表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイが異世界にやってきた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/382

28話

「すみませんただし、アイラ様を運んでいただいて」

「いや、いいぞ…というか今日は逆なんだな」

「そ、そう言われると恥ずかしいだろう」


現在俺たちは、正式な結成記念と今回の祝勝会として食事を行った後に宿屋に帰る途中だった。

珍しいのは、いつもであれば寝ているのがシバルで、起きているのがアイラなのに、今回は逆だった。

ちなみに、服なんかはしっかりと返してもらった。

だからコートもちゃんと着ている。

決して今はコートの下が裸でというわけでもない。


「あの、聞きたいことがあるんですが…」

「どうしたんだ?」

「ただしは、ヘンタイなのですか?」

「えっと、どういう意味だ?」


急にそんなことを言われて、戸惑いながらも俺は答えたのだが、シバルはさらに続ける。


「わかりにくかったですか?あのヘンタイ恰好をしてボクたちを助けてくれたのはただしですかと言っているのですよ」

「どうだと思うんだ?」

「それは…」


急に言われた言葉だったけれど、もうシバルの中では答えが出ている気がする。

俺はため息をついた。


「もう、シバルの中では答えが出ているんじゃないのか?」

「そうですね。では言わせてもらいますね。ただしは、あのヘンタイですね」

「いや、もう隠せないということか…」

「ええ…素顔が隠れていても声でわかりますよ」

「いや、口が布に防がれているから、普通は聞こえにくいはずなんだが…」

「実はそれは、ボクのスキルによるところもありますから」

「え?シバルは自分のスキルが何かわかっているのか?」


俺は以外な事実に驚愕した。

だって、スキルを自覚するということはそれで戦うことができれば、強くなれるということだからだ。

ということはもしかして…


「あのとき、ジークから助けたのはいらないお節介だったか?」

「いえ、ボクのスキルは普通ではありませんから。それはただしも同じではないんですか?」

「そうだな。俺もスキルはかなり特殊だな」

「そうですか…」

「ああ、というかなぜこのタイミングなんだ?」

「それはボクと同じだと思ったからですね。」

「スキルがか?」

「そうですね。とりあえず、アイラ様を部屋に置いてから、話をしましょう」

「そうだな」


そうして俺たちはアイラを部屋におろして宿屋の近くにあった公園のベンチに腰かけた。

ただ、お互いに話をするタイミングを見失う。

こういうときはどういう話しをするのが正解なのかがわからない。

それでもこのまま話をしないというわけにもいかない。

こういうときは自称神に聞いてみるか。


「(おい、こういう状況でどういう会話をしたらいいんだよ)」

【そういうことは自分で考えなさい。】

「(それができれば苦労はしないって前言わなかったか?)」

【だから童貞が直らないのよ。だったらいうのよ。俺のことがヘンタイだとわかったのなら、俺がお前をヘンタイに染めてやるって】

「(いや、言えないだろう!)」

【そう思う?】

「(普通言えないだろう!違うのか?)」

【そういうところを自慢げに言うから、卒業ができないのね】

「(いや、そんなことを言わないで、俺のメンタルを削りすぎじゃないか?)」

【あんなに平気でうそをつけるあんたが自分のメンタルを気にするなんてね】

「(確かにな)」


異世界にきてまで、そんなことを言われるとは思っていなかった。

確かに平気で嘘をついてきたけどな。

それとこれとは話が別だということを覚えていてほしいものだ。

くそ、結局何を話せば…

俺はそう思ってシバルを見たときだった。

シバルと目があった。

すると、シバルは一瞬ビクッとしながらも、懐をゴソゴソとまさぐった。

その様子がどことなくなまめかしくて見てしまっていたとき、シバルが何かを出してくる。


「あの、これを…」

「これは…」


手渡されたそれを見る。

何だろうか、これは鞭?

疑問に思っているときだった。

シバルは立ち上がると、目の前に座って叫ぶように言う。


「さあ、ただしそれでボクを虐めてほしいのです!」

「いやいやいや…どういうこと?」

「それは、ボクのスキルがドエムスキルだからです」


かなりの衝撃的な告白だった。

俺は戸惑って言えなくなっていると、声が聞こえる。


【キターーーーーー】


さ、叫びがうるせえ…

ただ、こういうときにいいことが言えないのもヘタレな俺なのだろう。


「いや、待て待て…ちょっと状況が飲み込めないんだが…」

「そうですか?簡単に言いますと、ボクは前からスキルについては理解していたのです。ですが、それを発動するためにもドエムにならないといけないのですが、それでもドエムになる相手くらいは選びたくて…本当はアイラ様にしてほしくてずっと一緒にいたのですが…同じ変なスキルを持っているただしと出会えたことで、ただしならと思ったのです」

「お、オッケー理屈は理解できた。でも、そのいきなりはな…」

「そうですよね」


ふう…

本当にいきなり過ぎて、理解が追いつかなかったんだが…


【何をやっているのよ、さっさとそれでぶっちゃいなさいよ!】


くそ、自称神がうるせえんだよ。

この世界で出会って、たった数日で、スキルがドエムなので、そのドエムスキルを持った相手をぶつなんてことが俺にできると思っているのかよ!


【ほら、はーやーく。ぶつのよ!メスの目をしているでしょ?】


くそが…

自称神は本当にうるさい。

そして、本当にシバル。

上目遣いで期待したような表情でこっちを見るんじゃないんだよ。

ああー、くそ…


「へ、部屋でなら…」

「本当ですか!ぶってくれるんですね!」

【もう、ここでやっちゃいなさいよ!】


うるさい自称神の戯言はほっといて、俺たちは部屋に戻った。

ここからさらなる波乱万丈の物語が待っていることを知らないまま…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