表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイとラグナロク

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

271/382

269話

「どうしてこうなんだよ」

「そういうことを言わないでください。ゲンタさんから預かったものを渡しにきただけですから」

「それはわかるんだけどな。いきなり近くないか?」

「雷魔法をうまく扱えるようになった俺のことを見てほしくて」

「いや、すごいな…」

「ありがとうございます。光栄です」


俺はリベルタスに向かう途中で、勇者と再会していた。

雷魔法をうまく扱えるようになったと、嬉しそうに言うが、男だ。

こんなにグイグイとこられれば、普通に引くのだが、そんなことは気にしないのだろう。


「本当に変わったわよね」

「はい。ただしに向かっていきますね」

「男同士もありなのかしら?」


アイラとシバルの言葉には得に何かを言うことはないが、さすがにバーバルの言葉には反論したくなる。

俺は決してそっちの方面に興味はないってところをはっきりさせたいと思ってしまう。

いや、そんなことを今は考えても仕方ないな。

俺は勇者がゲンタから預かったという品物をもらった。


「これは…」

「はい。新しいナックルだそうです」

「おお!」


そこにあったのは、前よりも重みは確かに増したが、さらに頑丈だと思うナックルだった。

こんな使えそうなものをもらえるとは、かなりありがたい。

となるとだ…


「これまで使っていたのが、売れるな…」

「どうかしましたか?」

「いや、なんでもない」


ポケットに入れたままだったいつも使っていたナックルを手で触る。

触るだけで確かに細かな傷が入っているのがわかる。

でも、これでさらなる戦いができるってことだろう。

感心していた俺に上から声が聞こえる。


「なあ、おぬしら、わらわは別にこういう役割じゃないのじゃ」

「でもな…ほかに速い移動手段がないからな」

「だからといって、わらわにこういうことをさせるのもおかしいということを考えてほしいのじゃ」

「気持ちはわかるんだけどな」

「じゃったら、わらわと変わるのじゃ」

「別に変わっていいけどな、そうなるとパンツを被った男が荷台を引っ張るってことになるけどいいのか?」

「それを言われれば、わらわは何も言えなくなるのじゃ」


見える位置でしょんぼりしているのは、ヤミだ。

翼だけをはやして、荷台に乗せた俺たちを運んでくれている。

現在どういう状況なのかというと、マゴスでヤミは魔力の塊を取り込み、部分的なドラゴンになるためには十分すぎる力が戻ったというのだ。

そんな魔力の塊がどこにあったかというのは、よくある話で、あのときジーニアスが作り、メイニアが完成させた銃の中に入っていた。

戦いが終わった後にヤミは自らへと取り込んだのだが…

そこから、今は運搬係になったというわけだ。

どうしてそうなったかって?

理由は簡単なことだった。

魔力が一番多くて、一番速く荷台を運べるのがヤミだったからだ。

といっても、そんなヤミに追いついてきたのが、先ほどまで話していた勇者だ、

改心してそれなりに時間がたっているとは思うが、俺に対してのテンションはあまり変わっていない。

そろそろどこか誤解を与えそうな気もするので、やめてほしいのだが…

下手に機嫌を損ねても面倒くさいことになることはわかっているので、今はなんとかやり過ごすくらいしかないのだ。

といっても、改心すれば悪いやつじゃないので気にしないのが一番だった。


「それで、これからどうするんだ?」

「俺ですか?」

「ああ、何かやることはあるのか?」

「そうですね。少ししてから、リベルタスに向かうと思います」

「そうなのか?」

「はい。王が変わったという話を聞きましたから」

「本当か?」

「は、はい…」


さすがに俺も驚いた。

他のみんなも同じように驚いている。

ただ、そうなると考えるのは、リベルタスではすでにラグナロクが支配していると考えるのが妥当だということだ。


「その話は本当のことなのか?」

「そうですね。俺も詳しいことはわかりませんが、信憑性は高いものと思っています」

「どうしてそう思う?」

「先ほど渡したナックルをもらうときにゲンタさんから聞いた話ですから」

「そういうことか…」


確かゴッドハンドスキルか何かをゲンタは持っていたので、それを使って武器や防具を作っているというのが、俺たちが最初に会ったときのことだ。

そのときですらも、どこかに出かけた帰りだったことを考えると…

まあ、毎回のことながらもいい感じの武器をくれるのだ。

シバルも最初に出会ったときに、尊敬しているってことを言っていたことから、どこかの国に呼ばれて武器を作りに行っていると思う。

そうなると、その国の状況を行ったタイミングで知るということも当たり前のことなのだろう。

強い武器を作れるということはそれだけで、かなり上の人に会う口実にもなったりすることだし、そこで話を聞いたのだろう。


「そうなると、俺たちはこのままリベルタスに入れるのか?」

「どうでしょうか?王が変わったことによって、リベルタスもまだ混乱しているということも考えられますし…」

「混乱に乗じてならいけるってことか」

「はい。俺も気になったので、行ってみようってことだけですので」

「そうか、だったらあっちで出会うことがあるかもな」

「本当ですか?そうなったら嬉しいですね!」

「お、おう…」


勇者がグイグイくるのをなんとかやり過ごしながらも、俺たちは休息を終えると、どうやって入るのかを考えることにする。

ちなみに、勇者は女性たちを待たせているそうで、帰って行った。

リア充めが!

心の中で悪態をつきながらも、俺たちは何かいい手がないのかを考える。


「まあ、一番手っ取り早いのは、ヤミに飛んでもらうってやつだな」

「なんじゃ、わらわは運搬竜になった覚えはないのじゃ」

「仕方ないだろ、そもそも空を飛べるのはヤミしかいないんだからな」

「なんじゃと、運ぶくらいならおぬしもヘンタイになればできるじゃろ!」

「確かにな…」

「だったら…」

「でも、いいのか?俺がやるってことは下着を被ったやつが後ろを向いて走るってことになるぞ」

「どうして後ろを向いて走ることになるのじゃ?」

「決まっているだろ?」


俺はそこでヤミに笑みを浮かべる。

そこでヤミは何かに気づいたのだろう。


「なんじゃ、おぬしよくないことを考えておるな」

「いや、別に悪いことはするとは言ってないだろ?」

「じゃあ、なんでおぬしは後ろを向いて走ると言っておったのじゃ?」

「仕方ないだろ、ヘンタイスキルを発動させるためにはヘンタイな俺を見てもらうしかないんだからな」

「そういうところでおぬしはヘンタイだというところをアピールするのじゃないのじゃ」

「まあ、そう怒るなよ」

「くう…本当にこういうことになるから、わらわが結局やるしかなくなるのじゃ」

「すまないな」


頭を抱えてしまったヤミを置いておいて、シバルがアイラとの話を終えて俺に話かける。


「ただし、ご飯いつもありがとうございます」

「ああ、別に気にするな」

「魔法のものがあると便利ですね」

「本当にな、ヤミとバーバルのおかげだな」

「はい」


そう、実はヤミだけでここに行くまでに余裕でというわけではなかった。

マゴスでジーニアスに作ってもらったものに、浮かせられる荷台というものを作ることに成功した。

その荷台をヤミが運んでいるので、そこまで疲れないということだ。

まあ、さっきまで休憩として少し飲み物を飲んで、ミィーアからもらったお菓子を食べていた状況だったというわけだ。

俺がしたのも飲み物を出したくらいなので、そこまで感謝されることはないが、こういうところは律儀なシバルならではなのかもしれない。

まあ、それだけではないのかもしれないが…

その俺の勘はあたったようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