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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと過去

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264話

「ご主人様に歯向かおうなんていい度胸」

「それはわかっています。でも、わたくしにはご主人様と戦う必要がありますから」

「へえ、言うじゃないか!」


その言葉とともにメイニアはバーバルに向かっていく。

バーバルは迎撃するために魔法を放つ。


「火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー」

「ご主人様には無駄だよ」

「ええ、わかっていますよ」


メイニアはその言葉とともに、炎を避ける。

それも普通では避けられないようなタイミングで…

バーバルはその理由をわかっていた。

メイニアが使っているスキル。

普通であれば、人を人形のように操っていくもの。

それは、体だけではなく、感情などにも作用する。

だからこそ、メイニアは自分の体を操ることによって今の攻撃を強引に避けたということになる。

近づいてくるメイニアに対して、バーバルは再度魔法を放つ。


「火よ、その熱で陽炎を起こし幻惑せよ、ヒートヘイズ」

「ふーん、人形のくせに生意気な魔法だ」

「当たり前です。わたくしは負けるわけにはいきませんから!」

「へえ、ご主人様に逆らってばっかりなんて、ダメな人形!」


バーバルは火で陽炎を起こし、距離感をつかめなくする。

メイニアもこれには、突っ込む勢いを弱める。

ニンギョウスキルで行えるのは、体を一時的に無理やり普通よりも動かせるというもの。

それは、人という枠には当てはまらない勢いをする。

ただ、欠点もかなりある。

バーバルは、自分のことを変えたご主人様の能力がどういうものなのかを、直接説明を受けたことがあった。

その時に教えてもらった欠点は、無理やり動かすために、数度動かすだけで体がおかしくなってしまうこと。

無理やり動かせるのは体の動きだけであり、身体的に強化をしたというよりも、潜在的に持っている力を最大限まで無理やり使っているだけで、それ以上は出せないことというものだった。

