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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと異世界のこと

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219話

「まずはあんたから倒してあげる!」

「いやいや、俺のスキルわかってるんだったら、仕方ないことくらい、わかるだろ?」

「だからって、もう少し言い方を考えなさいよ!」


俺たちはゴブリンと戦うはずだった。

でも、今アイラは向けるはずの武器をゴブリンではなく俺に向けて追い回している。

理由は簡単だった。

戦うとなった俺はアイラに言ったのだ。

下着をくださいと…

そう、俺が戦うのに必要だからだ。

ただ、アイラはというと…

ゴミを見る目で見てきたのだ。

シバルであれば、それはもう興奮したであろう目で見てきたのだが、普通に恐怖を覚えながらも、俺はもう一度同じことを言ったのだ。

するとアイラは、笑顔になった。

そして、その槍を俺に向けてきたのだ。

逃げる俺、追いかけるアイラ…

ここはエルフの里であり、モンスターたちが攻めてきたということさえも忘れるような勢いだ。


「危ないだろ!」

「大丈夫。ちょっと、ただしの悪いところを浄化するだけだから」

「俺が悪いんじゃない、スキルが悪いんだってことを俺は何度も言っただろ!」

「だったら、別に槍で貫かれるくらい大丈夫でしょ?」

「く、無茶を言いやがる!」


確かに理論的には可能なのかもしれないことだけれど、それをはいそうですか、ではお願いしますとはならない。

く、というか、この状況すらもどういうことなんだ?

俺は今更ながらに、考える。

普通であれば、アイラは助けに来てくれた。

これによってエルフの里を襲ってきたモンスターを俺たちが相手をするはずだった。

だけれど、俺たちが相手をすることもなく走り周り始めたので、モンスターたちはそんな俺たちを無視して里に向かっていく。

一応臨戦態勢は整っていたみたいで、里からは風や水が飛び、モンスターたちに向かって飛んでいっている。

普通だったら、俺たちもここで戦いに参加しているはずだったが、それをしていない…

ということは…


「ここで戦うことが間違っているのか?」

「ただし、ようやく気付いたの?」

「いや、普通に気づくのが遅れるだろ…」

「ふーん、ただしがそういうところですぐにわからないのは珍しいね」

「いや、俺だって間違えることはたくさんあるからな」

「へえ…本当に?」

「いや、実際間違っただろ?」

「まあ、いいけど…」

「ああ…それでこの状況は、結局どうするんだ?」

「え?一発貫かれてくれるならそれで終わりなんだけど」

「え?貫かれるのは決定事項なのか?」

「うん!」


ち…

いい笑顔で言いやがる。

どう考えても、それをやられる理由がないはずなんだがな。

それに、まだ聞けてないことがたくさんあるしな。

俺はアイラと対峙する。

一撃、二撃と槍を振るわれるのを、俺は避ける。

まじで槍で貫く気だな。

ここは会話で、なんとか矛先を変えないとな。


「それで?結局、予言っていうのは全部聞いたのか?」

「もちろん」

「それで、その予言通りに今はいっているのか?」

「全然かな」

「え?それは大丈夫なのか?」

「大丈夫。私たちの依頼主がそうしろって言ってたからね」

「依頼主だと?」

「そうだよ」

「ちなみに、こうやって俺にそいつを刺すことは予言に入っていたのか?」

「入ってないよ」

「入ってないなら、やる必要ないんじゃないのか?」

「大丈夫。これは、私が一度やりたかったことだからね」

「そんな無茶苦茶な!」


予言にないことならやらなくて大丈夫だと思うんだけどな。

こうなったらやることは決まったな。


「ここは逃げる!」

「あ!こら!」


俺は再度逃げた。

逃げる場所は、特に決まっていない。

こういうときに頼りになるやつに連絡するか。


「おい、ここからどうしたらいい?」

【あたしに急に言わないでよ】

「仕方ないだろ。いろいろ状況がいつもと違うんだからな」

【だったら、余計にあなたがなんとかしなさいよね】

「それが無理だからこうやって逃げてるんだけどな」

【だったらいいことを教えるけど、そろそろワープに巻き込まれるわよ】

「いや、それは先に言ってくれ!」


そして、そのまま俺は見たことがあるゲートに巻き込まれた。


「うわああああああ…どう…」


勢いよく、ゲートから飛び出た俺はその段差によって転げる。

下が草でおおわれているから、なんとかけがをしなくてすんだが、ここはひとつ文句を言っておかないといけない。


「エル…痛いぞ」

「仕方ないだろ、ここに連れてくるにはタイミングもあるんだからな」

「そういうことなら、もう少し優しくだな」

「何を言ってんだ。もっと厳しくしたってあんたには一緒だろ?」

「いや、優しくって言ってるのに、どうして厳しくする方向に話がいってるんだよ」

「まあ、あんたのことだからなこういう扱いでもいいだろ?」

「いや、俺はシバルじゃないからな」


そんなことを言いながら、俺はそこにいるもう一人の女性に目を向ける。

目は何かで縫われてしまっている女性。

ただ…


「マジかよ…」

「おい、あんた…どこ見てるんだよ」

「仕方ないだろ!」


そう、かなり大きな双丘に目を奪われたのだ。

見えない少女は不思議蒼に首をかしげていたが、エルは頭を抱えて言う。


「やっぱり連れてくるんじゃなかったのかもな」


その言葉が、この空間に響いた。


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