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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと過去

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236話

「魔法って感じだな」

「うん、叶もちょっとびっくりだよ」

「魔法ってなんでもできるんだ」

「いえ、あれは最新のものだと思いますよ、アイラ様」

「翼をもたぬものが考えた技術というところじゃな」


そう俺たちはマゴスの国に張られた結界を避けるようにして歩き、リベルタスにある、マゴスに一番近い町へとやってきたのだが、そこは魔法の国に近いということなのだろう。

俺が見てきた魔法使いの中でもかなり違いがあった。

何が違うのか?

それは簡単だった。

人が魔法で空を飛んでくる。

まあ、魔法が存在しているのであれば、空を飛ぶ人もいるということは、ありえるのではないのかとは思うのだが、最初にそんな感じの人がいなくて、ここにきて急に空を飛んでいるのを見ると、さらに異世界だなと思ってしまうくらいだ。

だからこそ、全員が関心をもって、それを見ている。


「俺にも使えるのか?」

「使えるわけないでしょ、あれは魔法で動いてるんだから」

「わからないだろ、なんかいい感じのものがあるかもしれないからな」

「何よ、いい感じのものって」

「いや、わからないけどな」

「でも、ただし。ここから見る限りでは、確かに魔力を感じますので、アイラ様の言っていることが正しくなりますよ」

「まじかよ」


ヘンタイ眼を使ってないからわからないが、空を飛んでいる人たちは魔力でそれを行っているらしい。

ということはだ。

俺は絶対に無理だということが、この時点で確定してしまったことになる。


「ちなみに、アイラたちはできるのか?」

「そんなの、わからないわよ」

「おお!興味あるのか!」

「うお…って誰だ?」

「うん?なんだ、ワイを知らないのか?ワイはあの空飛ぶ箒を作った、天才だ」


急に現れたのは、自分のことを天才と呼ぶ少年。

いや、何事?

