに目線を送る。

シバルは気づいたようでうなずくとアイラに言う。


「アイラ様、少し落ち着いてください」

「シバル?私は別に落ち着いてるからね」

「そうなのでしょうか?ここで、落ち着いていらっしゃるのなら、ミライ様をこのタイミングで殴ってしまうと勇者と会うのが難しくなるというのがわかるはずです」

「く…確かにそうね」

「わかっていただけましたか?」

「うん。わかった。勇者の話しが終わったら、ミライを一発殴る。これでいいってことね」


それを聞いたミライは必死に首をぶんぶんと振るが、アイラの笑顔を見たシバルは頷くしかなかった。

無論俺たちもだった。

そんなことがありながらも、ようやく落ち着いたタイミングで女性が声をかけてくる。


「お転婆姫にジョブチェンジでもしたのかよ」

「お久しぶりです」

「久しぶり!」


アイラが挨拶をすると、女性も挨拶を返してくれる。

セイクリッドで以前見たことがある女性だ。

ミライとこの女性…

確か名前は…


「うちのこと、覚えてくれてたか?」

「はい、アネさん」

「それならよかった。本当に元気そうで安心したぞ」


アネさんと呼ばれた女性はそう言って、アイラの髪をポンと触る。

されたアイラはどこか嬉しそうだ。

セイクリッドで戦ったときに、このアネと呼ばれた女性にアイラは助けられたと言っていたので、懐いているのだろう。

その功績といえばいいのか、信頼できるというのも込みで、セイクリッドではこのアネと呼ばれた女性とミライが立て直しを行っていた。

だから、ミライが基本的にソウゾウスキルでパンツを被せて言うことを聞かせているが、何度かあったミライが俺たちを助けてくれるような状況になったときには、アネがセイクリッドに残っていろいろなことをしてくれているという話しだった。

そんなアネだったが、そのままの流れでアイラに頭を下げる。


「アネさん?」

「あれだな。セイクリッドがおかしくなっててびっくりしただろ?」

「えっと、はい」

「あれはうちのせいなんだ。すまないな」

「そうだったんですか?」

「ああ…」


そして始まったセイクリッドが何故こうなったのかというのを俺たちは聞いた。

そこで聞かされた内容というのは、俺が考えていたこととほとんど同じだった。

まあ、これでも昔は社畜として働いたこともある。

戦略というのも少しは考えたことがあった。

だから、これくらいはわかる。

これまであった、薬を使ったこの国をなんとかするという方法から、下着をモチーフにしたことによってわかりやすく信仰できるものとして、扱うことにしたのだ。

問題点があるとすれば、モチーフにするしかないものが下着だったというところだろう。

これが普通のものであれば、よかったのだろうが…

上に立っているミライとアネの隣にいたのが下着を被った男二人となれば、こうなるのもどこか仕方ない。

アイラを除いた俺たちはそれで納得する。

アイラも、なんとか自分を納得させようとはしている。


「アネさんがそう言うのなら仕方ないですけど…」

「すまない、アイラ」


再度アイラはアネに謝られて、さすがに怒りは完全に収まる。

そのタイミングで、ミライが指を鳴らした。

すると、部屋に入ってきたのは、下着を被った見たことがある男二人だった。

執事のように、ミライたちの近くで立つ。

そして、ミライは俺に聞いてくる。


「それで?ただしは、どうしてここに来たのか、説明してくれるんでしょうね?」

「ああ、それは決まっている。勇者と話しをしにきたんだ」

「それは、下着を被ったまま?」

「いや、できれば、外した状況でな」

「ふーん、私がダメって言えば、できないけどいいの?」

「別にいいが、それこそアイラが黙ってないぞ?」

「はあ…それを言われたら、断ることができないじゃない」

「断る気もなかっただろ?ヨチスキルで未来は視えていたはずだからな」

「その通りね。だから、少しは断るようなことを言ってもいいでしょ?」

「確かにな。それも必要なことかもな」


一国をまとめるものとして、なんでも簡単にハイハイと返事はできないということだろう。

それにしても、驚くのはこれだけ騒いでいても、外から誰も入ってくることはない、この施設だ。

この部屋がどうなっているのか?

それは、結界に覆われているからだった。

セイクリッドを覆っていた大きな結界というのは、俺が破壊した。

ただ、それを再利用する形で、いくつか面白いものを作った。

それの一つがこれだ。

中に入るためには、ミライかアネのどちらかが持たせてくれたものを持参しないといけないというもの。

パンツを被ることでしか俺は感じることはできないが、魔力を帯びた持ち物なのだそうだ。

それを持つことで、ここに入ることができる。

特殊な結界のため、中で何が起ころうとも、ミライたちがそれを外に漏らそうとしない限りは、外にその声が漏れることはない。

言ってしまえば、魔力を使った便利な建物ということだ。

だから、ここで宗次の下着を俺たちが勝手に取ったところで、大丈夫ということだ。


「取ってもいいか?」

「別に大丈夫。ダメって言ってもやるんだろうし」

「ふふん、ただしのことをよくわかってるじゃない」

「どうしてアイラが得意気に答えるんだよ」


よくわからないことになりながらも、俺は宗次の前に立つ。

そして、勢いよく下着をはぎ取ったのだった。


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