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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

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298話

「じゃあ、勝ってもらわないと我が困るな!こんなところで、終わりというのも悲しいからね!」


男はさらにそう言う。

そして、何かをするのだろう手を前に出した。


「ただしさん。ラグナロクのことはわたしがなんとかするのが役目です。ですので、少し休んでいてくださいませ」

「メイさん。わたしもお手伝いします。ただしさんには、こんなところでやられる人材じゃありませんから!」

「そうですね。わたしたちも戦えるところをちゃんと見せないといけませんよね」


そう言って二人は前に向かっていく。

傷だらけの俺と違って、今は二人の動きがいい。

ただ、二人にはどうしても破れないものがあるということがあることは俺もわかっていた。


「精霊の眼よ!」

「水よ、湧き出る水によってあまたの炎を消化せよ、ウォータークエンチ」


エメの魔力による瞳と、メイさんがジョウロから湧き出る水を召喚する。

ただ、それは男に届くことはない。


「我には通用しませんよ。魔力を潤沢に使える今なら余計に意味がないものだとわかりませんか?」

「く!」

「だったら、これならどうでしょうか!」


意味がないと言われても、メイさんは諦めない。

水を周りへと展開する。

魔力がこもった水。


「水よ、その恵でここに雨をもたらせ、ウォーターレイン」


さらに、雨を降らせる。

やむことのない、水で相手を潰してしまう。

普通の相手であれば、これだけの魔力を込められてしまえば、ひとたまりもないだろう。

ただ、相手は神に乗っ取られて強化されてしまった人だ。

それも、俺が視える中では、魔力は体の中から溢れるようにしてあるようだ。

だからこそ、わかる。

すべての魔法が意味のないということが…


「これでも、全く意味がないということですか…」

「いや、本当に便利なスキルの使い手を見つけられたと今なら思うよ」

「でしたら、これで!」

「今度はちゃんとした苦無か?」

「すぐにわかりますか?」

「だって、さっきまでのことがあるからな」


メイさんの攻撃はすべて読まれている。

魔法が効かないのであれば物理をというのは、簡単で読みやすい攻撃になってしまう。

こうなってしまえば、メイさんにできることは多くない。

エメに関しても、精霊の眼が使えないことを考えると、何もできないと考えるのが普通だ。

そうなると、やっぱりここで俺がやるしかない。

拳を握りしめた俺は血が流れるのを無視しながらも、再度男に向かっていく。


「まあ、またあなたが来ますよね」

「ああ、俺がやるしかないからな!」

「ただしさん!」

「メイさん。俺がなんとかやってみるから、少し援護を頼む!」

「はい!」


俺の攻撃は男の拳によって弾かれる。


「くそ!」

「ははは、やはり久しぶりに力を使える体はいいな!」


お互いに拳がぶつかりあう。

長引くほどに、血が流れるな。

スキルがうまく使えているのかも正直わからないな。

ただ、ここで引くというのも違う。

でも、どうして俺は戦っている?

そう考えた瞬間に、拳の勢いが緩んだ。


「おー、ここか!」

「く…」


俺は隙をつかれて、拳を叩き込まれる。

視界が点滅するのを感じながらも、俺は吹っ飛ぶ。

そのときに一瞬ゲートができるのを見た気がした。


「ただし!」

「アイラ…」


見間違いじゃなかったらしく、俺に駆け寄ってくるアイラたちを見る。


「何よ、珍しくボロボロになって…」

「仕方ないだろ…というか、俺だってボロボロのときくらいあったと思うぞ」

「わかったわよ。とりあえず、治すわね」

「ああ」

「我の周りを聖なる光にて癒しを与え給え、ホーリーヒール」

「助かる」

「いいわよ、別に…それに、そういうことを言わないでくれる?さすがに調子がおかしくなるし」


俺が回復をしてもらっている間にも、ゲートはいくつか開く。

そこからでてきたのは、ラグナロクのメンバーたちだ。


「イル、そういうことか」

「正義を裏切ったということですか?」

「いやあ、わかっていたのなら、仕掛けを施したのですがねえ」


ジーク、ザン、ピエロが前に立つ。

ゲートで連れてきたエルが、俺に向かってくる。


「ちっ、ボロボロになってんのかよ」

「仕方ないだろ、俺にだってそういうときくらいあるからな」

「確かにそうだけど、面倒なやつだな」

「何か言いに来たのか?」

「あー、んなことはねえよ。ただ、ここからはあたいたちラグナロクがやるからな。同じラグナロクとして、あいつをなんとかしないといけないからな」

「なら、頑張れよ」

「言われなくてもわかってるよ」


エルはそう言ってラグナロクの他のメンバーに合流する。

俺は回復してもらいながらも、その姿を見る。


「あなたたち、行きましょうか」

「ワシが叶える先のために仕方ないな」

「正義のために」

「わたくしめは、最初から、決まっています」

「あたいだって、やるから!」


五人はそうして、神に乗っ取られたイルに向かっていくのだった。



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