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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと異世界のこと

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228話

「まずは、悪魔をなんとかしないとな」

「でも、わたしの目はもう使えませんよ」

「わかってる。逆に、エメは何が使えるんだ?」

「わたしですか?」

「ああ、今更ながらに、使えるのはその精霊の目ってやつと、予言魔法しか聞いてないからな!」


俺は悪魔の拳を受け止めながら、エメに聞く。

イルはイルで、分身を使いながら、イワウを止めている。

このタイミングで自由になっているのは、エメなので、何ができるのかを教えてもらわないことには、この状況を変えることは難しいだろう。


「えっと、えっと…」

「何かできないのか?」

「いえ、その…」


チラッと視線をエメに移したが、そのタイミングでエメから目をそらされる。

まじかよ…

このパターンは何もできないということだろう。

確かに、予言魔法というものが一人で使えて、さらには精霊の目っていう特別なものも持っている。

それに、もともと殺されるというエメを助け出しているから、あまり目立つことはできない。

だから、ほかの魔法なんかや戦う術というのを学んでこなかったというところだろう。

どこか、ミライと似たポンコツ具合だな…

俺は、そんなことを考えながらも、どうするべきなのか頭を巡らせる。

何をやればいい?

カイセイ流を組み合わせて、新しい技にするというのは、さっき思い出してなんとかできた。

あれを使えば少しは戦況がよくなるのかもしれない。

でも、それは一時的なものだ。

俺が何をするのかがわかってしまえば、意味がなくなってしまう。

それに…

耐えている右手に力を込める。

なんとかはなっているが、長く戦うとこの右手もかなり痛めることになるだろう。

それだけは避けたい。

理由?

そんなの決まっている。

俺の右手が女性をちゃんと触る前に使えなくなってしまうなんて悲しいことになることだけは避けないといけないからだ。


【変なことを考えている暇があるなら、ちゃんとしなさいよね】

「しょうがないだろ」


こんな状況になったなら、男なら…

いや、ヘンタイなら、誰でも考えることだと思う。

そのことをスターはわかっていない。

ただ、俺の切実な願いが届いたのか、ため息をつかれる。


【はあ…仕方ないわね】

「何かをしてくれるのか?」

【このままってわけにもいかないものね】


この流れは、何かアイテムがもらえるな?

そのことに確信した俺は悪魔を力の限り殴る。

そして、お互いに距離が離れる。

よし、こい!

俺はかっこよく左手を前に出して、手のひらを上に向けた。

これで、何が来ても受け止められる。

そして、どこからかパンツが現れた。

うん、今回も白色だな…

そんな関係ないことを考えながら俺は振ってきたパンツを受け取るはずだった。


「は?」

【え?】


パンツは受け取る前に、木端微塵になった。

何かしたのだろうとは思うのだろうけど、俺の目のまえにあるのは粉々になってしまったパンツだ。

マジかよ…

俺に必要なものだったというのに…

ああ、俺のパンツ…



「え?ただしさん?」

「パンツ、パンツが…」


ただしは、どこかに手を伸ばしている。

それをチャンスと思ったラクは悪魔を使ってただしにとどめを刺そうとする。


「なんですか、楽しみは終わりですか…いきなさい!」


その言葉とともに悪魔はただしに向かっていく。

勢いよく向かっていき、拳を振るう。


「ただしさん!」


慌ててエメがただしのことを呼ぶが言葉が届いていないのか、何も反応がない。

ここにいる全員が、ただしがこのままやられると思っただろう。

ただ、結果は向かっていった悪魔が吹き飛んだのだった。


「え?」

「何?今楽しいことが…え?」

「強くなったっていうのか?それは、うれしいね」


急に吹き飛んだ悪魔。

といっても、やったのはただし以外にあり得ないことだ。

急に強くなった存在に、イワウは嬉しそうな声をあげて、ただしに向かっていく。

そして、剣を振るったがそれはただしがはめているナックルによって簡単に防がれる。


「どういうことかわからないけど、うれしい。こんな存在がいるなんて」

「…」

「これで、我の本気も出せる!」


その言葉とともに、イワウはただしから距離をとる。


「わたし以外にこれだけの魔力があるなんて」

「我らは選ばれているからね。これが使える相手に出会えることはうれしいことだからね!」


その言葉とともに、魔力で強化されたであろうイワウは、自分のもつスキルなのだろう。

それを組み合わせることで加速する。


「神速斬り」


エメには何も見えない。

それほどまでのスピードの斬撃だった。

ただ、ただしはそれを振り下ろす腕を持つことで防いでいた。


「うれしい、うれしい。避けるんじゃなくて、とめる!そんなことができるなんて!」

「…」


そんな言葉をイワウが言うが、あきらかにただしがおかしい。

異変はすぐに起こる。


「ぐ…そんな力が、どこから」


その言葉の通り、イワウの掴まれた腕がただしによってひねられていく。

まずい、エメはそう感じて走りだして腕をつかむ。


「く…」

「おい、我の邪魔をするんじゃない。そんなうれしくないこと」

「だって、このままだと…」


エメは予言を視ていた。

その予言では、ここにいるただしが二人をボコボコにするところが視えた。

でも、それはダメ。

だって、ただしは女性に暴力をふるうのは絶対ダメだから…

エメはそう思って必死に止めようとしたとき、ただしの体から何かが落ちる。

見た目は石。

でも、その石から声が聞こえる。


【ただし!】


切羽詰まった声に、エメは決心したのだった。

あれをやろうと…

そして、エメはあることをした。


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