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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

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282話

「レメの代わりをしてみない?」

「は?」


本当に言われたときには訳がわからなかったことだった。

だって代わりをすると言われても、そもそも俺は男でレメは女だ。

それだけで違うというのに、身長差だってしっかりとあるというのにどの辺りに代わるという要素があるというのだろうか?

も、もしかして…


「女装をしろというのか、俺に?」

「そ、そんなわけないに決まってるでしょ!」

「だったら、どうやって代わるっていうんだ?」

「それについてはレメのスキルに関係していることだから」

「スキル?レメが持ってるていうヘンシンスキルってやつか?」

「そうよ。レメが持っているヘンシンスキル。それがね、使うことで新しいことができるようになったの」

「それがさっきの代わるってことなのか?」

「そうよ。このスキルを使うことで代わることができるの」

「わかったような、わからないような…」

「確かに、言葉で言われただけじゃ、信用できないわよね」

「まあな」


そう、レメが使っていたスキルというのは、ヘンシンスキル。

できることは、触れた人と同じ姿になれるというものだ。

姿や形、外見は確かに全く一緒だというのは、前のスキルを使ったときに知っていることだし、その点はわかる。

でも、ヘンシンを使うことで全く同じ見た目になることにはなるが、同じ人が二人いるということに変わりはない。

だから、もし出くわしてしまうことになれば、よくあるドッペルゲンガー状態になるのだ。

ただ、俺のヘンタイ眼ではそれが見抜ける。

まあ、どれだけ見た目を変えようとも、中身がかわらないからだ。

だから、さっきシバルと話したときにしていた、もしどこかに飛ばされるということになれば、魔力がない俺は姿を変えようが、簡単にバレてしまって意味がないというのが普通だ。

どれだけ俺が服などで姿を隠して見えなくしようが、それは変わりない。

そう思っていたのに、レメは俺の目を見て言う。


「大丈夫。本当に、レメと入れ替わるって表現が正しいくらいには代わることができるから」

「そう言われても、信用できないんだが…」

「確かにそうなんだけど…レメだって何回でも使えるなら見せてあげることもできるんだけど、レメが使えるのは一日に一回だけだし…」

「だったら、今からそれをするのはダメなのか?」

「それは、難しいの…人と入れ替わるってなると、時間も限られてくるからね」

「どういうことだ?」

「それは、入れ替わった方の思考に支配されて、戻れなくなるってことなんだけど…説明しても、これは意味がわからないことだと思うから…」

「そうなのか?」


結局詳しいことはわからない。

ただ、入れ替わってほしいというのだけはわかる。

じゃあ、気になるのは、なんで入れ替わりたいのかだ。

俺の視線で、何を聞きたいのかをなんとなく察したのだろう、レメは少し目線をそらす。


「まあ、レメだって何回も言っていて迷惑をかけていることはわかるけどね」

「ああ、ピエロのことか…」

「それだけじゃないけどね」

「メイさんのこともか」

「そうよ。レメだけがのけ者ってことを考えても、二人の考えていることをちゃんと知りたいの」


レメはそう言って、ラグナロクがいるであろうリベルタスの城を見る。

レメの言っていることは理解できる。

自分だけがそこにいなければ、気になってしまうのは仕方ないことだ。

まあ、あとはそれが間違っているのなら説得くらいはしたくなるというのは、理由として十分と思うのが普通だ。

こういうときはなるようになれと任せてみるのもいいだろう。


「それなら、やってみるか」

「本当?」

「まあ、どんなことができるようになったのかが気になるっていうのもあるしな」

「レメだってできることが増えてるからね」

「そうか。なら、まずはここからもしかしたら起こるかもしれないことについて説明しておくか」

「そんなことがわかるの?」

「予想で、本当に起こるのかわからないけどな」

「そうなんだ」


そして、俺はシバルにした説明をレメにもした。

レメのスキルは、もし何かが起きたタイミングで行うようにするということでお互いに納得したのだが…

本当にモンスターが現れて、そこから油断した俺たちをゲートで分断することになるとはな…

それにしても、奇妙な感じだ。

そう、俺はレメの恰好でアイラとシバル、バーバルの三人と一緒にいるという状況はそう思うしかなかった。

レメが言っていた思考が引っ張られるというのは、最初の会話でわかった。

あれだ、口調というべきか話す言葉というべきなのかはわからないが、俺が思っていたはずのことが、気づけばレメの言葉として発せられるという感じだ。

だから、変なことなんて全く言えないし、考えたとしてもすぐに違う考えに支配される。

ヘンタイとしては、非常につらいものがある現状だった。

ただ、いつもはあるものがないという感覚と、ないものがあるという感覚は味わえているので、これで女性に一つは近づいたのではと、のんきに考えてしまうくらいだ。


「く、こんなところで、女性四人を襲うなんて、なかなかのことをするわね」

「よくいうな、嬢ちゃん。ワシらと同じくらいの力をもっているのにな!」

「それはそれだからね」

「本当にね。わたくしたちよりもただしに人数をかけるべきだと思うのにね」

「バーバルもそう思うわよね」

「ええ、シバルはどう?」

「ボクですか?それは、まあただしであればなんとかできるかもですが…」


シバルだけは、少し困惑していた。

それも仕方ないことだった。

だって、ただしが言っていたことが本当に起こったからだ。

それも、言っていたことがほとんど間違っていないことから、余計に困惑してしまうのは仕方ないことだった。

まあ、俺もビックリしていることだしな。

となると、ここからなることはなんとなくわかる。


「それで、あなたたちは、ここで私たちと戦うの?」

「そうだな。ワシらの上がそういっているからな」

「戦いたくはないですが、エンドとの野望のために…」

「正義を貫くために!」


そして、戦いが始まる。

レメの姿をした俺は、戦いを見ていた。

戦いに混ざりたいという気持ちは多少あるが、できないことなのはわかっているので、どうしようもない。

というのも、このレメが新しくできるようになったこれは、見た目を入れ替えるというよりも作っていくという表現があっている。

俺という人に魔力でレメという人を貼り付けていると考えるのが、一番表現しやすい言葉だ。

だから、魔力がないはずの俺が魔法なんかは全く使うことができないが、魔力を持っていると誤認させることができる存在になったということだ。

だから、こうやってここにいるだけだが…


「斬る!」

「甘いです。ボクの盾は斬れません!」

「正義!」

「あんたの正義はまだまだ足りてないのよ」

「毎回キツイですね。もう少し僕は楽をしたいのですが」

「じゃあ、楽に倒されればいいのにね」


攻撃はお互いに譲らない。

わかっていたことだ。

俺たちのスキルはあれだとしも、お互いにスキルと魔力の使い方を知っているもの同士だ。

そうなれば、力が拮抗するのは仕方ないこと…

だから俺は、見ていただけだというのに…

気づけば体を纏っていた魔力がなくなったのだ。

崩れるようにしてレメの姿から、元の俺へと戻る。

そして、戦闘を投げ出したアイラたちによって詰められるという状況になってしまったのだ。



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