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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

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271話

「やっぱり、ヤミがいると助かるわね」

「そうかの?」

「当たり前でしょ、ねえ?」

「ああ!」

「はい」

「ええ」


俺たちはヤミをおだてながらリベルタスに向かって進んでいた。

マゴスから直でリベルタスに戻るのか?

それについては、そのまま戻るということでみんな納得した。

まあ、俺たちのように目立つ集団がいれば、どこからリベルタスに行こうが目立ってしまうからだ。

だから気にしないというのが俺たちのやり方だ。

マゴスから出るときも、最初入るときにあった結界のようなものも、前までのような完全にわけてしまうものではなく、弱いものに変更するとメイニアたちが言っていたので、出るときに何かが起こるということも別にないだろう。

よくある展開だと、マゴスから出るときくらいには、結界によって俺だけ出れないなんてことが起こる可能性もあるかもしれないが…


「結界が見えてきたのじゃ」

「みたいだな」


緊張の一瞬に俺は身構えるが、結界を通りすぎたからといって何も起こらない。

さすがにそんな漫画みたいな展開があるはずないよな。

俺は安堵しながらも、リベルタスに入ったことにより、何かが起こるのではという警戒を少しする。

ただ、なんというべきか何も起こるわけではない。


「いや、当たり前か…これまでがいろいろ起こりすぎたんだよな」

「そうね。さすがにずっと何か起きていたら、私たちが呪われているんじゃないのかって不安になるわよ」

「そうだよな」


毎回どこかに向かうと何かが起こるか、何かに出くわすという流ればかりだったので、これはこれでなんとなく残念な気もするが…

そんな俺の雰囲気に気が付いたのだろう。

アイラに頭を小突かれる。


「どうしたんだ?」

「別に…どうせ、何か起こらないかなって、少しは期待したんじゃないのかって思って」

「そんなことはないぞ」

「本当?」

「ああ!」


確かに少しは思った。

でもだ。

起こるのであれば、そういうイベントじゃなくて、こうエロティックなことが起こってほしいとだ。

決して戦いが起こってほしいとは願うはずがない。

だって、戦いが始まってしまえば、エロいことが起こらなくなってしまうからだ。

そんな俺に対してアイラが再度笑みを浮かべながら聞いてくる。


「ただし?」

「な、なんだ?」

「変なこと考えていなかった?」

「そんなことは考えていなかったぞ?」

「本当?」


アイラの笑みが怖い。

というか、ここまで勘がよかったかと思ってしまうほどには、俺の考えていることがばれてしまっていることに驚いている。

ケッペキスキルのせいなのか?