だからこそ、幻惑できる魔法を使用した。

それは、体を動かしたところで、ただしのようにスキルで特別な何かが発動するというわけではなかったからだった。

さすがに接近戦となると、バーバル自身も勝ち目がないことはわかっているため、先に幻惑するという方法を取った。

これによって時間が稼げる。

それは次の魔法を放つための時間に繋がる。


「火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー、ファイアー、ファイアー」


炎をメイニアに向けて三つ飛ばす。

ただ、案の定というべきか炎三つはメイニアがステップに避けられてしまう。


「まだまだです!」


それでもバーバルは諦めない。

その言葉とともに炎を魔力によって操る。

ステップをしても追尾を行うようにする。


「いい発想なのは、褒めてあげたいけどね」


メイニアはそう言葉にすると、持っていた銃を魔法に向ける。

バーバルがそれがなんなのかを理解するよりも早く、火は銃に撃たれると何事もなかったかのように消える。


「それは…」

「ダメでしょ?ご主人様がどんなものを求めてやってきたのかを考えて行動しないと」

「そうですね。ですが!」


そう、バーバルは確信していた。

ご主人様に勝てるということを…

あれだけの回数自分にニンギョウスキルを使用したのだ。

体のどこかがおかしくなっていると考えるのが妥当だった。

ここまでは魔法でご主人様と対峙したけれど、ここからは少し前に出ないといけない。

ただ、バーバルは見てわかった、メイニアの体がスキルによって痛めていることを…

だからこそ、次からは苦手な体術も少しは組み合わせていかないと戦うのが難しいということはわかっていた。


「行きますご主人様」

「ああ、こいよ」


バーバルは前にいく。


「火よ、その炎を火柱にして相手を燃やせ、ファイアータワー」

「次は自分を囲むのか?」

「このままじゃないですけれどね」


バーバルはそのまま炎の柱を魔力で動かしながら進んでいく。

炎の柱を纏ったままで進んでくるバーバルにメイニアは銃を構える。

ただしが言っていた元に戻すことができる銃というものだ。

それの引き金を絞る。


「すぐに無効化できるからね」

「そんなこと、わたくしはわかっています」


すぐに火柱はそれによって消える。

それでもすぐにバーバルは再度魔法を唱える。


「火よ、周りの炎を取り込み、螺旋になりて敵を撃て、ファイアートルネード」

「周りの炎を使っても、それは魔法なのよ」

「わかっています」


新たな魔法。

でもそれは、確かに銃で撃たれてしまえば消えてしまう。

それでもわかっていた。

メイニアはその場から動いていないということを、バーバルは見ていた。

あれだけの動きを体の限界を無視してしていたのだから、仕方ないことなのかもしれないけれど、それでもバーバルはメイニアを倒すべく前に突っ込んでいく。

魔法使いらしからぬ行動だ。

それはバーバル自身もわかっていたけれど、こうしないとメイニアにダメージを与えることはできないのだとわかっていた。

ただ、このときバーバルはわかっていなかった。

どうしてメイニアがこの場にいるのか、それでもこの場にいたのは一人じゃない。


「待つぞ!」


その言葉とともに、ジーニアスがもっていた何かをスキルで自分の武器へと変化させるとメイニアに向かって投げる。

メイニアは冷静にそれを銃にてバラバラにするが、近づこうとしていたバーバルは慌てながらも止まると、勢いがなくなったことによって、後ろに下がる。


「何をするんですか?」


慌ててやった本人であるジーニアスに言う。

ジーニアスは新しい何かをクラフトスキルで作りながらも、その返答をする。


「わかっておらぬのぞ。メイニアがここにいて、あのワイの武器を使っているということがどういう意味を持つのかというのをぞ」

「わからないわよ」

「あれは、ワイが発明したものぞ。効果は一定のものを元に戻すことができるというものぞ。これは、人には使えないものだったぞ」


人には使えないものだった。

その言葉を聞いて、バーバルはもしかしてと思い当たる。

ジーニアスはそんなバーバルのハッとした顔を見てうなずく。


「そうぞ。メイニアがそれをもってきているということはぞ」

「よくわかってるな、ジーニアス」

「当たり前ぞ。メイニア」

「じゃあ、早速試そうか」


彼女はそう言うと、自分自身に銃を向けて引き金を引く。

メイニアに当たったと思うと、無理をしたせいで少し足や手が違和感のある形をしていたのだが、それが元に戻る。


「すごいわね、あの効果は…」

「わかったかぞ。メイニアに勝つにはワイの力も必要ぞ」

「ええ、わかったわ」


ジーニアスにそう言われてバーバルは頷く。

確かにジーニアスが止めてくれていなければ、銃によって回復したメイニアに接近戦を行うという無謀なことをしていただろうからだ。

ここからは二人で戦う。

バーバルは魔力を高める。


「さあ、仕切り直しだな」


メイニアはそう言う。

バーバルはすぐに魔法を放とうとするが、再度それはジーニアスの持っていたものによって阻まれる。


「何をするのですか?あれを壊さないといけないのでは?」

「そうだぞ…なのだがぞ…」

「ジーニアス、壊さないのか?いや、壊せないのか?」


その言葉にジーニアスは苦虫を噛むような顔をする。

バーバルはそれだけで事情があると察する。

それがなんなのか、わからない。

それでも、やることはわかった。

壊さないで、あれを取り返す。

でも、確かにそれができれば、形勢逆転できるのは確かだった。


「じゃあ、あれを取り返すことができればいいのよね」

「そうぞ。それが一番いいぞ」

「そんな悠長なことを言っていていいの?」


そんな言葉がしたと思うと、メイニアが近づいてくる。

バーバルたちは忘れていた、メイニアが近づいてこれるということに…

それもニンギョウスキルを自分に使っていることにより、今までの勢いよりもさらに速い。

バーバルは迎撃が間に合わない。

そう思っていたときだった、勢いよく建物の天井が壊れたのは…


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