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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

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289話

「いや、高すぎるだろ!」


そう、ゲートから出た俺は高い場所に放り出されていた。

なんとか残ったヘンタイスキルを使って着地に成功する。


「あぶな、死ぬと思った」

「死ななくてよかったですね」

「ああ、本当になって、エメ?」

「はい、少しは体調がよくなりましたか?」

「うん?どういうことだ?」


俺はそこで、頭痛がなくなっていることに気づく。

そして、先ほどまで感じていた女性に対しての何かもなくなっていることに…


「どういうことだ?」

「それは、あの方に聞くといいですよ」

「メイさん…」


エメの視線の先にいたのは、当たり前だけどメイさんだ。

どういうことなんだ?

メイさんは何かをしようとしていたということなのだろうか?

俺はわけがわからず、メイさんの方を見るということしかできない。

そんな俺の反応に気づいたのか、エメは言う。


「ただしさんに、アイテムを使って誘惑をかけたのです」

「誘惑?」

「はい。ただしさんは、城内に入って違和感などは感じませんでしたか?」

「違和感か…」


確かに、城内に入ってすぐにメイさんの元へ向かわないといけないと感じたのはあったことだ。

ただ、それは俺もしないといけないことだと思っていたことだ。

王の間に入ったところで、ガーターストッキングを欲しがったのだって、一度もらえたこととヘンタイスキルが切れかかっている俺にそういうことが起こったとしても不思議ではない。

そうなるとだ、俺はおかしかったのかという不安に駆られるが、そこでハッと気づいてしまった。


「ガーターストッキングじゃないだと…」


今更ながらに、メイさんの姿を見てわかってしまった。

最初に出会ったとき、メイさんはメイド服だった。

そこからほんの少し見えていたはずのガーターベルトの部分がよく見るとない。

これじゃあ、ただのストッキングじゃないか!