俺のヘンタイな思考をしているのが簡単にばれてしまうのだ。

ここまでくると、スキルが影響しているとしか思えなくなってしまうのは仕方ない。

それにだ…

せっかくトラウマを克服したというのに、アイラの笑顔が怖くてトラウマが再発してしまいそうだ。

ここは仕方ない。


「シバル、バーバルちょっといいか?」

「あ、こら逃げるな」

「なんでしょうか?」

「なにかしら?」

「少し聞きたいことがあるんだがいいか?」

「もしかして、魔石のことですか?」

「ああ、バーバルの中に残っているやつのことについてだな」

「無視して…まあ、私も気になってたことだからいいけど」

「気になるの?」

「仲間としては当たり前だろ」

「ふふ、確かにそうね」


バーバルはそう言って嬉しそうに笑う。

そんなバーバルの中には魔石がある。

暴走するという危険性は少しあるものの安全なものらしい。

そのあたりは天才科学者のジーニアスが調べてくれたので間違いはないだろう。

ただ、バーバルの体調はこうやって少し気にしないといけない。


「アイラの光の槍では壊せなかったんだよな」

「そうね。一応刺しては見たけど、ほかの人のときみたいに体に入っているよくないものを貫いたっていう感覚がなかったからね」

「やっぱり、あれだよな…体が異物じゃないと思ったからそうなったと考えるのが一番しっくりくるよな」

「うん。私の光の槍で破壊できるのは、体に害や悪意を及ぼすものだからね。そのあたりはシバルがうまくやってくれたんだから仕方ないんじゃない?」

「えっと、すみません。バーバル」

「だから、謝らないでいいわよって、前も言ったんじゃないかしら?」

「そうですけど…」

「今の状態で体に影響があるものじゃないのだから、気にしなくてもいいの」

「わかってはいるのですが…」


シバルは申し訳なさそうにしている。

そんなシバルのわきのあたりをバーバルはこしょこしょとくすぐる。

すぐに笑ってしまったシバルにさらにバーバルは勢いを増して、わきのあたりをまさぐっている。

なんとなく見てはいけないようなシーンになってしまいそうだったので、少し目を逸らしながらも、俺はシバルがやったという新しい技のことを考えていた。

シバルがやったというのは、魔力剣を使ったものだ。

シバルの魔法は剣術と組み合わせて使うものではあるが、その中でも属性が定まっていない特殊なものだった。

最初から魔力剣という、魔力で作った大剣で斬ることによって、なんでも斬れてしまう剣を作りだすというものだ。

まあ、今にして思うと、相手よりも魔力が高ければ斬れて、低ければ斬れないという剣だったのだろう。

そんな剣を今回はさらに特殊な技を思いついた。

話を聞いて、なんとなく魔力メスという名前になりそうなのではと思ってしまうそれは、魔力剣を細く体から流しバーバルの体にあった魔石と体をつないでいた魔力回路のようなものを断ち切ったのだ。

かなり器用な技だと思ってしまう。

アイラあたりにはできなさそうだと思ってしまう。


「イタ…」

「また、失礼なこと考えた?」

「ソンナコトナイヨ」

「どうして変な喋り方になってるの?絶対考えてたんでしょ?」

「ま、まってくれ、別に変なことってわけじゃないぞ。シバルが使った技について考えてただけだ」

「だったら、そう言ったらよかったじゃない」


確かにな。

ただ、お前にはできそうにないよな。

なんてことを考えてしまっていたんだから仕方ないだろ。

こんなことは言えないことだしな。

俺の必死の言い訳にさすがに何かを感じてくれたのか、くすぐりから解放されたシバルが助け舟を出してくれる。


「ただし、ボクのやった技が気になるのなら、またやってみましょうか?」

「いや、一回経験したからな、それでいい」

「そうですか?」

「ああ、それであのとき言ったことできそうなのか?」

「練習はしているのですが…」

「なに?なんのこと?」

「いや、その小さな魔力剣を体か盾に纏わせるのはどうかと思ってな」

「なるほどね、それは相手が嫌がりそうね」

「できればになるけどな」


そう、実は魔力メスに関しては、俺も経験していた。

体の中に入ってくる異物感というのは確かに感じたことがないものだ。

まあ、当たり前のことだが…

それでも魔力がない俺には、魔力が体の中に流れるとどうなるのかというのが知れたのはかなり有意義な時間だった。

ただ、魔力が体の中に流れるのを感じて、自分の中に魔力がないということが確定してしまったのだけは、悲しい事実だ。

ただ、気づいたこともあって、魔力のメスは体を通過するときに魔力に関係するものであれば破壊できるというものだ。

どういう理屈でそうなるのかというのは、実験したジーニアスがわかっていることで、俺も詳しいことはわからないが、魔力を剣で細かく斬っているため、さらに強い攻撃も盾に重ねると防げるし、不用意に攻撃してきた相手の剣術には限るが、そのさいには剣術ごと魔力を消せることができるようになるらしい。

言えることは、できるようになるとかなり強い攻撃ということだろう。

俺も魔力があれば、それくらいのチート的な強さを使えるようになっているはずなのになと考えて悲しくなったのは言うまでもない。

まあ、今は…


「時間もあるし、今から少し練習でもするか?」

「はい、そうしてみます」


そうして、シバルの盾の新しい技を習得するべく俺たちは荷台でわちゃわちゃと話をするのだった。


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