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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと特別なスキル

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310話

「できそうですか?」

「うん、任せて」

「はい、ボクも大丈夫です」

「ふふふ、楽しくなりそうね」


私たちは、エメとミライからこれから起こるであろう未来の出来事を聞いて、その後に、エメとエルからスキルについてのことを聞いた。

その内容に驚くことも多かったが、どこか納得するところもあった。

私たちのスキルがどこか変わっているというところはスキルが発動するときになんとなくわかってはいた。

普通のスキルとそうじゃないスキルとは…

通常、スキルとはと言われて、私たちも詳しいことはわからなかった。

それは、私たちのスキル事態が、そもそも調べるとアンノウン。

不明となっていたからで、余計に普通とは違うからこそ、普通のスキルのことすらもちゃんとわかっていなかったということもあった。

エメとエルから聞かされた普通のスキルというものは、魔力を消費して使うものであり、多くのスキルはこれに該当する。

スキルを使うために魔力を消費するというのが普通であり、当たり前のものだという。

エルのゲートもそれだった。

ラグナロクのメンバーで普通とは違うスキルを持つのは、メイとあの正義とうるさいジークなのだという。

メイは、メイドスキル。

メイド服を着ることによって、能力があがり、さらにはメイド道具を使うことによって、さらに魔法が強化されたものとなるというもので、メイもそれをわかっているからこそ、メイド服を常に着ているという状況だった。

そして、ジークはというと、私たちと同じというべきかただしと同じものだということ。

自分自身が正義だと思うことに対して、それを行うことで強化がされて、さらには周りがその行いが正義だと思えば、ジークはさらに強化されるというものだった。

ジークがあれだけ正義にこだわる理由というのも、そこからきているということだった。

そして、特別なスキルがもつものというのが、強化されるということだった。

普通であれば、魔力を消費しないといけないものと違い、特別なスキルは魔力を増やす、肉体も強化するというもので、スキルを発動する条件が限定的なものが多いかわりに、その果てがないというのも特別なスキルの特徴といっていいのかもしれない。

そして、特別なスキルを使うことで、これから起こることに対処しようということだった。

世界の滅亡。

エメが視た未来の一つ。

それを救えるのは、その場で一度も登場しなかった、私たちが一か所にいるということなのだという。

どういうことなのか?

エメは魔法で未来を視ることができる。

ただ、ミライのものと違って、正確ではなくて可能性の一つ。

逆にミライが視る未来は、必ずといっていいほど的中するもの。

でも、近未来と違い、先の未来を視るにはそれ相応の魔力がいるというもの。


「でも、本当によかったの?私が未来を視なくても」

「まあ、大丈夫よ。私たちは未来の一つを知ってるってくらいでね」

「はい。ミライ様が視る未来は変えられるということをボクたちは知っていますから」

「本当にね。わたくしたちならできるわよね」

「当たり前でしょ?できなかったら、ただしに笑われると思わない?」

「そうですね」

「ふふふ、そうね」


そう、聞いたのはエメが視たという不確かなものだけだった。

ミライが視る、当たるであろう未来は視なかった。

どうしてなのか?

それは、私たちのスキルが特別なものと知ったからではなかった。

私はここにいたときから、心の中にある高鳴りと興奮が冷めないのをわかっていた。

ただしとキスをした瞬間から…

私のスキルはどうしようもないくらい発動している。

二人を見て、互いにうなずく。

なんとなく二人も同じだと思ったからだった。

未来がわかって、この感情が少しでも動いてしまうのが嫌だから…


「それじゃ、行くのか?」

「お願い」

「しゃあないな。かなりの魔力を感じるから、注意しろよ」


エルがそう言ってからゲートを開く。

私たちはゲートに入っていった。

すぐに感じるものすごい魔力。

シバルが前に出る。

盾を二枚構える。

私もその前にバリアを張る。


「我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」


ドラゴンの口からブレスが放たれる。

黒いそれは、私が作ったバリアをいとも簡単に破った。

ただ、その後ろで盾を構えるのはシバルだ。


「うへうへ、感じる魔力。これだけのものを防ぎきることはできるのでしょうか?」

「絶対に無理だ」


男がそんなことを言うが、私たちのシバルを甘く見ないでもらいたい。

盾に魔力を集めている。

そして、ドラゴンブレスが盾に当たる。

ドンという音とともに土煙が上がるが、すぐに一人のシルエットが浮かびあがる。


「ボクを女性だからって手加減はダメですよ?」

「まじかよ」


余裕で立っているシバルに、男は驚きの声をあげているが、当たり前のことだった。

シバルはどこか興奮しているのか、口調がおかしくはあったが、一撃目を完璧に防いでみせる。

ただ、ドラゴンは止まらない。

無数の黒い塊を浮遊させている。

それは、こちらに向けて飛ばすものだということはわかっていた。

無数の魔力を持った黒い塊。

シバルでは防げない。

それは、私もシバルもわかっている。

だからこそ、バーバルが楽しそうに魔法を唱える。


「火よ、無数の球になって相手を打ち倒せ、ファイアービーズ」


これによって、小さな赤い球が無数にバーバルの近くに出現する。


「ふふふ、そういう痛めつけるようなものは、わたくしの方が得意なのですよ」


その言葉の後に、小さな球同士が当たりあう。

互いに当たった球は相殺される。


「まじかよ…」

「やっぱり、あなた方は違うということですか…」

「どういうことだよ!」


メイのその言葉に、男は怒りをあらわにする。

ただ、メイは冷静に男に言い聞かせるようにして言う。


「わかるでしょう、特別ということです」

「なんだと、オレたち勇者が特別じゃないのか?」

「確かに勇者は特別です。でも、普通のスキルです」

「普通だと?」

「はい。普通のスキルなのです。彼女たちのようにアンノウン。正体不明とは違うのです」

「スキルに正体不明があるってことなのかよ」

「はい。だからこそ、彼女たちなら…」


メイはそう言って、私たちの方を見る。

ただ、私はその視線からそっぽを向いた。

少し固まる彼女に向かって、私は言う。


「そんなことでいいの?」

「何がでしょうか?」

「ラグナロクを率いて、私たち、さらには勇者も倒そうとしていたあなたたちが、スキルの違いくらいで諦めて」

「それは、ですが…」

「ただしなら諦めないわよ」

「…」

「あいつは、魔力がないでしょ?だから諦めない。かっこ悪くても助けにくる。あそこでただしが助けてくれなかったら、私たちみんなやられていたのはわかるでしょ」

「わかります。でも、あの戦いで弱さがわかったからこそ」

「諦めるっていうの?」


私はそう言う。

弱い?

そんなのは私だってそう。

セイクリッドでただしに見捨てられそうになったときから、私は…

少しでも今が強くなっていればと思っている。

でも、私もさっきまでは弱気だった。

それを変えてくれたのはただしとシバルとバーバルなのだから…


「まあ、少し私たちを見てなさい」


そう言って、私たちはドラゴンに向かっていく。


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