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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

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284話

「なんで二人は私よりも当たり前に通じ合ってる感じなのよ」

「そう言われまして、ただしから少し作戦を話したいって言われまして、それをしただけですから…」

「だから、それが私は気に食わないの」

「だったら、早めに倒して追いつくしかないんじゃないの?」

「バーバル、確かにそうね。そうしましょう」

「ワシらも予想外だが、そんなことをできると思っているのか?」

「できるのかじゃなくてやるのよ!」


私たちは、ザンたちと向き合った。

速くこの三人を倒して、ただしを追いかけないといけない。

そう、あれだけの言葉を言ってただしは城に向かって走って行ったのだから…

どうして向かう方向がわかったって?

簡単なことだった、この場所は私たちが見たことがある場所だった。

といっても、リベルタスからはかなり遠い場所に違いない。

だから、ヘンタイスキルを発動してかなりの勢いで走っていくただしに追いつくためには、私たちが協力しないといけないことはわかっている。

そのためにも、三人を倒すことが最優先事項だった。

すぐに武器を構えながら、ここに連れてこられた理由を考える。

結局わからないので、ザンに聞いておく。


「ここに来た理由はなんなのよ」

「なんだと言われてもな。答えなくてもわかるだろ。ここで出会ったんだからな」

「確かにそうだけど…もしかして、またやる気なの?」

「そうだな。ワシらの言うことを水龍が聞いてくれるのなら、そうするだろうな」

「だったらやらないってことでいいわね」

「どうしてそう思う?」

「だって、戦いに横やりされるのが嫌そうだからね」

「は!あっているとしか言えないな」


ザンはそう言うと、私に斬りかかってくる。

それを私はただしと同じようにザンの懐に入ると、持つことはできないので手を弾いて、右手をザンに叩き込む。


「なんだと!」


急な動きに、ザンも驚いただろう。

どうしてこんな動きができるのかって?

それは、ただしにまだちゃんと内容を聞いてないから、それによって私にスキルが発動している。

ケッペキスキル。

レメがただしにどんなことをしてこうなったのか、それを知るまでは私の中で、できているこの沸々と煮えたぎるような思いが渦巻いているからだった。


「シバル、バーバル、さっさと片づけるわよ」

「はい。頑張りますね」

「ふふ、楽しくなるわね」


そのためにも、私たちは相手のことを少しは知らないといけない。


「ここはプラン二つ目ね」

「わかりました」


そして、私はイルに向き合う。

シバルはジークと、バーバルはザンと向き合う。

イルは、私たちの動きを見て口にする。


「僕はそこまで強くないのですが…」

「強くない人はみんなそう口にするのよ」

「そうなのですか?」

「そうよ」


相手は確か、イルって言ってたような気がする。

使ってくるスキルは、ブンシンスキル。

スキルによって何人かに増えるらしい。

どういう原理のものなのかがわからないから、私にはそのあたりのことはわからなくても大丈夫。


「僕はそこまで強くないですが、この組み合わせは相性が悪いように僕は思うのですが…」

「ふーん、どっちが?」

「それは、僕たちがです」

「へえ、わかっているじゃない。じゃあ、私が今から何をするのかわかるってことでしょ?」

「わかっていますよ。だから、僕は必死で僕を呼び戻しているんですから」

「じゃあ、遅いってこともわかるでしょ?」

「はい。手加減を少しはしてほしいものですね」

「嫌かな」


私はそう言葉にすると手を前にする。

イルはアイラたちがこの動きをしたときに、イルたちには相性が悪いということを最初から気づいていた。

普通であれば、アイラの魔法が修道女魔法ということもあって、やれることを考えればジークと戦うのが一番楽だ。

でも、アイラたちはただしたちから聞いたラグナロクのメンバーの情報から、ある程度のスキルをわかっていた。

だから、これが最適だった。

イルのブンシンスキルはかなり特殊で強力なものだというのを、ただしから少し聞いていた。

ただ、欠点があるということも聞いている。

それは、力を出すためには分身を一か所に集める必要があるというものだ。

すると、私がすることは、決まっている。


「我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」

「く!」

「これで閉じ込めれば、少しでも時間を稼げるしね」

「そうですね。僕一人では、これを破る力はありませんからね」


これで、戦ったと言えるのかわからない戦いを私たちは終える。

そして、シバルとバーバルの方も決着は早々につきそうだ。


「わたしの正義は最後に勝つ。そう決まっていますからね」

「そんなことはありません。ボクたちが勝ちますから」

「そうですか、どちらが強いのか、すぐにわかると思いますがね」

「では、試してみますか?」


シバルは盾を構える。

シバルが持つのは両手の盾。

対してジークが持っているのは大剣。

お互いの武器に魔力が宿る。


「わたしの正義は今度こそ、わたしの願いを叶えるために!」

「ボクの盾は、全員を…ボクの大切な人たちを守るためにあります」

「正義、聖騎士剣術、聖二の型、聖十字斬り!」

「魔力の盾!」


二つの魔力はぶつかる。

ガキンという音とともに、お互いの武器は弾かれる。

少しの距離を取るジークに対してシバルはその場から動かない。

それを見て、ジークは剣を再度構える。


「なるほど、正義の力が足りない!」


ジークはさらにそう口にすると、スキルによって強化される。

その姿を見て、シバルは弱いと思ってしまう。

それはただしを見てきたからこそわかる違いだった。

ジークは確かに強い。

スキルも使って強さもある。

セイギスキル。

ジークが使っているスキルは自分が思う正義を振るうときに強化されるというものだ。

ただ、セイギスキルはこれだけじゃない。

誰かが正義だと思っているものに力を使うこと、それもセイギスキルを強化することになるということをジークは理解していない。

いや、最初だけはジークも理解していないのかもしれない。

でも、自分の正義だけを追い求めるようになった。

それはあることを叶えるために…

だから、ジークは剣を構え、さらに自分の正義を示すために力を求める。


「わたしの正義は絶対に叶うのですよ!聖騎士剣術、奥義、ホーリーソード」


光の剣がシバルに向かってくる。

シバルは魔力を盾にためる。

魔力の盾に魔力の剣を纏わせる。

それによって、相手の魔力をかき消すことができる。

先ほどの攻撃はそれで防げた。

でも、さらに強い魔力である今回に限っていえば、それは通用しないことがわかっている。

正確には、魔力の盾にあたる分の無力化はありえるのかもしれない。

でも、シバルがそれをしてもジークを倒すということはできない。

だから、光の剣に向かって盾を構えたシバルは前に走り出す。


「はああああああああ!」

「くううううああああ!」


魔力の盾を構えたシバルはホーリーソードに包まれながらもそのまま進んでいく。

魔力の盾に当たっている場所は確かにホーリーソードを防いでいる。

ただ、光の剣はそれだけでは完全に防げてはない。

盾から漏れた光の剣の魔力が体に当たる。

体を傷つけることでシバルの中のドエムスキルが強くなる。


「ふへ、ふへえええええ!」

「なんだと…」


前へ、前へと進んでいくシバルにホーリーソードを放つジークは驚きを隠せない。

前よりも、自分の中の正義が定まっているというのに目の前にいる女性は止まらない。

盾を構えて前へと進んでいる。

それを見てジークは確信した。

自分の正義は負けるのだということを…


「わたしの正義は、わたしの自己満足だったか…」

「ふへええええああああ」


ジークは盾によって倒される。

そして、恍惚の表情をしたシバルがそこに立っていた。


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