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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと特別なスキル

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307話

宿屋の中の部屋にバーバルとただし二人だけ…

どういう状況なのだろうと、普通であれば思うかもしれないけれど、これは三人が話し合って決めたことだった。

全員で、二人の時間を取るというもの。

その中でも、最初になったのはバーバルだった。

バーバルは早速、頭を抱えるようにして座る。

自慢というわけでもないけれど、ただしが好きだろうと思う、胸を少し押し付けながらも、ただしの顔を覗き込む。


「ふふふ、こうやって本当の近くで話しをするのは初めてよね」


バーバルは嬉しそうに笑う。

これまでの冒険で一番近くにいた男性であり、すべての不可能や、できないことを変えてきた男性。

バーバル自身が悩んでいることですらも、簡単にすべてを変えてしまうような男性。

それがただしだった。

確かに、ほかの人のように、格好よく登場したり、格好よく助けてくれたりはしないのかもしれない。

でも、真っすぐで、気づけばこちらが笑顔になってしまうような存在というのは、ただししかいない。

それに…


「わたくしのご主人様さえも変えてしまったのですから」


それは、マゴスでのメイニアだった。

メイニアは研究のためであればなんでもするようになってしまった存在だった。

簡単に人体に悪影響を及ぼすような実験をしてしまう。

そのはずだったのに、メイニアが作り出した人は簡単に壊されてしまった。

ただしというイレギュラーのような人間によって…


「ふふふ、あのときは驚きながらも、さすがと思ってしまいましたわ」


そう、いつものようにパンツを被って登場して…

そこでただしの顔を見る。

当たり前のことだったけれど、今のただしはパンツを被ってはいない。

さすがに当たり前だと思われるかもしれないけれど、そこで思いついてしまう。


「ふふふ、もう一度わたくしのパンツを被せたら目覚めてはくれないのかしら?」


そう考えて、バーバルは器用にパンツを脱ぐと、ゆっくりと頭を被せた。

ただ、それをしたところでただしが目覚めるということはない。


「そうよね。普通だと、こんなものを被せる前に、ただしなら目覚めるものね」


バーバルは、パンツを頭からとると、考えてから、ただしのポケットに入れる。

再度、ただしの頭をぎゅっと抱きしめると、胸を押し付けながら言う。


「次はシバルが待ってるのよね。最後は、これでいいかしら?」


そして、ゆっくりと唇にキスをする。


「ふふふ、次は、二人っきりのときにゆっくり甘やかして、いじめてあげたいわね」


バーバルはそう言ってから部屋から出ていく。

少しの静寂の後に、扉が開く。

次に入ってきたのは、シバルだった。

さすがにというべきか、動きはぎこちない。

シバルは、こういうときに何をすれば正解なのかが全くわかっていなかった。

バーバルのように、誰かから話しを聞かされるということもなかったからだ。

ただ、近づくと眠ったままのただしの手をゆっくりと握る。


「ただし、起きてください…」


そう声をかけても返事はない。

当たり前のことかもしれないけれど、返事がないただしを見て、シバルは残念に思ってしまう。

それでも、そのおかげというべきなのか、シバルは思う。

今日は積極的にいっても大丈夫なのだということがわかる。

心のどこかで、ただしのことは大丈夫だと思っていた。

シバル自身よりもしっかりと戦術を考えて戦う人。

その戦い方も、すべてがうまくいっていた。

だからこそ、ただしの近くで戦っていれば、何もかもうまくいく。

そう思っていたからこそ、ただしがこうなるとは一番思っていなかった。

いつもであれば、アイラに遠慮してしまう。

それは、ただしがいつまでも元気で戦っている姿しかこれまで見てこなかったからだろう。


「ただしがこうなってから気づくボクはダメな女性なのでしょうか?」


ぎゅっと握る手に力がこもる。

そして、その手を自分の頭にもっていく。

頭をなでてもらうかのようにゆっくりと動かす。

思っているよりも大きな手を感じれる。

ただ、手に力がこもっていないのが、ただしが起きていないのだという現実を思い知らされる。

最初の町で、アイラ様と一緒に困ったときに助けてくれた存在。

それが、ただしだった。


「本当に不思議な人なんですよ。ただしは…」


そう、誰も知らない自分のスキルを言おうとしたのもただしだけだった。

さらには、男性に対していい思いをほとんどしたことがないアイラ様のことを簡単に信用させてしまった相手でもある。

戦いにおいても、目覚ましいものは確かにあったけれど、シバルが一番気になったのはそこだった。

アイラ様が信用する相手。

だからこそ、シバルも最初は好きになったのだと思った。

自分自身が尊敬する相手に、愛される存在。

だけど、こうなってしまえば違う。

頭に置いていた手を握り、頬に持ってくる。


「ただしの笑顔が見えないだけで、これだけ不安になるとは思いませんでした」


頬には少しだけ涙が流れる。

でも、それを振り払うようにして、シバルは手を胸元にもってくるとただしの顔をしっかりと見た。


「あなたのことが好きです。アイラ様に負けないくらい」


その言葉の後に、シバルはただしの口にキスをする。

ゆっくりと離れるとただしの顔を見て、シバルはブラジャーを外してシャツの下に入れる。

そして、ゆっくりと部屋を後にするのだった。


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