もしかして俺は、誤認してしまったというのか…

俺は膝から崩れ落ちた。


「くそ…俺は俺は…」


地面を叩いて嘆く俺の頭を、エメが叩く。

意外な力強さに驚きを隠せないながらも、俺は思わず口にした。


「急にどうしたんだ?」

「急にどうしたは、わたしのセリフですよ。どうしてただしさんは、そういう感じなんですか?」

「俺にそんなことを言われてもな。仕方ないことだろ?」


俺はそう言ってエメの方を見ると、エメの服装が前と変わっていることに気が付いた。

前は、エルと同じようにズボンのようなものを履いていたと思っていたのに、今再度見直すと、エメの服装はミニスカートで、よく見るとそこにガーターベルトが見えている。


「これは…」

「た、ただしさんがどうなるのかを、ちゃんと考えて、わたしが用意した服装です」

「まじかよ…」

「はい、こういう服装を好まれると思いまして…」


エメはそう言って顔を赤くする。

確かに、俺はガーターベルトが見える服装は大好きだ。

それに噓偽りはない。

ただ、言えることはだ…

ガーターベルトを着けているのに気づかれたのが恥ずかしくなったのか、腕を胸の前で組んだせいで、強調に強調を重ねた胸の方に視線がいってしまうというところだ。

俺には…

いや、普通の男には、その胸は危険すぎる。

そんなことを考えてしまうくらいには、胸の強調がもの凄かった。

ただ、恥ずかしがっているからか、それとも精霊の眼のせいなのかはわからないが、顔を赤らめたエメは目を閉じている。

だから、俺が胸ばかりを見ているということに気づいていない。

そんな俺たち二人を見て、さすがのメイさんから怒りの声が聞こえる。


「えっと、わたしの計画は壊されたということで大丈夫なのですよね」

「そ、そうです。わたしだって、頑張れば、少し恥ずかしい恰好の服装くらいできますから」

「なるほど。そういうことですね」


メイはこのとき、思っていた。

恥ずかしいのは服装なんかじゃなくて、仕草とかそっちだろと…

そう思うのだけれど、それを言うということはできない。

だって、それを言ってしまえば、それは女性として、どこか敗北を認めてしまうようになんとなく、本当になんとなく思ってしまったからだった。

そんな女性の気持ちなど全くわかることもない童貞の俺は、口調に怒りが混じりだしたメイさんに驚きを隠せないでいた。

何をしても、ある程度のことでは許される相手だと思っていたから、余計にだろう。

驚いた表情をしながらメイさんのことを見ると、俺と目が合って、何か思うところがあったのだろう、咳払いを一つする。


「ごほん…結局エメさんは何がしたかったのよ」

「それは、ただしさんを最悪の未来から助けたかっただけです」

「やはり、わたしの計画に気づいたということですね?」

「はい、そうです。ってただしさん、メイさん?」


返事をしてエメは目を開いたのだが、そのタイミングで俺とメイさんの二人が注目していることに驚いたのだろう。

エメは目を閉じていたことで、ただしはメイさんの方を見ていると勝手に思い込んでいたから、余計に驚きを増していた。

かといって、注目されているからには、話しをしないといけないと思ったエメは続きを話す。


「わたしたちエルフが使える魔法。未来予知で毎日少しずつただしさんの未来を視ていました。そのときに、いくつかの可能性が視えてきました」

「可能性?」

「はい。ただしさんは未来を視るスキルをもつ女性と会ったことがありますよね」

「ああ、少しは一緒に行動したこともあるな」

「その女性はどうでしたか?」

「どうでしたかと言われてもな…」


俺は、そこで考える。

どうと言われても、ミライのことはよくも悪くも変わった存在ということくらいしかない。

あと、最初会ったときから、自分が視た未来を変えてほしいと願っていた。

魔力がない俺であれば、魔力で視た未来を変えられるのだということだったが…

もしかして、そういうことなのか?

俺は、なんとなく言いたいことがわかった。


「もしかして、どうなるのかという未来を視ることはできるが、俺が変えるせいで、その未来ではなくなっているってことなのか?」

「そうですね。それはあると思います。でも、それだけではないと思います。信じると言えばわかりますか?」

「信じる?もしかして、ミライが視る未来は間違えることがないってことなのか?」

「はい。わたしが考えるにはそうだと思います」

「まじかよ」


エメにそこまで言われて、俺はエメが言いたいことがなんなのかがわかった。

それは、ミライが視ていた未来というのが、俺が変えることがなければ変わることもない正確な未来となるということだ。

確かに、視れる範囲がどこまでなのかがわからない以上は、それがどうなのかと言われてもわからない。

ただ、そうなると、エメが魔法で視る未来というのは…


「エメが視れるものっていうのは、起こりえる未来の一つっていうことなのか?」

「さすがただしさんですね。わたしの言いたいことをすぐにわかってくださるのは」

「いや、ここまで言われなかったらわからなかったけどな」

「それでも、さすがだと思います」

「そうか…」


だから、エルフの里で出会って外に連れ出したときに、エメは何も言わなかったのかもしれない。

エメが視た未来とは違った行動を俺がすでにとっていたから…

でも、そこで気になるのは、エメが視た未来の一つの俺は何をしたというのだろうか?

それが気になって仕方なくなってしまうが、ここで気になるのはもう一つあった。


「エメが視た未来は、もう変わったのか?」

「はい、わたしが少しだけ変更させていただきました」


そう言って、エメはメイさんの方を見る。

それで、エメが何を言いたいのかわかる。

メイさんがやろうとしたことが成功した未来というのを、エメは視たのだろう。

エメはそれを防ぐことには成功した。

となると、俺がやることは決まっている。


「メイさん」

「なんでしょうか?」

「俺をメイさんがやりたかった未来とやらにさせてもらえませんか?」

「は?」

「え?」

「はああああああ?」

「えええええええ?」


俺が思ったことを口にしただけだというのに、二人の絶叫が響いたのだった。


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