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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと旅立つ人たち

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325話

そんなことがありながらも、なんとかエルを仲間に迎えることができた俺たちは、今度こそ、どの勇者に向かうのかを決めて、そこに向かっていた。

ヤミの暴走から少ししか時間がたっていないことから、ヤミはエメと二人で留守番をお願いして、五人になった俺たちは、最初に行くのならということで、雷の勇者が向かった場所に向かっていた。

さすがにゲートで街中に出るわけにはいかない俺たちは、人がいない場所に出てから、そこからエルが鍛えた魔力を感知する技で、雷の勇者がいるとされる場所にいたのだが…


「ここがそうなのか…」

「そうみたいね…」

「あれですね…」

「ふふふ、お楽しみということかしら?」

「ああ、勇者として大丈夫なのか、そいつは…」


エルがそう言ったのも無理はなかった。

雷の勇者の魔力が反応していたのは、あれだった。

夜のお店が立ち並んでいる場所だったからだった。

完全にあれだった、女性と遊んでいるというのがわかってしまったのだ。

まあ、あの勇者のことだから、最初に会ったときからそんな気はしていたけれど、今の他の女性と遊んでいるのだろうか?

俺はそんなことをふと考えていたのだが、すぐに雷の勇者の姿を見て、違うのだということがわかった。

見たことがある二人に両腕を掴まれながら歩いていたからだった。

さすがにこのタイミングで声をかけるという野暮なことを俺たちはできるはずもなく、こっそりと後ろをついていく。

すぐに、雷の勇者たちは楽しく会話をしながらもそういう宿屋に入っていくのを見た。


「どうするんだ?」

「い、行くわよ」


そう聞いた俺に、アイラが躊躇しながらもそう言って、俺たちは五人で宿屋に入っていく。

なんとか見つからずに雷の勇者が泊まるであろう隣の部屋へと入ることができたのだが…

俺は、その内装を見ても昔遊びで行ったラブホテルと似ているなとしか思わなかったのだが、他の四人は違ったらしい。

アイラとシバルは二人で並ぶようにして部屋の中を見ている。

バーバルは、興味津々にお風呂の方へと向かい、エルは部屋に少し入ったところで固まっている。

普通にそういうホテルだよな…

俺はそう思いながらも、奥に行かないエルの背中をポンと叩く。


「ほひゃあ!」

「どうした?奥に行かないのか?」


変な声を上げるエルに、少しびっくりしながらも俺はそう言ったのだが、エルは部屋の中と俺とを交互に見ると、何か決心したかのようにして、中に進んでいく。

どういうわけか口数がかなり少ないエルに俺はどうしたものかと考えながらも、この後の展開を考える。


「うん、まあこうなるよな」

「ただし、仕方ありませんよ」

「そうよ。でも広いお風呂は気になるわね。早く入りたいかな」

「そうですね」


そして、予想通りのことになっていた。

俺とシバル、アイラは三人でそう言いながらも設置されている椅子に座っている。

横に大きいものが一つと、一人用のものが一つあり、俺は一人用に座っている。

そんな、俺たち三人がやっているのは、カードゲームだった。

ルールなんかは、元の世界でやっていたトランプと同じようなものなので、簡単にできるのだが、問題はそこじゃなかった。

俺たちの三人がここにいるということは、バーバルとエルはというと…


「ちょっと、押し付けるな!」

「そうなの?わたくしは別に押し付けている気はないのよ?」

「悪気がなくて押し付けてることの方が厄介なんだよ!」

「もう、そんなに言わなくてもいいじゃない?」

「だったらこの背中に当たるのをなんとかしろよ」

「しょうがないわね…」


二人で仲良くお風呂に入っていた。

エルの声が大きいせいなのか、おかげなのか、ばちゃばちゃというお湯の音とともに聞こえるせいで、二人がどんなことになっているのかが、なんとなくわかるというのが、反応をしていいのか気になるところだった。

ただ、そんなことがありながらも、時間は過ぎていく。


「ほら、ちゃんと乾かさないとダメじゃない?」

「うるさい、あたいは適当でいいんだ」


そう言って二人は上がってくる。

バーバルの手には、ドライヤーに見えなくもない髪を乾かすものを持っている。

二人が部屋に戻ってきたのを見て、今度はアイラとシバルの二人がお風呂へと向かっていく。


「アイラ様、背中流します」

「ありがとうシバル。でも、私だけやられるのも嫌だから、シバルにもやってあげるからね」

「はい、お願いします」


そんな声とともに二人がお風呂に入っていき、二人が座っていた場所にはエルが座る。

その背後を取ったバーバルは楽しそうにエルの髪を乾かす。

どうやっても、ついてくることがエルもわかったのだろう。

顔は少し不貞腐れたような表情になっているが、素直に乾かされているようだ。

そして、すぐにお風呂場から声が聞こえてくる。


「やっぱり、シバルは大きいのね」

「そ、そんなに触られるとくすぐったいですよ、アイラ様」

「だって、大きいのがあると触りたくなるじゃない?」

「それは、ボクにはわかりませんが、アイラ様が言うのなら、そうなのでしょうか?」

「そうよ!」

「でも、アイラ様のように肌が綺麗なのをボクは憧れます」

「そんなに変わらないじゃないの?」

「そんなことはありません。ボクの体はどうしても傷がついたりしてしまいますから…」

「確かにね。でも、鍛えた体が汚いわけじゃないんだから、いいんじゃないの?」

「そうですね、守れるようになってますから」

「うん」


二人の楽しそうな声が聞こえて、横では風が吹く音がする。

人が周りにいる。

安心するこの雰囲気に、さらにはホテルということもあってか、部屋も心地よい温度になっている。

だからか俺は気づけば眠っていた。



「バーバル、私にも、ドライヤーやって!」


アイラはそう言って、勢いよく部屋に戻ったところでバーバルが口に指を当てていることに気づく。

バーバルの視線を追って、静かにしないといけない理由に気が付いた。

疲れていたのだろう、ただしが椅子に座った状態で眠りについていた。

私はゆっくりと近づく。


「まあ、仕方ないわよね。目覚めてからも忙しかったしね」

「はい、そうですね」

「ふふふ、だからお喋りは小さな声じゃないとね」

「ちっ、風呂に入って寝ないとか、汚ねえのによ」

「いいじゃない、朝にでも入らせたら」

「はい、疲れているところを起こすのは、さすがにいけないことですからね」

「ふふふ、そうよ。あんまり眠いときにお風呂に入っちゃうと、溺れちゃうっていうものね」

「そうなのかよ、じゃあ仕方ねえな」


そんなことを言いながらも、私たちはただしを起こすこともなくゆっくりと過ごしていくのだった。


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