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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと特別なスキル

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319話

「で、どうするか決まったわけ?」

「そんなこと、急に言われても、無理だろ?」

「わからないじゃない。ただしなら、神様とも何か話をしてたんでしょ?」

「いや、そうなんだけどな…」


確かに神であるスターと話すことはできた。

でも、それだけだった。

詳しいことがわからなかった。

だからこそ、疑問から聞いてみることにする。


「そもそも、どうしてヤミはあんな暴走を起こしたんだ?」

「それなのじゃが、わらわにもわからないのじゃ」

「あのときあったのは、ヤミの力の源である、魔力の塊が体に触れたということだよな」

「そうじゃ、そこから魔力に包まれたわらわは、気づけば黒い魔力に包まれておったのじゃ」

「黒い魔力か…」

「そうなのじゃ…今も体の中にあるのがわかるのじゃ。これがどこかのタイミングで、暴走するのじゃないのかとわらわは思っておるのじゃ」

「暴走か…」


さっきまでのが暴走した状態だというのなら、強制的にドラゴンになれると考えるのがいいのだろうか?

なんとなくそれが、魔王と勇者を戦わせたいものたちの願望が含まれている気がするのだと思ってしまう。

ヤミをこれまで見ている限りでは、ヤミのことを魔王だとは誰も思わないはずだったからだ。

俺の知っている魔王というのは、よくある傲慢で自分の意志でこの世界を滅ぼすみたいな感じだと思ったが、この世界では違った。

ヤミは最初から魔王が自分だとわかっていたし、勇者と争う感じではなかった。

だとするとだ。


「ヤミ自体が魔王としての力を取り戻すと、強制的に戦うように仕向けてたっていうのが、普通の考え方だよな」

「なんじゃ、それじゃと、わらわは力を取り戻した時点で戦いになることになっておったのか?」

「いや、そうじゃないとも思ってる」

「どういうことなのじゃ?」

「だってな、そうなると、力を取り戻すとき毎回ヤミと戦わないといけなくないか?」

「確かにそう考えるとそうじゃな」

「だったら、ただしは今回どうして戦うことになったと思うのよ」

「それがわかるのは、俺じゃないな」

「だったら、誰が知ってるのよ」

「決まってるだろ、ヤミだ」

「わらわか?」

「もしかして、ただしはこれまでのヤミさんがやってきた何かのおかげで、戦うことがなかったと思っているってことでしょうか?」

「ああ、そう思ってる」


俺がそう言ったところで、全員の視線がヤミに集まった。

まだ体に力が入らなかったヤミは戸惑う。


「なんじゃ、そんなに注目しても普通のことをしておっただけなのじゃ」

「その普通なことが今までうまくいっていた理由なんだから、それを教えてくれってことなんだけどな」

「わかった、わかったのじゃ…い、言うのじゃ…」

「ああ、それはなんだ?」

「えっとじゃな、アイラ?少しよいのじゃ?」

「うん?どうかしたの?」

「こやつには聞かれるとまた面倒なことになるかもしれないのじゃ、だからおぬしが聞いて判断してほしいのじゃ」

「わかったわ」


どうやら、特殊なことをしていたらしい。

ヤミはアイラに何かを耳打ちする。

アイラは聞いた瞬間に声を荒げる。


「本当にそんなことをしてたの?」

「そうなのじゃ」

「確かに神聖なときって、それが良いって私も少しは聞いたことがあるけど」

「じゃろ?わらわだって、そのことは本を読んで知っておったのじゃ、だからそれをしていたのじゃ」

「なるほどね…やってた内容を考えるとただしにあんまり言いにくいのはわかるけど、儀式として行っていたと考えれば普通のことよね」

「そうじゃが、こやつは今の服装を見る限り、いつもよりそのヘンタイな感じがにじみ出ておると感じるのじゃ」

「それは確かにそうね」

「だから、言いたくなかったのじゃ」

「なるほどね…」

「いや、なるほどねってさすがに酷くないか?」


さすがの言われたい放題の言葉に俺は戸惑う。

言いたいことはわかる。

今もヘンタイだと言われながらも、頑なに装備している下着を取ろうとしないからだろう。

ただ、ただ、考えてみてほしい。

このタイミングで、またヤミが暴走をしたときに、俺がこの下着たちを装備していなかった場合には全滅する恐れだってあることを考えると、俺は外すことを…


「どうせ、下着を被ってないと力が出せないから、何かあったときに心配だろ?的なことを考えてるんじゃないでしょうね?」

「どうしてわかったんだ?」

「ただしはわかりやすいから、顔を見ればすぐにわかるのよ」

「じゃあ、どうすれば正解なんだ?」

「そうね。先に進みたければ、まずはその下着たちを一度外すことね」

「わかったよ…」


俺は渋々アイラの言うことを聞き入れて、下着たちを取ることにした。

すぐにそれはアイラが奪いとる。

一瞬、まじかよと言葉にしそうになるのをなんとか耐えながらも、俺はアイラが聞いた言葉を待つことになる。


「ヘンタイスキルは消えた?」

「ああ…」

「だったら教えるけど…」

「なんなんだ、それは?」

「神聖なことって思って聞いてよね」

「それはわかっている」


さすがにここまで念入りにされて、俺もボケるということはできない。

そんなことをしてしまえば、アイラに何を言われるかわからないからだ。

緊張の瞬間にアイラは言う。


「禊をして、裸でそれを体に取り込んだのよ」

「?」

「どうしたのよ」

「それだけなのか?」

「神聖なことって言ったでしょ?」

「いや、そうだけどな」


もっとすごい何かだと思っていた俺は拍子抜けしてしまう。

ただ、すぐにあることを思いつく。

そして思わず口にしてしまうのだった。


「なあ、ヤミ…ちょっと脱いでくれないか?」


そんなことを…


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