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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

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279話

「なるほどな、こういうことをしたかったわけか…」

「なんじゃ、おぬしにもわからなかったのか?」

「一応ゲートができた瞬間にはわかったけどな」

「それじゃ、遅いということが何故気づかないのじゃ」

「それを俺に言われてもな、今更どうしようもないだろ?」

「確かにそうじゃな…それよりもわらわたちが二人なのをなんとかしないといけないと思うのじゃ、また変なことを頼まれそうじゃしな」

「おいおい、俺がそんな変なことを頼むやつに見えるのか?」

「当たり前じゃ、おぬしのことはわらわだってある程度わかっておるのじゃ。それに、前科もあるのじゃしな」

「あったかそんなこと?」

「おぬし、忘れておるというのか?」


ヤミに驚いたように言われるが、俺はとぼけたように上を見る。

まあ、実際には覚えているわけだが、そんなところを言ったところで、状況が余計にややこしくなるだろうから、言うことはない。

ここからは協力をそれなりにしないといけないこともあるので、余計にだ。

下手なことを言うわけにもいかないというのもわかっている。


「結局ここはどこなんだ?」

「そんなこと、わらわにわかるわけないのじゃ」

「そんなの、なんとなくわかってたからな、もしかしたら知ってるかもという希望的な言葉だろ」

「なんじゃ、その言われ方をするとわらじゃって、さすがに少し思うところがあるのじゃ」

「じゃあ、どこかなのかを考えてくれよ」

「仕方ないのじゃ」


そうして俺たちは、辺りを少し歩く。

ここまではいいペースだっただけに、こうなったらがむしゃらに動いたところで難しいだろう。

こんなことをしてくるとは正直予想外だった。

どうしてか?

それは、その前の日に俺がラグナロクの一番トップだと思うメイさんと会っていたからだ。

そのときに話したことで、正々堂々と戦うことになると思っていたんだが、どうやら違ったらしい。

まあ、こうなってしまったのなら仕方ない。

リベルタスに向かわないといけないことに変わりはないからだ。

それにしても、さっきまで焚火による明かりがあった場所だったから余計に暗く感じる。


「まずは暗闇になれるところからだよな」

「なんじゃ、こんなものはすぐに対応するのが普通なのじゃ」

「いや、ヤミみたいな存在じゃないからな俺は」

「何を言っておるじゃ、わらわがおかしいみたいに言いおって、おぬしのほうがおかしい存在じゃぞ」

「いや、酷いな」

「だって、本当のことじゃ。さっさとここから出るのじゃ」

「わかったよ」


そう言って俺はヤミについていく。

喋っている時間でさらに暗闇には慣れてきたからついていくのは簡単だが、わかることはこの場所がどこかの洞窟であることくらいだろう。

まあ、モンスターがいないことはここに飛ばしたあいつの優しさということなのかもしれない。

壁をつたうことで外に出ることに成功したが…


「ここってどこなんだ?」

「わらわにもわからないのじゃ」

「そうだよな」


先に出ていたヤミも周りを見ていたが、わからないのかお手上げという感じだ。

どこなのかわからないから、リベルタスに向かうためにもどの方向に行けばいいのかわからない。

がむしゃらに動けばリベルタスから余計に遠ざかることもありえる。

こんなときにどうすればいいのか?

いい案は浮かばない。

まあ、当たり前のことなのかもしれない。

俺にこういうときに役に立つ能力がないからだ。


「難しいよな」

「なんじゃ、こういうのはこううまくパーッとできないのじゃ?」

「できないからな。こういうときに、どうしてポンコツな考えしか出てこないんだよ」

「仕方ないじゃろ、こういう状況を体感したことなど、全くなかったのじゃからな」

「いや、それは俺もだよ」


それをヤミに言ったところで、どうしようもない。

現実世界であればスマホがあればこういうときでも大丈夫なのだが…

まあ、見た感じではかなり山奥なので、電波が入らなければ意味もないのかもしれない。

こういうときに、毎回思うことがそういうスキルがあればなのだが、俺にそんなスキルがない以上はやることは一つだ。

暗闇でどこかわからない。

異世界でモンスターも出るかもしれない。

普通だったら、明るくなるまで待つという選択肢なのだろうが、俺はヘンタイとしてそれなりの強さを身に着けた後だし、ヤミは魔王のなりかけなので、当たり前のように強い。

そこからできることといえば、近くの町まで進むというのがここでは最適解なのかもしれない。

そこで情報さえ手に入ればいいことだしな。


「ヤミ!」

「なんじゃ?いいことを思いついたのか?」

「一応最適解をな」

「なんじゃ、早く言うのじゃ」

「ああ、手っ取り早く明かりがついている場所。まあ、町を今から目指すってやり方だな」

「なるほど、それがよいやり方なのじゃな」

「そうだ。結局ここでうだうだしててもどうしようもないからな」

「確かにそうじゃな」

「そうだぞ。ということで、行くぞ!」

「わかったのじゃってなると思うのかの?」

「どうかしたんだ?」


俺の言ったことで納得したと思っていたので、急に怒り出したヤミに違和感を覚えてしまう。

何があったというのだろうか?

疑問に思っている俺に対して、ヤミは言う。


「どうして不思議そうにしておるのじゃ。どう考えても考えなしの行動じゃ」

「なんでだよ、考えた結果にこうなっただけだぞ」

「考えた結果なのじゃとすれば、おぬしの頭の中は相当におかしなことになっているとわらわは思うのじゃ」

「じゃあ、どのあたりがおかしいことなんだ?」


俺のことをおかしいとヤミは言うが、そう言われたところでどこがおかしいのか、わからない。

だから聞くことにするのだが、ヤミは余計に頭を抱えそうになっている。


「ここまで言っても、おぬしがわからないというのが、わらわにはわからないのじゃ」

「だってな…」

「じゃあ、そんな大雑把な計画がうまくいくとおぬしは思っておるのか?」

「いや、やってみないとわからないしな」

「確かにそうじゃな。じゃったら、わらわの適当にこういうときはパーッとうまくいくというのも変わらないと思うのじゃ」

「いや、違うだろ。俺のは町という明確な目的地があるからな」

「そんなのは誤差じゃろ!まあよいのじゃ、こんなところで言い合っていても、前には進まないのじゃしな」


ヤミは怒りながらもそう言うと、先に進んでいく。

ただ、そのタイミングで月明りに照らされた人影が現れたのだった。


「私、美少女が助けにきたわよ」

「ただしさん、えっと大丈夫ですか?」


俺はすぐに人影の一人にだけ駆け寄ったのだった。


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