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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと特別なスキル

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316話

「はあ!」

「ギャアアアアア」


どういう理屈なのか、二撃目を見て、少しだけシバルの攻撃がわかった。

これは、盾を振ることによって、魔力の盾を相手に飛ばしているように見える。

シバルのこの魔力の盾はアイラが思っている通りのものだった。

シバルの魔力を盾に纏わせて、その魔力を盾を振るう勢いで飛ばすというものだ。


「ふう…ただしが言っていたことは、なんとかうまくいってますね」


盾を構えながらもシバルはそう口にする。

盾といえば、基本的に防御をするときに使うものだが、ただしに言われていたのは、攻撃にも使えるのではないかというものだった。

普通に考えれば、盾で攻撃となるとその盾で殴ったりするのが普通ではあったが、それだけではたりなかった。

近距離はそれでよかったのだが、遠距離になってしまうとシバルには何もできないのが今までだった。

そこで最初に考えたのは、地面にその魔力を流すことによって遠くの敵に向けて攻撃するというものだった。

それができるようになって、次に考えた遠距離攻撃というのが今使うものだった。

といっても、これをできるようになるために練習していたのは剣のはずだった。

でも、剣では全くうまくできなかった。

これまでも、シバルの新しい何かがうまくいったのはすべて盾を介してのものだったので、逆にいえば今成功したのが普通のことなのかもしれないが…

それでも、これによってシバルは自分の魔力を盾にして飛ばすということができるようになった。

それに、この技のいいところはシバルの魔力を飛ばしているというところにある。

シバルの魔力は相手の魔力を斬りつけるようにして無効化してしまうというものだ。

だからこそ、ドラゴンが魔力を纏って防御をしようとしても、それを貫通して攻撃が当たる。

技の名前は盾魔弾とでも、名づけるのがいいのだろう。


「ボクの魔力があるからこそできる技」


ただ、しっかりと弱点もある。

それは、守るための力として使っていない分、魔力の消費はいつもより激しいというものだ。

それでも、使うたびに魔力が体から抜け落ちていくような感覚によって、シバルはドエムスキルを少し発動している。


「はあはあ、こんなときにただしに罵ってほしいものですね」


そんなことを言いながらも、シバルは盾に魔力を込める。

次の隙ができたタイミングで、盾魔弾を放つために…


「ふふふ、わたくしのドラゴンはどうかしら?」

「ギャアアアアア」


シバルの盾魔弾によって、ヤミドラゴンの動きが鈍るのを見て、バーバルは作りだした炎龍をヤミドラゴンへ向かわせる。

ヤミドラゴンは対抗しようとするが、炎龍はバーバルの魔力そのものを使って常に発動している魔法のようで、使えるたびに、その体は炎を蓄える。


「さあさあ、もっと燃えてしまいなさい!」

「ギャアアアアア」

「ふふふ、もっといきなさい!」

「ギャアアアアア」


ヤミドラゴンも、炎龍の攻撃を防ぐために魔力を使うが、防御をしたところをシバルが盾魔弾で何事もなかったかのようにして攻撃を通してくるため、その魔力の消費は著しい。

ただ、ヤミドラゴンが苦しめば苦しむほどにバーバルは嬉々として魔力をあげていく。

炎龍が放つ炎が、炎龍が近づくたびに飛んでいく火の粉が、ヤミドラゴンの魔力を削っていく。


「本当に、滅茶苦茶な魔法ね」


それを見て、アイラはそう口にする。

これまでの魔法という概念を全く無視する魔法をバーバルは完成させたのだから、そう思っても仕方なかった。

魔法というのは、これまで使えば終わりというものが普通だった。

例えば、ファイアーであれば炎を相手に向かって放つということができて、それで終わりというもので、そこでそれを操作するというのだけでかなりの魔力を使うことでもあるし、魔力操作という大変なものが必要だった。

ただ、バーバルはそれすらも超越するものである、魔法を作ったのだ。

これは、普通ではありえないものだった。

設置型と呼ばれるような、魔法を使って壁を作るものなんかと違い、この魔法のすごいところは、魔法が常に変化しているところだろう。

威力、規模、などが変化する魔法。


「本当に、みんな頼もしい限りよね」


アイラはタイミングを見ながらも、光の棒をしっかりと構える。

ヤミドラゴンが確実に弱っているのを感じる。

ただ、それはこちらも同じだった。


「ふふふ、本当に手ごわいですね」


そう言葉にするバーバルの炎龍は、少しずつ炎が弱くなっている。

当たり前のことだけれど、常に魔力を使って維持をし続けないといけないこの魔法は、消耗がもの凄く激しいものだった。

あのバーバルの顔から余裕がなくなってしまうくらいには…


「初めてなので、練習が足りないということですか、仕方ありません。この炎で最後です!」

「ガアアアアアアアアアアアア」


炎龍が炎を放つのと同時に、ヤミドラゴンも黒い魔力の塊を放つ。

これまでもじりじりと削られていたことにイラついていたのか、その黒い魔力はかなりのものだった。

そして、それは炎龍の炎をも破壊していく。

炎龍が黒い魔力に飲み込まれる。

アイラはそれを見ながらも、しっかりと光の棒を構える。

チャンスはまだだった。

だからこそ、動かない。

このままでは黒い魔力がバーバルを包んでしまうことを考えれば、普通であればそこに助けに入るのだろうけれど、ここにはシバルがいる。

いつの間にかバーバルの後ろに立っていたシバルは、倒れるバーバルを支えながら、その盾にためていた魔力を放つ。

盾魔弾。

黒い魔力をも簡単に粉砕して進んでいくそれは、ヤミドラゴンへと命中する。


「ギャギャアアアアアアアアアイイイイイイイイイイイイ」


これまでにない悲鳴のような声をあげるヤミドラゴンへとアイラは向かっていく。

多くの魔力を失ったことによって、ヤミドラゴンの中にいるであろうヤミの場所がわかったからだった。

これで、ヤミをぶっ叩くことができるのだから…

ただ、ヤミドラゴンも最後の魔力を振り絞るようにして、尻尾をこちらに向けてくる。

ドラゴンテイル。

アイラにとって、防ぐことは容易い攻撃ではあったけれど、その間に少しでも時間をかければ、また魔力を回復することはわかっていた。

だからこそ、ここは避けるしかない。

そう思っていたときだった。


「正義の剣よ、行くぞ!ジャスティスソード!」


そんな言葉によって、一本の透明な剣が飛んでくる。

そして、それはヤミドラゴンの尻尾をはじき返した。


「やるじゃない!」


やった人はわかっている。

ジークだ。

新しい技ということだろう。

これで、心置きなくこの光の棒を振るえるということだろう。


「さあ、痛かったらごめんね、ヤミ!」


そんな言葉とともに、ヤミがいるであろう場所をぶっ叩いたのだった。

すると、ドラゴンの中からヤミだけが吹っ飛んでいく。

それは、まるで着ぐるみから抜け落ちたような感じといえばいいのだろうか…

これで、終わった。

誰もがそう思った。

ただ、宿主を失ったドラゴンは動き出す。

すぐに、近くにいたアイラに向けて尻尾を再度向けてくる。

油断していたアイラはその攻撃を受けたと思った。

ただ、その攻撃は途中で現れた黒い人影によって、防がれたのだった。


「待たせたな」

「はあ、その姿じゃなかったら、もっと早くって言ってたわね」


格好よく登場したのは、おなじみのヘンタイだった。


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