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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

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270話

「ただし、ここからどうなると思いますか?」

「どういうことだ?」

「いえ、なんとなくですが、嫌な予感がするのです。ボクは強くなったと思います」

「ああ、強くなったな」

「ですが、なんとなくこれから起こることで危ないことが起きそうな気がするんです」

「どうなんだろうな…」


シバルにそう言われても、うまく言えない。

ここまではうまくいっていたように感じる。

まあ、全員のスキルがどこかおかしくてそのおかげでうまくいっていると考えるのもあるのかもしれない。

そういえば…


「シバルはメイニアが言っていたこと、どう思った?」

「ボクたちを集めて言われたことですか?」

「ああ、それだな」

「スキルには特別なものがあるという話でしたよね」

「あのときのメイニアはそう言ってたよな」

「はい。ただしこそ、どう思いましたか?」

「俺は…」


確かにメイニアが言っていたことは気になっていた。

マゴスでたくさんの話しをしたときにあったのが、スキルについてというものだ。

魔法は生まれ持った才能で使えるものが決まっている。

魔法の種類。

そして、普通魔法であれば使える属性。

複数の属性が使えるというのは珍しい才能で、スキルによって新しい魔法が使えたりっていうこともある。

その中でも、俺たちのスキルだけに起こっていた現象。

スキルの名前が表示されなかったというもの。

それは、実はあり得ないことらしい。

あとは…


「師匠のこと、気になりますか?」

「そうだな」


叶のことについても気がかりだ。

あの戦いが終わった後に、叶がいるとシバルたちに教えられて向かった場所に倒れていたのは、アシストだけだった。

起きたアシストも、叶がどこの誰かに連れさられたのか、もしくは自分で行ったのかすらもわからない。

手がかりもないので、わからない。

今はどうすることもできない。

なんとなく地面が黒く焦げていたような気もしたが、時間がたってしまっていたのか、誰かが来たかの痕跡すらもあまり残っていない。

黒いと言えば…


「あいつもいなかったしな」

「えっと、ただしと戦ったことがあるという」

「ああ、クロって名乗ってたやつだな」

「エルフの里で会ったと話をしていませんでしたか?」

「いや、それも俺はよくわかってないんだよな」


そう、エルフの里をメイニアたちは襲った。

そのときに、仲間として一緒に行動しているのは、クロだと俺は思っていた。

でも、実際は違った。

協力をしていたのは、お姉ちゃんだった。

メイニアに、ムコウカスキルという強力な力を持った俺の元親友の勇者だった男を貸し出していたのだ。

親友の勇者は、モンスターたちに立ち向かい、数の暴力によって早々にやられてしまっていたらしい。

正義感に強く、そういうところはあいつらしく、なんとなく笑えたが、その肉体を再利用したのがお姉ちゃんだったのだ。

親友の勇者を使ってムコウカスキルでエルフの結界を破壊したということらしい。

なんというか、そのせいでいらないものに巻き込まれてしまった俺に、もう少し何かいいことがあってもいいと思うのだが…

いいことは特にない。

ただ、言えることは…


「今からこれから先のことに不安になっても仕方ないだろ?」

「確かにそうですが…」

「なるようになるとしか言えないのもどうかと思うが、あんまり考えすぎて何かを見落とすのもよくないからな」


そう言葉にしながらも、俺はヤミをチラッと見る。


「ヤミが気になるのですか?」

「まあな」


俺たちがこれからリベルタスに向かうのも、ヤミの封印された魔力の塊を取り返しに行くというものだ。

そこで俺は何かが起こるのではと思ってしまう。

たぶん、それはシバルも感じるのだろう。

だからこそ、最初に嫌な予感がすると言ってくれたのだ。

それでも今は…


「考えても仕方ないか」

「はい、そうですね」

「それに、俺たちが考えたところで、壊してくれそうなやつがいるしな」

「確かにそうなのかもしれませんね」


シバルも俺と同じようにアイラを見る。

そこではなんだかんだとヤミとお菓子を食べている二人がいる。


「そういうことなら、ただしも同じようなところがありますよね」

「そうなのか?」

「そうですよ。わかっていて言ってますよね?」

「そんなことを言ってくれるってことは俺が何かしても怒らないな?」

「ただし?そうなるとこの場でボクを満足させないといけませんよ?」


シバルはそう言いながらも、いつもは見せないような姿をする。

それは思わずドキッとしてしまう。

ただ…


「はあはあ、これでただしに今から激しく激しく…」

「おーい、みんないるんだぞ?」

「み、みんなに見られて!それは、みりょ…いえ、辱めを…」


完全にドエムモードに入ってしまったようだ。

このままにするといろいろとまずい。

俺はすぐにこの場を離れる。


「バーバル、ちょっと助けてくれ…」

「どうかしたのかしら?」

「いやな…」

「あーあ、よくないわよ…あんなことをして」

「仕方ないだろ、言葉をうまく伝えられなかったせいだしな」

「そう思うのなら責任をもって対処してあげないとダメじゃないの?」

「それはわかってるけどな…急にああなるとさすがにな…」

「別にいいじゃない。ただしが好きだからああなってるだけなのでしょ?」

「そう言われればそうかもな」

「だったら、うまく扱うことも覚えないとダメってことでしょ?」

「そういうものなのか?」

「わたくしのことも含めてね」


バーバルはそう口にしながらも舌なめずりをする。

それは、妖艶で思わず見惚れてしまうほどだった。


「ふふ、どっちにしても今はわたくしが対処してあげるから、これからのことを少しは考えておくのよ」

「あ、ありがとう…」

「落ち着いたら、デートしてくれたらそれでいいわよ」


バーバルはそう言ってシバルの元へ向かう。

俺はそれを見守りながら、いまだにお菓子を食べているアイラたちと合流するのだった。


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