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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと過去

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241話

「美味しかったな」

「うん、でもちょっと、同じ味が続いたわね」

「そうじゃな。もう少し変わった味も欲しかったのじゃ」

「そのわりには、しっかり食べてたよな」

「ご飯は残すなと、教わっておったのじゃ」

「私もよ」

「そうかよ」


俺たちはご飯屋を後にしていた。

ただ、二人はいつものように食べまくっていた。

同じ味という意見は確かにわかっていた。

すべて中華の味だった。

それも、魔法の粉をかけているものだった。

確かに、食べなれていない人からすれば中毒性があるものなのかもしれない。

だけど、さすがにずっと同じような味というのも飽きがくるというものだ。

ただ、魔法の粉を使えば中華がある程度作れそうなので、今後試してみたいとも思う。

まあ、そのときが来ればになるが…


「今は、これだよな」

「本当に入るの?」

「当たり前だ」

「お兄ちゃん、叶は先に入るよ」

「そ、それなら負けていられないわね」

「アイラ様が入るのなら」

「おお、なんか面白そうじゃな」


俺たちは服を買うためにお店に入っていた。

ただ、アイラが入る前に躊躇するというのも仕方なかった。

まあ、男の俺が率先して女性ものの服売り場へ突撃しようとしているのだ、さすがに引かれて一緒に入るのを躊躇うというのも理解できた。

それでも、叶がさっさと中に入ってしまったので、対抗心を燃やしたアイラが次に入り、その後に続くようにしてシバルが、後はなんだかんだと最後に俺とヤミが続く感じだ。

ちなみに、お店に入ると、かなり大きな店内だということがすぐにわかる。

人はまばらにいて、数人は男もいるので俺が入ったところで注目を受けることはあまりなかったのはよかったところだ。


「お兄ちゃん、これどう?」

「いいんじゃないのか?」

「ただし、私はこれなんか似合うと思わない?」

「どうなんだろうな?」

「そこは叶みたいに、いいんじゃないかって言ってよね」

「いいんじゃないのか」

「今言っても意味ないでしょ」


なんだよ、難しいな。

俺はそんなことを考えながらも、二人の服装を見ていた。

二人とも共通している点といえば、あまり胸が大きくないというところだろう。

だからといって、しっかり似合っている叶と、胸のところが開きすぎてさすがにダボっとしすぎて似合っていないとは言いにくいというか、言っただけですぐに反論されるので、言ったところでという感じだ。

こういうところで思う、やはり女性の扱いは難しいのだということを…

再度洋服を着替えるために、試着室に入った二人を見送った俺は、服を物色することにする。

さすがは広い店内だ、いろいろなものが置いてある。


「何を見ておるのじゃ?」

「いろいろだな」

「そうなのか?おぬしは自分の服とかは見ないのか?」

「確かに、自分の服を見るっていうのは大事だな」

「そうじゃろ?」

「ああ…でも、俺は女性用の服を見たいんだ」

「さっきの言っていることとさっそく矛盾しておるのじゃ」

「仕方ないだろ。俺だってな、自分にヤミみたいな美少女と同じくらいの需要があれば着飾るからな」

「美少女って…おぬしな」

「いや、見た目はだってそうだろ?」

「見た目はって、わらわは性格も最高に美少女しておるじゃろうが」

「そうなのか?」

「なんで、疑問形なのじゃ」

「仕方ないだろ、俺には理解できないことだからな」

「なんでじゃ、さっきはわらわのことを美少女と言っておったじゃろ」

「それは、見た目の話しだって」


そう、見た目は完璧な美少女なのだ。

ただ、どこか性格が残念なのだ。

この中で、一番まともなのが、シバルだろう。

あれ、そういえばシバルはどこに言ったんだ?

俺は探すために、ヤミのそばを離れ。

そんなヤミも、「わらわは美少女なのじゃ、見返してやるのじゃ」と言っていたので、ここはそっとしておいて大丈夫だろう。

少し店内を歩いていたときに、シバルの声が聞こえる。


「ん、これはうまく着ることが難しいですね」

「シバル、どうかしたのか?」

「た、ただし?」

「ああ、試着室の前にいるぞ」

「そ、そうなのですか?少し気になった服があったのはいいのですが、うまく着れなくて」

「そうなのか?」

「はい、少し待ってください」


中から衣擦れの音が聞こえて、服を着替えているのだろうとわかる。

俺が少し待っていると、服を手に持ったままでシバルが出てきた。

ただ、服装はいつもの鎧をつけたものではなくて、鎧を取ったものだ。

それだけで、押さえつけれている胸が主張をしているし、手に持っている服でさらに俺はなんと言っていいのかわからなくなる。

持っていた服というのは、かなりミニスカートのメイド服だった。


「えっと、シバル…それは…」

「ただし、メイド服ですよ。見たことはあるでしょう?」

「あるけどな。シバルがそれを着る理由がわからなかっただけでな」

「なるほど、そういうことですか」

「ああ」

「それはその…ボクもメイド服を着ることで、ご主人様にいじめてもらえるのではないかと思いまして」

「なるほどな」


なんとなくそんな気はしていたけど、大丈夫なのか?

そもそも、そのご主人様っていうのは誰にする予定なんだ?

疑問が頭の中をぐるぐると回っていたところで、シバルは言う。


「大丈夫です。ただしには、少し叩いてもらうだけですから」

「そんなことを自信満々に言うなよな」


さすがにツッコミを入れなくてはいけない言葉に、俺はため息をつく。

ただ、メイド服の着方というのはしっかりとレクチャーしておいた。

なんで知っているかって?

簡単なことだ。

俺だって、メイド服プレイをしたいと、妄想に妄想を重ねていたからだ。

だから、外すときにスムーズにやるにはどうすれば完璧なのかをしっかりと調べたものだ。

そんなことをしているうちに、時間は立つ。

叶とアイラのファッションショーなるものを見せられて、ついでにヤミはいい女風な恰好をいくつか見せてもらったのだが…

完全にあれだったのだ。

子供が頑張って着ていますっていうのが感じられて、どちらかというと可愛かったのはいうまでもない。

俺もその合間にいくつかの軍師品を買い集め、服屋を後にした。


「異世界を満喫してるって感じがするね、お兄ちゃん」

「そうだな」

「くう、どうして勝てないのよ」

「アイラ様、どうかされましたか?」

「なんでもないわよ」

「うう…わらわはどうしてあんなに恥ずかしいような恰好をしておったのじゃ…」


アイラは主に胸のせいで、ヤミは今更ながらにそれが恥ずかしいことに気づいたのか、二人以外は楽しい時間だったようだ。

このまま、情報を楽しみながら集めて…

俺はそう思っていた。

いや、みんなそう思っていたはずだった。

ただ、それは終わりを告げる。

俺の服が引っ張られる。

誰かのいたずらなのか?

俺は後ろを振り向いた。

そこにいたのは、真顔で立っていた女性。

俺の体はすぐに硬直したのだった。


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