急展開に戸惑う俺に対して、ほかのみんなも同じようで、さすがに動きが止まっている。


「なんだ?バグでも起こしているのか?ワイが天才だと言っているだろう?」


そんな俺たちを見て、少年はそう口にするが。俺はすぐにツッコミをいれた。


「いや、天才なのはどうでもいいんだよ。というか、そんなことで俺たちはびっくりしているわけでも、バグを起こして動いていないわけでもないぞ」

「うん?そうなのか?ワイの言葉がちゃんと聞こえてないのかと思って心配になったぞ」

「心配になるのは勝手だが、俺たちは急に現れたお前にびっくりしてるんだ」

「なんと、そんなことか。ワイはこれを使っただけだぞ」


少年はそういうと、背中に羽織るようにしていたマントを、体にすっぽりと被るように纏う。

それによって、少年の姿が見えなくなった。

いや、これは…


「同化したというか、後ろの景色を透かしてるのか?」

「おお!ワイの天才的な発明を一発で見抜いたのか?」

「天才的って、普通のことじゃないのか?」

「ワイの発想は天才ぞ。君の周りの人ならば、ワイの発想がすごいことがわかるはずだぞ」


自慢気に少年は言う。

俺は作ったものはすごいとは思いながらも、魔法がある世界ということは、そういう魔法でしか簡単にできないようなものを発想するというのは普通のことだと思う。

俺なら、女性にモテるようになるものを発明するけどな。

そんなことを考えながらも、アイラたちの方を見ると、驚きの表情をしている。


「どうかしたのか?」

「えっと、ただしは今のが何かわかるの?」

「なんとなくな。あの箒だって、見る感じだと、魔法で風をうまく使って空を飛んでるって思うしな」

「そうなの?」

「そうだろ。じゃないと、バーバルと同じ見た目のやつらがいるけど、全員が空を飛んでると思うしな」

「そんなに簡単に箒で空は飛べないと思うんだけど」

「まあ普通ならそうだよな。俺が勝手に考える箒で空を飛べるやり方ってなると…箒から風をいろいろな方向からだして、バランスをとって空を飛ぶって感じだよな」

「でも、それなら魔法をずっと発動しないといけなくなるんじゃないの?」

「どうなんだろうな。風の魔力をためるアーティファクトを作れればいけるんじゃないのか?まあ、ここに来るまで見たことないくらいだからな、あるかはわからないが…」

「おお!そこまでわかるとは、この天才に思考が似ているぞ、お前」

「喜んでいいことなのか?」

「当たり前ぞ、ワイの発明はマゴスでも異端にして、天才と言われたのだからな」

「そうか…」

「そうだぞ。ただ、違うところもあるのだぞ。それは、あれにはアーティファクトは使われていないということなのだぞ」

「そうなのか?」

「そうだぞ。ワイが発明したあるものがすべてのものに使われているのだぞ」


そう少年は言うと、あるものを取り出す。

見えたのは小さな箱。

これで何ができるというのだろうか?

ただ、少年は得意気にそれの説明をする。


「これは魔力箱だぞ」

「魔力箱?」

「そうだぞ。ワイが開発したこの魔力箱には魔力をためることができて、魔力をためることで、少ない魔力で魔法を使うことができるようになるという、ワイが考えた最強の代物だぞ」

「なんとなくすごいのはわかったんだが、急に来たことに俺たちは驚いてるんだが…」

「ああ!そんなことに驚いていたのか?」

「当たり前だろ。急に声をかけられたら、さすがに驚くだろ?」

「おー、そういうことなのだな」


なるほど、というばかりに少年はうんうんとうなずく。

いや、言わないとわからないとか、かなり変わった少年なのか?

大袈裟な動作をして納得している少年を見ながらも、アイラが近づいてくる。


「ねえ、あの少年は知り合いなの?」

「普通に他人だぞ」

「そのわりには話があってたみたいだけど」

「普通に話をしていただけだぞ」

「ただしの普通が、私たちの普通じゃないことだけはわかるでしょ?」

「なんとなくはわかるけどな。でも、本当に初めて会ったからな。話が合うのは、完全に俺には前の知識があったからだな」

「そういうものなの?叶は別に話に加わってなかったわよ」

「叶は、俺と違ってかなりの脳筋タイプだからな。ああいう話は合わないってだけだろ」

「そういうものなんだ」

「まあな」


俺たちのそんな話が終わったところで、少年は頷くのをやめて俺たちに笑顔を向ける。


「なんで声をかけたかを聞きたいのか?」

「まあな、どう考えても異質な存在だからな」

「ふ…異常者と天才は紙一重と、ワイは言われてきたからぞ」

「自分でそれを言ってしまってもよかったのか?」

「大丈夫だ。ワイは天才の方なんだぞ」


おお、自分で言っちゃうのか…

俺はそんなことを考えながらも、再度少年の見た目をちゃんと見る。

その見た目は普通というには多少違う。

さっきまでの会話でわかるように、顔と仕草は自信に満ちているようで、まさにふふんという感じだ。

そして、服装はかなり綺麗だ。

それに、高いと思われる服を着ているように見える。

別に俺にはファッションセンスなんてないので、生地がいい感じかなとしか思わない。

結局どうしようかと考えていたときに、また一人近づいてくる人がいた。


「ゲホゲホ、ガハガハ…げふ…」

「お、どうしたんだ?ワイを追いかけてきたのか?」

「ガハガハ、当たりまゲホゲホ…」

「息を切らしすぎじゃないか?」

「ぐ…だったら、勝手にどこかに行かないでくださいゲホゲホ」

「仕方ないだろ、ワイは自分自身が作ったものがどうなっているのかを確認したかったんだからな」

「だからって、普通に声をかけていただければよかったんじゃないですか?」

「そしたら、お前たちが勝手についてくるのだろ?」

「そうですが、それが普通ですから」

「ワイはそういうのが苦手なんだぞ」

「わかってはいますが…」


現れたのは、魔法使いという恰好をしながらも息を完全にきらせた女性だ。

空に飛んでいる箒を使うことができていなかったことを考えるに風魔法が使えるってわけじゃなさそうだ。


「戻りますよ」


迎えにきた女性は、少年を連れて帰ろうとするが、少年は自信満々に言う。


「いいぞ。ワイも帰ってもな。こやつらも一緒ならにはなるけどぞ」

「ええーーーーー」


驚く女性と、なんとなく予想はできた俺は、少しラッキーだと思いながらもこの後どうなるのかを考えるのだった。


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