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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

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302話

「は、負けたか」

「まあ、そういうことだ」

「我を倒すとは、さすがあのスターが見込んだ男ということか」

「な!お前、スターのことを知ってるのか?」

「当たり前のことだ。我も神だからな」

「確かにそうだけどな」

「だったら、急ぐのがいいな」

「どういうことだ?」

「それについては、説明を今からしても時間がない。急いで目的を果たすしかないということだな」


イル神はそう言って気を失う。

これで、イルの体から神がいなくなったと考えていいだろう。


「わたしたち、やれたってことでいいのですよね」

「ああ、やれたな」


メイさんが言った言葉に同意する。

そんなメイさんに俺は言っておく。


「それで、俺たちと戦うっていうのは、どうなるんだ?」

「そ、それについてはわたしも無駄なこと言ってしまったと思っていますから」

「そうなのか?」

「はい。わたしたち、ラグナロクのメンバーだけでは何にもできないということがわかってしまいましたから…」

「別にそういうときもあるっていうだけじゃないのか?」


俺はそう言ったが、メイさんは首を振る。


「いいえ、そんなことはありません。わたしたちにできないことがただしさんたちにはできていたのですから、わたしたちだけでは難しいということがわかってしまいました」

「だったら、どうするんだ?」

「そうですね…」


メイさんは少し考える仕草をしたところで、何かを思いついたように言う。


「まだ、先は長いですから、それを含めて考えていこうと思っています」

「まあ、そうなるよな」

「はい。そのときにはただしさんを今度こそは手伝ってもらえるような存在になっておきますので」


メイさんはそう言った。

その笑顔は、それまでのラグナロクとして、そしてリベルタスで見たときとは違っていて、どこかいたずらっ子のような表情だった。

少し驚きながらも、俺は言う。


「そうだな」

「ふふ、それはそうと、そろそろパンツを返してあげたらどうでしょうか?」

「そうだよな…」


そうなのだ。

俺の顔には、今のところ、四つのパンツが被せられている。

これによって、最大限の強化をされた感じがするし、今更ながらに、一人一人のパンツが違っていて、それも最高にいいと思ってしまう。

いや、違う。

これは、ヘンタイスキルでそう思っているだけのはずだ。

決して、このまま四人の匂いをしっかりと嗅ぎ分けてしまおうなんてことを考えてはいない。

そんなことを考えながらも、アイラたちが近づいてくるのを見る。

ただ、そのタイミングで大きな音と声が聞こえた。


「遅れたのじゃ!」

「どうして、未来を視ていたはずなのに…」


そんな声とともに、ヤミとミライが現れる。

完全に終わったタイミングでやってきたところで、それこそ未来を視ていたのではと思ってしまうほどだった。

ただ、ミライ自身が悔しがっているところを見ると、そうじゃないのかもしれない。

勝利によって、全員が油断をしていた。

だから、倒れたイルの中から神がいなくなったことで気絶して動かないと思っていた。

それに、イル自身もそれができるとは思っていなかった。

それは、イルが神に乗っ取られてしまったせいなのか、おかげなのか…

ヤミはドラゴンから人の姿になると、俺たちに同じように近寄ってくる。

そのヤミの足にイルは魔力の塊を押し付けた。

すべての魔力の塊がそろう。

ただ、ヤミが望んだタイミングではなくそれに触れてしまった。

すぐに、何かよくない予感がして俺はヤミの元に走った。


「ぐふ…」

「ち、違うのじゃ…」


俺は誰かを傷つける前にヤミの手の前に立っていた。

ただ、防御が間に合ったわけじゃなく、ヤミの手は横腹の辺りを貫通している。

驚きと無意識に何かをやってしまったことにヤミは取り乱しそうになっている。

なるべく落ち着かせるようにして俺は声をかける。


「大丈夫だ、ヤミ」


ただ、体を貫いてしまった事実は消えない。

手をゆっくりとヤミは引き抜く。

ヤミ自身は俺と手を見て、声を荒げる。


「ああああああああああああああああああああ、ぎゃぎゃああああああああああああああ」

「ヤミ!」


倒れながらも、俺はヤミの名前を呼んだがヤミはドラゴンとなっていく。


「ギャギャアアアアアアアアアアアアアアアア」


大きな咆哮を放ち、ヤミは空へと飛び立った。

俺はそれを見ながらも崩れ落ちる。


「ヤミ!」


再度大きな声で叫んだが聞こえているのかわからない。

そのタイミングでアイラが駆け寄ってくる。


「ただし!ただし!」


アイラの悲痛な声が聞こえる。

俺を呼んでいるそれは、少し遠くに聞こえるような気がしながらも、意識は遠のいていった。



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