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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと異世界のこと

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220話

「ここに呼んだのは、お前なんだから、そういうことを言うなよ」

「ふん、思ったことを言っただけでしょ?あたいは悪くないからね」

「く、だったら俺をここから出してくれ!」

「別にあんただったらここから出れるよ。あたいの助けがなくてもね」


俺はエルにそういわれるが、何をどうしていいのかなんてことがわかるはずがない。

もしかして、俺がヘンタイスキルを使えばどうにかなると思っているのだろうか?

俺は捕まったせいで何も入っていないポケットをあさるが、当然のことながら、そこには何も入っていない。

そんな俺を見て、彼女は笑う。


「ふふ、入っていないんでしょ?」

「なぜわかる?」

「雰囲気といいますか、空気感でわかります」

「まじかよ」


童貞だから、察しやすいとか、そんな感じのことなのだろうか?

そんなことを思いながらも、俺は目のまえの彼女を再度しっかりと見る。

目は何か糸のようなもので閉じられ、そのせいなのかはわからないけれど、そのせいであまり歩くことがないからか、先ほど目がいったその双丘がしっかりとあり、体系もこれまでと少し違い、少しだけふっくらとしている。

といっても、アイラたちのように鍛えているという感じではないので、どちらかといえばミライのタイプだ。

あとは身長の高さにも驚く。

俺よりもあきらかに高い身長が高いせいか、余計に封印されているのであろう目に視線がいく。

そんなどこか不思議な魅力を感じる彼女を見て、俺は警戒する。


「もしかして、経験者なのか?」

「えっと、何がなのでしょうか?」

「いや、なんでもない」

【なんでもないってことないでしょ?】

「(どうしてお前が反応したんだよ)」

【だって、毎回おかしなことを言い出すただしが悪いと思うけど】


そういわれたら何も言えなくなる。

童貞なんだから、目の前の綺麗な女性のことが気になっても仕方ないと思うのだが、違うのだろうか?

そんなことを思いながらも、俺はここに呼ばれた理由を聞くことにした。


「それで?ここに俺が連れてこられた理由ってなんなんだ?」

「はい、そうですね。急に連れてきてしまったのに、言っていないのはまずいですよね」

「いや、別になんとなくはわかるが…」

「そうなんですか?」

「ああ、どうせ、予言がどうとかって話だろ?」

「はい、そうです。予言を壊してほしいのです」

「おっけいおっけい。だったらまずは、例のものをもらおうか!」


俺のその言葉に、彼女はさっきのように何かを察するとにこやかに笑う。


「その前にですね。まずはこの目を見てもらっていいでしょうか?」


その言葉で、彼女は目に手をかざす。

そして、気づけば目を閉じるためにあった糸がなくなる。

すぐに目を開けた。

俺はなんとなく目を閉じた。


「あ、あの…目を見てほしんですが…」

「見ても大丈夫なのか?」

「えっと、はい…見てもらわないと、予言についての説明もなかなか難しいですから」


そういわれて、俺はおそるおそる目を開ける。

そこで見たのは綺麗な目だった。

普通の目とは違うということだけは俺にはわかる。

どこか虹色に見えるその目は一言でいえば…


「綺麗だな」

「予想通りだな」

「何がだよ」

「ふふーん、あんたがエメの目を見たときになんていうのかっていう予想が当たってたってことだよ」

「ああ、そういうことか…」


その言葉を聞いて納得する。

でも、虹色になっている目とはどういう原理なんだろうか?


【それは、精霊の目よ】

「(精霊の目?)」

【そうよ。精霊という名前で呼ばれている目。結局は魔力の目】

「(魔力の目?)」

【うん、魔力が普通より、数倍以上も多い。簡単に言えば特異体質の人にのみ現れるものになるわね】

「(へえ、それはすごいものなのか?)」

【すごいってものじゃないわよ。十年に一人現れるかどうかになるわね】

「(まじかよ。それはかなりすごいものだな。それにどんな能力があるんだ?)」

【そうね。魔力が低い相手のことを魔力を使って、言うことを聞かせられるものになるわね】

「(まじかよ。それじゃ、魔力がある人たちはあの目を見るだけで、言うことを聞かせられるのか?)」

【そういうことになるわね…】

「(それはなんというか…)」

【何よ】

「(うらやましい能力だな)」

【え?】

「(だってわかるだろ、言うことを聞かせられるってことはいろんなことをできるんだぞ!)」

【はあ…あなたに魔力がなくてよかったわね】

「(なんでだよ。今ほど魔力がないことを残念に思うとは思わなかった)」

【もう、一生残念に思ってなさいよ】


スターにそう言われるが、残念に思うことで何が悪いのことなのかと思う。

いや、少し待て…

俺はここで思いつく。

もしかして、これはいいことができるんじゃないのか?

