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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと旅立つ人たち

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331話

考えがまとまった俺は、ヤミを連れて部屋から出て、早速アイラたちと合流する。

合流前に、ヤミにだけは、次にやることを説明してはいた。

そのためにも、また勇者と会わないといけないことは確実だった俺とヤミは、次の勇者を誰にするのかを口裏を合わせたうえで次の話しをするのだが、現実はそんなにうまくいかなかった。


「確かに、会うのなら、確実だよな」

「ただし、何か言った?」

「まあ、ちょっとだけな」


俺とヤミが少し話し合った結果、次に会う勇者というのは、風を纏っていた勇者になるはずだった。

ただ、そううまくいかない。

今、急に消えてしまった雷の勇者を除いて、俺たちが会えるだろう勇者は風を纏っていた勇者、金が大好きで、ソウゾウスキルを使えた勇者である宗次の二人だ。

他の勇者である、シリョウスキルを使うお姉ちゃんはどうしてか少し前に、神様がいる場所で会ったことを考えても気軽には会えないし、親友だったあいつはもう死んでしまったことを考えるとそもそも会えるのかという疑問がある。

妹の叶も、気づけばどこかに行ってしまったし、クロも同じようにどこにいるのかわからない。

だから次に会う勇者というのは最初の二人どちらかだというのはわかっていた。

ただ、風を纏っていた勇者とは先ほどの戦いで一緒になったことを考えても、話しを少ししたいと言えば聞いてもらえるだろうというのは、なんとなくわかっている。

それに対して、金の勇者。

宗次は、セイクリッドで、ミライたちと国の運営をしているということも知っている。

問題なのは、その宗次がパンツを被っているということだろう。

操るというのか、言うことを聞かせるためには必要なことだったとしても、それがあることを考えても、頭からパンツを外したときにどうなるのか?

それがわからない以上は会うとしても、そこの問題があるのではないのかと思ってしまう。

だからといって、先延ばしにしたところで、やらないといけないことに違いはない。

ここは諦めて、会いに行くのがいいのだろう。


「セイクリッドに行けば会えるのか?」

「そうだと思うけど、ミライが言ってたしね」

「確かにそうだったな」


すぐに確認をとると、アイラがそう答えてくれて、その言葉に俺も同意する。

ミライが戻る前に、このことを予測していたのか一言残していったのが、勇者はセイクリッドにいるということだった。

セイクリッドで戦ったセコを使って思い込ませているのだから、二人を一緒に見ておくというのには都合がいいのだろう。

ミライがいれば、ヨチスキルによって未来を視て、予測をして、何かが起こる前に察知することができるというところもミライが基本的に一緒にいるというのは普通のことだろう。

俺は一応ヤミに目線だけを送り、ヤミもうなずくようにして瞬きをするのを確認して、エルにお願いする。


「それじゃ、次はセイクリッドにお願いしていいか?」

「別にいいけどな。中心地にはあたいは行ったことがないからな、セイクリッドの中は中でも、少し歩くことになるからな」

「その程度でいいのか?」

「ああ、誰かさんが結界を破壊してくれたからな」

「なるほどな、そんなやつがいたんだな」


俺はあえてとぼけるようにして言っておく。

そんな俺を見て、エルはため息をつく。


「なんだよ」

「別に…やったことくらい、ラグナロクにいたときに把握してるからな」

「だったら、嫌みみたいなことを言うのも、もう少し考えてくれよ」

「わかったわよ。少し魔力を調べてから、ゲートを繋ぐから待ってな」


エルはそう言うと、集中モードに入る。

そこで、アイラは次の予定を聞いてくる。


「ただしは、勇者に会ってやることは決まってるの?」

「少しは決まってるな」

「何よ、少しはって…」

「仕方ないだろ、あんまり情報がないんだからな」

「確かにそうかもだけど」

「だろ?俺だって詳しいことがわかれば、いい案が浮かぶかもしれないけど、適当なことは言えないからな」

「そうなんだけど、ちょっともやってするのよ」

「アイラ様、仕方ありませんよ。ただしにもそういうときはあるということです」

「だそうだぞ」

「シバルは、どっちの味方なのよ」

「アイラ様。それはどちらもです」


そうシバルに言われて、アイラは少し頬を膨らませる。

俺はそれを見ながらも、予想通りの会話に驚く。

やはりというべきか、雷と話した内容を覚えていない。

会いに行ってやるべきことというのは、本当は決まっているが、それは先ほどのことを覚えている前提でしか説明が面倒くさい。

それに、信じてもらえるのかという心配もあった。

先ほどまで、一人の勇者と話していたということを…

俺とヤミの記憶にはしっかりと残っているからこそ、まずは確認をする。

そうしないことには、どうなるのかも俺たちにもわからないのだから…


「用意できたぞ」


エルに呼ばれて、俺以外の人たちが先に入っていく。

これは、俺がゲートをくぐるためにはエルと一緒じゃないといけないという理由からだ。

ちなみに、一番最初から最後かというのは、女性たちが話し合って決めたことだ。


「それじゃ、わらわたちも行くのじゃ」

「本当に大丈夫なんでしょうか?」

「大丈夫なのじゃ。こう見えても魔王なのじゃ。だから体は丈夫なのじゃ」

「そうですけど…」


俺たちの前にゲートに入るヤミとエメがそんな話しをする。

少し前のことがあるからだろう。

エメはヤミのことを心配している。

ただ、勇者のことを考えると、俺とヤミの二人が一緒にいないと意味がない。

少し無理はするが、ヤミもそれをわかっていて一緒に入っていく。

すぐに俺とエルも続いた。

ゲートを抜けて、すぐにいつものように視界が変わる。

前きたときのようにセイクリッドの町は白を基調にした建物で…


「どうなってんだ、これ…」

「ただし、それは私が一番言いたいことなんだけど…」

「すごいですね」

「ふふふ、ここまでだと驚きね」

「すごいです」

「なんじゃ、こういう国もあるのじゃな」

「すげえな…」


全員の驚きの声が響く。

それも仕方なかった。

どうしてか?

それは簡単だ、何故か女性の下着をモチーフにした看板なんかが多く見えているからだった。

まるで、パンツがこの国のモチーフであるように…

それを見ていたアイラは絶叫する。


「私の国はどうなっちゃったのよーーーーー」


その言葉に誰かが何かを言うことはないのだった。


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