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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

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285話

「わたくしの魔法はあなたを苦しめますよ」

「それは楽しみだな」

「火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー」

「それは甘いな」


バーバルが出した魔法はザンの剣によって斬られる。


「こんなものじゃないんだろ?もっと魔法を見せてくれるんじゃないのか?」

「わたくしができることを、よくわかってるじゃない。それなら遠慮はいらないってことでいいわね」

「こい!」

「火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー、ファイアー、ファイアー」


バーバルはいつものように魔法で三つの炎を作り出す。

魔力によって、魔法を制御すると、同時に炎をザンへと向かわせる。

ザンはそれを見て、剣を腰の辺りに構える。


「斬術、一文字」


その言葉とともに、ザンの剣は横に一閃される。

三つの炎を同時に剣で切り裂いた。

ザンスキルによって、魔法は斬られる。

それも、魔力ごと…


「へえ、そんなこともできるんですね」

「ワシのザンスキルはただ、魔法を斬るだけじゃないからな」

「そうですか、それは楽しくなりそうですね」

「すべて斬られてなくなよ」


ザンはそう言って剣を構え、前進する。

それを見て、バーバルは笑って魔力を高める。

ドエススキル。

バーバルは、相手が強敵であるほど、楽しんで楽しく勝つということに快感を得るということをどこかわかっている。


「ふふふ、火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー、ファイアー、ファイアー、ファイアー」


今度は四つの炎が向かってくるザンに飛んでいく。

それを見てもザンはひるむこともなく前進する。


「なんどやっても同じだ!」

「そうなのかしら?」

「斬術、一文字」


向かっていった四つの炎をザンはまた同じように斬ろうとする。

ただ、バーバルは同じことを何度もやるということはしない。

三つの炎は同じようにザンによって斬られるが、最後の一つだけは剣が届かない位置の地面に落ちる。

バーバルの魔力の強さによって、その地面が焼かれる。

ザンは何がしたいのかわからないままに、さらに前に突っ込んでいき、バーバルはそれを見ながらも再度魔法を発動する。


「火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー、ファイアー、ファイアー、ファイアー、ファイアー」


バーバルは次に五つの炎を作る。

再度、ザンによって斬られるは、バーバルは再度魔法を扱うことによって、斬られる魔法は三つだけだった。

バーバルは自分の近くに炎を落とす。

それを横目に見ながらも、ザンはバーバルへと近づく。


「斬術、一文字」


そして、ザンはバーバルへと剣を振るう。

ザンはバーバルを切り裂いたはずだった。

ただ、そこにバーバルの姿はない。


「小細工を」

「小細工じゃないわよ。布石ってものよ」


そう言ったバーバルが使った魔法は、ヒートヘイズ。

ファイアーの魔法によって、火をわざと地面に外していたのは、辺りの温度を上げるためもあった。

そのおかげで、ヒートヘイズは一度だけではない。


「なに!」

「もう、わたくしがどこにいるのかわからないまま、やられなさい」


バーバルが見えるところをザンは斬るが、それはすべて空振りに終わってしまう。

ザンには、どこからか聞こえる笑い声に剣を再度握りなおす。

そして、剣を振るう。


「斬術、空間切断」


その言葉とともに、ザンは剣を地面に突き立てる。

斬るというスキルによって、地面を斬っていき、それに伴うように割れ崩れていく。

といっても、すべてを斬るということはできない。

ザンはそれをわかっている。

ザンスキルというのも、結局は魔力でスキルを発動しているにすぎないというのを、ザンは理解していた。

だから、斬れる場所というの指定も、魔力が続く範囲でしかできない。

ただ、これによってバーバルのヒートヘイズは破られる。


「ふーん、やるわね」

「なに?」


ザンが驚くのも無理はなかった。

声が聞こえたのは、頭上だったからだ。

バーバルがいたのは、ちょうどザンの少し頭上。

見上げればバーバルが空中に浮くようにして、座っているのがわかる。

これは、ジーニアスがバーバルに開発したものだった。

空飛ぶベルト。

ベルトにジーニアスが開発した専用のアイテムを搭載することで、バーバルの風魔法で空を飛べるようにしたというものだった。

ただ、バーバルといえど、急に空を飛んで戦うなんてことはできない。

少しは練習をしたけれど、それでもうまくはできなかった。

だからこそ、ただしに言われていた。


「ふふ、やっぱりただしに言われてたことは正しいことなのよね」


そう、それは魔法と組み合わせて使うというものだった。

飛ぶということに集中すれば、ほかの魔法がおろそかになるし、飛ぶのもぎこちなくなってしまう。

だから、今回のようにヒートヘイズを使って相手を幻惑させている間に上から、魔法を使う。


「ふふ、じゃあ終わりにしてあげるわね」


バーバルはそう言葉にすると、魔法を唱える。


「火よ、火よ、火よ、その炎は降り注ぐものとなりて敵を焼き払う炎となる、終焉の業火を我が召喚する、メテオファイアー」


その言葉によって、隕石が頭上から現れる。

ザンはそれを見ながらも、地面から剣を引き抜いて剣を構える。


「魔法なら、ワシが斬ってやる」

「じゃあ、斬ってみなさい」


バーバルはそう自身満々に言う。

ザンは剣を振るった。


「斬術、一文字」


魔力を使ってザンスキルを使って斬る。

普通であれば、ザンスキルによって魔力そのものが斬れるはずだった。

ただ、隕石は斬れない。


「なんだと…」

「ふふふ…」


バーバルは笑う。

隕石が斬れない理由。

それは、魔力の差だ。

ザンスキル。

確かにそれは強力なものだった。

魔法を、魔力を斬る。

普通であれば、斬れるはずだったけれど、斬られても魔力を上乗せさせる形で隕石をすぐに再生させているのだ。

ザンスキルによって、確かに魔法は斬れている。

ただ、それよりも強力な魔力によってバーバルが再生しているせいで、隕石が消えない。

だからこそ、ザンは隕石に徐々に押されることになる。


「くそ…」

「ふふふ、ちゃんと斬ってもらわないといけません」


辛そうなザンとは違い、余裕そうなバーバルはさらに魔力を込める。

ザンスキルを使いすぎたザンは、魔力が途中で尽きる。


「な…」

「終わりね」


バーバルがそう言葉にして、隕石によってザンのもっていた剣が折れる。

そして、ザンは隕石に包まれた。

三人をそれぞれ無力化したところで、アイラが言う。


「じゃあ、ただしを追いかけるわよ」

「はい」

「そうね」


そして、三人はただしを追いかけるように進みだす。


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