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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと過去

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255話

「く…どういうことぞ」

「わからないかな?助手はちゃんと教育しないとダメじゃない」

「どうせ、お前がやっていたのだぞ」

「ふ、ご名答。わかってるならなんでちゃんと教育しないのかな?じゃないと大切な人と同じになってしまうぞ」

「そんなことわかっていたぞ」

「ジーニアス」

「こっちはいいぞ。そっちも相手がいるぞ」

「そうね」


私たちは、ジーニアスを追いかけた。

そして、追いついた先にいたのだ、バーバルとそれを連れた女性と、さらには二人の女性が…

すぐに戦うことになると思っていた私たちは武器を構えた。

だけど、武器を構える前におかしいと気づかないといけなかった。

おかしいと気づいたのは、ジーニアス一人で私たちは気づかなかった。

だから、ジーニアスが大事にしていたアイテムを盗まれてしまう。

ジーニアスは悔しそうに言う。


「くそぞ、ここで出会うこと事態普通ではありえないぞ。それをすぐに気づいておればぞ」

「どういうこと?」

「アシストのスキルを忘れたかぞ」

「そういうことね」


なんとなくわかった。

アシストのスキルで最初に調査したときに誰かに出会うということがなかった。

それが出会うってことは、アシストがわざと出会うようにここに来たとしか考えられない。

アシストがスパイだったってこと?

だとしても、やることは決まっている。


「結局戦わないといけないことには変わりないんじゃないの?」

「いや、ワイのあれを回収することができれば、なんとかできるぞ」

「すごい自信ね」

「当たり前ぞ。ワイは天才なのぞ」

「だったら、私たちは取り戻すしかないってことね」

「話は纏まったかな?でも、こっちとしてはこれを手に入れたらもういいんだよね。この後は四人に任せるよ」

「待てぞ、メイニア」

「そう言って、待つと思うジーニアス?」


白い服を着た女性はそう言うと後ろに下がっていく。

そして、それを防ぐようにして四人が私たちの前に立ちふさがる。

バーバルと知らない女性二人の相手を私たちがしないといけないのはわかる。


「ジーニアス」

「こちらはワイ一人で大丈夫ぞ」

「だったら、私は…」

「アイラ様、ボクがバーバルの相手をしてもいいですか?」

「シバル?」


シバルの声に私は驚く。

バーバルの相手は私がしようと思っていたからだった。

でも、シバルはすでに盾を構えて視線の先にいるのはバーバルだけだ。

これは、私が何かを言っても仕方ない。

だったら、任せるしかない。


「シバル、任せていいの?」

「はい。ボクがやるって決めていたことですから」

「だったら、私たちでほかの二人はやるしかないわね。叶」

「叶にそういうことを言うのは、お兄ちゃんだけなんだけど…今回は別にいいけど」


戦う相手が決まった私たちは武器をそれぞれに向けた。

私たちが相手にする三人は感情がないように動きだす。


「火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー」

「魔力の盾!」


バーバルの炎がシバルの盾と激突する。

二人の戦いが始まり、私たちは個々に戦うことになった。


「水よ、相手を貫く水となせ、ウォーター」

「我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」


初手の攻撃を私はなんなく防ぐ。

といっても、先ほどの女性が選んだ人だ。

この程度の魔法じゃないということを、わかっていた。

それがわかるように魔力が高まるのを感じる。


「何をしてくるんだろ?」

「水よ、風よ、混ざりて氷となって相手を貫け、アイス」

「これは…」


彼女が作り出したのは、氷。

それはバリアにぶつかるとバリアを破壊した。


「すごい魔力の攻撃ね」

「…」

「何にも言わないんだ」

「氷よ、相手を貫け、アイス」


すぐに彼女は二発目を発射する。

私は氷を避ける。

先ほどと違って詠唱に無駄がない。

どうしてなのかはわかる。

一度混ぜた魔力のおかげで、氷魔法を使えるようになって、そのままということだろう。

だったら、これはどう?

