表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

296/382

294話

イルのスキルは学習というものだった。

人の使っているスキルを学習して、簡単なものとして使うことができるというものだった。

そのおかげというべきなのか、人のスキルを見ることである程度のことを理解して、使うことで、いろいろなところで活躍していた。

だから、いつものように活躍できると思っていた場所で、イルは何もできなかった。

いや、できなかったというのは間違っている。

自分だけがなんとかできてしまった。

逃げるという意味だけで…

なんでもできると思っていたからこそ、イルはブンシンスキルを使っていた。

そうすることでたくさんの人を救えると思っていたからだ。

だから分身しながらいろんな場所で助けることをしていた。

ただ、うまくいかなかった。

イルだけは分身だからこそ、やられても大丈夫だったが、ほかの人は当たり前のことだが、違う。

イル以外の人はその場で、その脅威にやられて亡くなった。

モンスターの大量発生。

いつ、どのタイミングで起こるのかわからなかったそれに、イルたちは巻き込まれてしまった。

何が起こったのか、わからなかった。

僕はなんでもできると思っていた。

だけど、多くの敵に対して、何もできなかった。


「だったら、僕が多くの分身を作って、集結させて戦えば勝てる」


イルはそう思って、再度モンスターの大量発生に多くの自分を連れて向かった。

これまで学習したスキルを駆使して…

ただ、結果は意味のないことだった。

自分が無力だということを知ることになっただけだった。

何もできなかった。

そうして絶望していたときに、メイたちに出会った。

そこで、モンスターの大量発生すらも、勇者とともに魔王を討伐できるほどの仲間を少しでも作るためのと…


「それは、わたしだってわかっています。モンスターの大量発生を倒したのは、わたしたちですからね」

「そうですね。僕は自分自身が何人いても力不足だということを確信した。だから、あれを解決したメイさんに協力しようと思いましたよ」

「はい。だから、まだ協力しているものだと思っていました」

「確かに、僕がメイさんたちのように強ければ、今でもまだ協力できていたかもしれませんね。でも、僕は弱い。あなたが言う神様を殺すのだって弱い僕では全くできることがない」

「それは違います。あれには役割がありまして…」

「わかっていますよ!でも、僕は力がない僕は手に入れたんです力をね!」

「どういうことですか?」

「そうですね、その後に起こったことが僕を変えたのですよ」


イルはメイさんに言われていろんなところに自分を配置しながらも、自分が強くなれるために試行錯誤をしていた。

でも、イルのスキル。

ガクシュウスキルでは、ほかのスキルを覚えることはできるが、できることの制限も多かった。

普通のスキルを覚えた際も、学習した側だからなのか、スキルによって魔力を多く消費したりした。

そこで、ブンシンスキルに出会ったのだが、それを使うことでさらに制限も増えた。

ブンシンスキルを使うことで多くの自分にはなれるが、そのタイミングでほかのスキルを使おうとしても弱いものになるということ。

例えば、レンシャスキルというものを使って、魔法を連射しても、普通であれば連射をできるだけのものになるはずのスキルが、一発目よりも二発目、二発目よりも三発目と、多く放つほど、魔法の威力が下がるというものになっていたりするため、ブンシンスキルを使うことによって、さらに弱くなるものも多く存在した。

確かに多くいるからこそ、それまではその数で圧倒していたにすぎなかった。

特にこのときにはムコウカスキルなどもなく、本当にただの弱いスキルだった。

だけど、そこで出会うことになった一人の男に…

男は最初からその場で倒れていた。

イルは恐る恐る近づいたが、男は寝ているだけだった。

見たこともないような服を身に着けていることに驚きながらもイルは男に触れた。

イルのガクシュウスキルによって、スキルを学習するために必要なことは、そのスキルを使っているところを見る。

そして、知識として理解すること…

そうすることでスキルを使うことができるようになる。

もう一つ学習するとは違うが、使えるようになるためにできることがある。

それは、学ぶ相手に触れ続けるということだ。

それによって、魔力を使ってスキルを学習することができるようになるというものだった。

今回は、触れる方でスキルを学習できると思っていた。

ただ、イルは触れることで、全く別のことが起こった。

頭に声が響いてきた。


【なんだ、面白そうなスキルをもってるやつが来たな】


イルは慌てて手を離して周りを見渡すが、周り誰かがいるという感じでもない。

どういうことなのだろうかと思いながらも、イルは再度男に手を触れる。


【おいおい、無視はよくないだろ?】

「だ、誰なんだ?誰が声をかけているんですか?」

【そうだな。お前のことを救ってあげられる天才ってところだな】

「何を根拠にそんなことが言えるっていうんですか!」

【それは、ほら、これだ!】


そんなことを男が言った後、イルは体に違和感を覚えた。

それは魔力が増えていることだった。

魔力が増える。

普通ではありえないことが自分の身に起きた。

どういうことなのかわからないでいると、再度声は聞こえる。


【さあ、魔力を使ってみろ】


イルはその言葉に従うままに魔力を解放する。

そして、理解した強くなったことを…

さらに声が聞こえる。


【さあ、魔王を倒せ。そしたら願いを叶える】


魔王を倒すことができれば、願いが叶う。

それをイルは知ってしまった。

勇者しか知りえないはずのことを、イルは知った。


「そこからは、僕も大変でしたよ。従いながらもガクシュウスキルで多くの力を手に入れるために、いろいろな人に会ってスキルを学習しましたから!」

「それじゃあ、わたしたちに協力していたのも…」

「はい。僕が強くなるためです。ようやくいろんなことができるようになりましたからね。この力で僕は魔王を倒すのです」


イルが言っていることは、まさしく勇者が言われるであろうこと。

ということは関わっているのは性格の悪い神様と考えるのが一番いいだろう。

ただ、気になるのはそこにいたとされる男のことだ。


「なあ、その男はどうなったんだ?」

「どうなったと僕に言われても、どうしてか、そこにいたときからよく見ると瀕死の状態でしたので、スキルだけをもらっただけですよ」

「そうかよ」

「はい。それで?どうでしょうか?僕は戦う相手でいいでしょう?」

「そうみたいだな」


どういうわけかわからない以上、戦ってでもさらなる情報を得るというの”必要なことだからだ。


「よかった、それじゃあ僕の強さを見せてあげますよ」


そして、イルと俺たちの戦いが始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