俺はしっかりと彼女の目を見る。


「よし!」

「えっと…」


彼女は見つめられたことによって、少しびっくりして目をそらそうとする。

でも、俺はそらした方向に向けて目を合わせる。


「あの…」

「どうした?」

「何をしてるのでしょうか?」

「いや、このまま見ていると、操られるのかと思って」

「それは…」


戸惑っている彼女に俺は疑問に思っていると、エルに頭を殴られた。


「いてえな」

「痛いなじゃ、ないんだよ」

「どうしてだよ?」

「わからないのか?あんたには意味がないんだよ」

「まじかよ。それって、俺に魔力がないからか?」

「そうだよ。魔力がないから、そもそもエメの目に影響されることがないんだよ」

「そんな、バカな…」


俺は、その言葉とともに膝を地面につく。

だって、俺の予想では綺麗な女性に操られる男ということで、よくあるちょっといい関係になれることを期待していたのだからだ。

だというのに、それができないとなると、やっぱり魔力がないせいだ。

くそ…

こんなご褒美のようなイベントですら、俺には権利としてないのかよ。

がっくりしている俺に、女性が声をかける。


「では、そろそろ予言についての説明をしましょうか」

「ちょっと待ってくれ」

「えっと、なんでしょうか?」

「それは今聞かないといけないことなのか?」

「えっと、できればですけど…」

「あんた、聞くのは当たり前だろ?」

「そうなのか?」

「当たり前だろ。聞かないと、予言と違うことをできないだろ?」

「そこなんだよな」

「なんだ?」

「予言なんか知らなかったら、そもそも違うことができるんじゃないのか?」

「た、確かに一理あるな」

「そうだろ!」


前回の、未来を変えるときは、変えることを意識しすぎていたからな。

それにだ…


「すでに予言と違うんじゃないのか?」

「それは…」

「やっぱりな」


俺はなんとなく納得した。

バーバルがあのとき連れていかれたときから、違和感はあった。

普通だったら、あのときにバーバルを連れていかれないように、みんなで阻止するというのが、定番だ。

だというのに、俺の場所に来たのはアイラだけで、ほかのみんなもどこかしらにはエルのゲートで連れていかれたのだろうけど、会うことはなかった。

ということは、普通とは違う動きをしていたと考えるのが妥当だ。

だから、ここからは俺の自由にする。

俺はもう片方のポケットから、レックスのときに使った仮面を取り出すと顔につけた。

急な行動に、エルたち二人は怪訝な顔を向ける。

だが、俺の行動は決まっていた。


「きゃあ…」

「おい、何をしてるんだ?」

「いや、普通に抱きかかえただけだが」

「どうしてそうなる?」

「いや、普通に自由にしていいかなって思ってな」

「そうなると、どうしてエメを抱きかかえる必要があるんだよ!」

「まあそう怒るなよ!」


俺はすっと距離を詰めると、さらにエルを抱きかかえる。


「おい、てめえ…何をやってるんだ!」

「いや、エルが言ったんだろ、なんで抱きかかえたんだって」

「言ったけど、それがどうしてあたいも抱きかかえることになるんだよ」

「一緒がいいのかなって思ってな」

「違う!そもそもあたいをおろせ、エメもおろせ!」


そう言って、エルは体を暴れさせるが、俺はしっかりと持っているのでなんともない。

仮面をつけたことと、視界の端に揺れる双丘を見たおかげだろう…

しっかりとヘンタイスキルが発動している俺は、そのまま走りだす。

仮面のおかげで視えたヘンタイ眼のおかげで道筋は見えているのだから!


「よし」

「よしじゃねえから!」

「え、えええええ」

「ふははははは!」


調子にのった俺の声と二人の絶叫が響きわたりながらも俺たちはこの場を走り去った。


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