地面をける。


「我の手に、守るための聖なる力を与えよ、ホーリージャベリン」


すぐに手に光の槍を召喚して、貫くように突く。


「氷よ、壁となって行く手を阻め、アイスウォール」

「く!」


ガキンという音とともに、作られた氷の壁で光の槍は阻まれる。

通常だと、彼女の方が魔力が多い。

わかっていたことだけど、こうやって戦うと否が応でも理解する。

感情を無くすことによって、どういうことをしたのかわからないけれど、魔力を上げているということなのだろう。

私は距離を少しとって、彼女を観察する。

彼女のスキルは私でもなんとなくわかる。

混ぜ合わせるものって感じなんだろう。

だから、氷魔法という特殊な魔法が使えていると考えるのが普通だった。


「本当に、実用的で羨ましい魔法ね」


私は再度攻撃するために前に走る。

今度は右から…

氷の壁を張られていない右側から、私は突っ込んでいく。

「氷よ、壁となって行く手を阻め、アイスウォール」

「それはさっきやったでしょ」


私は左手に持っていた木の棒を氷に当てる。

最初に当たることによって、氷は少しだけ強度が落ちる。

すぐに右手の光の槍を同じ場所に当てると、思ったよりも簡単に氷の壁を破壊する。


「これでどう」

「氷よ、地面から貫く槍を出せ、アイススピア」


だけど当たる前に、彼女は地面を踏みつけるようにして魔法を唱えると、彼女の周りから大量の氷の槍ができる。

私は自分の頭上に向かって魔法を放つ。


「な!我の前に絶対通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」


出来上がった壁を左手で掴むと、バリアの上に乗る。

魔法の複数使用によって頭が少し痛むが仕方ない。

彼女は無機質な瞳で私の方を見ている。

それにしてもさっきの攻撃。

感情がないからそんな感じはしていたけれど…


「ねえ、相打ちでやりあいたいの?」

「…」

「やっぱり答えてくれないんだ」


どうやっても、命令に忠実。

そのことを考えると、私を倒すためには自分が傷ついてもいいと思っているのだろう。


「そういうの、私は嫌いなのよね」


誰かのためなら自分が傷ついてもいい。

そういう考えをしている人が嫌い。

だから私がそういう考えだとダメだってことを思い知らせる。

私はバリアから降りると、光の槍を右手から解いて向き直る。


「どうせ、ここで新しい技をやっても、あんたたちは覚えてないんだったら、試す価値はあるかな」

「氷よ、相手を貫け、アイス」

「我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」


飛んできた氷を、バリアで防ぐ。

しっかりと魔力を込めたお互いの攻撃だったけれど、バリアは氷で破壊される。


「それを私は待ってただけ。我の手に、守るための聖なる力を与えよ、ホーリージャベリン」


そして再度光の槍を作りだす。

先ほどまでと違う点は、小さいものを大量に作ったところだろう。

左手の上にできたそれを私は右手の指で挟むと投げた。


「氷よ、壁となって行く手を阻め、アイスウォール」


彼女は氷の盾をいつものように出す。

攻撃をすれば、同じことをする。

それをわかっていた私はこうした。

普通であれば防げる。

そんなことは私でもわかっている。


「だから、私だって多少は頭を使わないといけないんだから!」


小さい光の槍たちは、十ほど投げたが、いくつかは予想通りの軌道をとる。

それは、砕けたバリアに当たると方向を上に変える。

上には先ほど私が作ったバリアがある。

それに反射するようにして、再度彼女に向かっていく。

普通にまっすぐ飛んでいく光の槍と、上から降ってくる光の槍。

彼女の表情は変わらない。

ただ受け入れるようにして、私が作りだした光の槍が体を貫くと、その場に倒れたのだった。


「ふう、なんとかなったかな」


そんなことを思いながらも、私は叶の方を見る。

そちらはかなりの苦戦を強いられていた。


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