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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと異世界のこと

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218話

「うんうん、最高傑作は伊達じゃないね」

「わたくしは別に…」

「何を言ってるのよ。せっかく久しぶりに会えたのに、それが作り手に言うことなの?」

「…」


違和感を覚えていて、何かがおかしいと思っていたけど、こういうことだったのか…

バーバルの隣に立つ女性は、楽しそうにバーバルに話かけている。

その姿から、知り合いということはわかったけれど、今の話しぶりを考えると…

バーバルの違和感というのが何なのかがわかった気がする。


「ごめんね、ただし」

「いや、違和感が分かって、むしろよかったよ」

「ふふ、やっぱりわかるの?」

「まあ、それでも前もって完璧にわからないのは、俺が女性に疎いからだな」

「ふふ、そうかもしれないわね」


俺とバーバルは、そう会話をする。

それを女性は不思議そうに見ていた。


「へえ、人形のお前にも仲間というものができたのか?」

「それは…」

「まあいいよ、どうせ。作り手からは逃げられないんだから」


その言葉に、バーバルは何も言わない。

バーバルは女性の近くから離れない。

いや、離れられないという感じかな。

人形か…

見た目からは想像ができないな。

豊満な体といい、今まで少し触った感触といい、そして感情といい、完全に人だと思っていたから人形と言われてもあまり納得はできていなかった。

そんな俺に対して、バーバルのことを人形だといった女は笑う。


「ふは!まあ、最高傑作だからね。普通の人の感覚だと気づかないのは当たり前。そういう風に作ったんだから」

「そうなのか…」

「どう?身近にいたやつが人形だということに気づいた感想は!」

「いや、別に…何も…」


むしろ異世界だなって改めて認識したくらいだ。

魔力が、魔法があるから、そんなことができるのだろうけれど…

それにだ。

バーバルがおかしいということは、実は結構前から気づいていた。

それは魔法の属性だ。

基本的に、魔力がない俺なんかと違い、普通の人は魔法の属性なんかや種類が決まっているらしい。

らしいというのは、俺にその魔法が全く使えないからだ。

だから、詳しいことはわからないのだけれど、全属性が使えるということはかなり珍しいことだということだけはわかっていた。

まあ、そこに人形で、実はほかにご主人様がいました!

なんてことを言われたとしても、俺としてはふーん、ほーんで終わりだ。

だって、それを言ってしまえば、俺だってご主人様と言っていい存在では全くないが、神様が後ろにいるわけだからな。

だから、むしろだ。

俺は言いたいことがあった。


「なあ、聞きたいことがあるんだが…」

「なに?今からやらないといけないことがあるんだけどな」

「いや、最高傑作っていうんだから、体系とかもすべてこだわったのかなって思ってな」

「ふは!そんなこと…」


そう、気になったことがあった。

目の前にいる女は、バーバルのようにいい体系というわけではなかった。

眼鏡をかけ、髪の毛は肩の高さまで、乱雑に切られている。

そして、目の下にはクマができていて、体系も、見た目が少し不摂生だからだろうか、それも影響して、バーバルと比べると、かなり貧弱と言ってはいいものかはわからないけれど、そう思ってしまう。

俺が少し比較するように二人を見ていたからだろう、女は地団駄を踏み始めた。


「くう、そういう目を向けるなよ。こっちだってわかってるんだよ」

「いや、理想があるのはいいことだぞ」

「そういう顔で見るんじゃない!」

「普通の顔なんだが…」

「そうやって、男はすぐに女を外見で比べる。だから、最高傑作を作ったというのに!」

「そんなことを俺に言われてもな…」

「うるさい、こっちと違って見た目が普通なんだから、ちゃんとしてればなんとかなるでしょ!」

「く、そんなうまくいってたら、俺だってな俺だってな…」


童貞を卒業できたというのに…

そうなんだ。

異世界に来ても、できてないんだぞ。

確かに、俺は異世界に来て、多少モテるようになったのかもしれない。

だけど、そこまでだ。

それ以上がないことを考えると、完全に生殺しなんだよ。

くう…

俺はその場に膝をついた。

そのタイミングでだ、アイラがやってきた。


「な、何をしているの?」

「傷口をえぐられてな…」

「え?大丈夫?我の周りを聖なる光にて癒しを与え給え、ホーリヒール」

「はあ、あったかい…って違う。えぐられたのは心の傷だ」

「え?そうなの?」


アイラはぽかんとした表情でそういう。

く、わかっていたことだけれど、ケッペキスキルということもあって汚れた部分を全く知らないアイラは、どこか純粋だ。

そんな俺たちのコントのようなやり取りを見て、女は怒りだす。


「なになに!そんな、仲良さそうなやり取りを見せて…」

「いや、これは…」

「うるさい、うるさい…少しは仲間だと思っていたのに、やっぱりリア充は信用できない!」


その言葉とともに、女はすっと手を前にだす。

何をするつもりなんだろうか?

俺は疑問になりながらも、それを見ていたが、すぐにその疑問の意味を理解する。

女の後ろから、一人の女性が姿を現す。

その女性はどこか、バーバルに似ていて…

そこまで考えたところで、すぐに笛の音が響く。


「ギャギャ」

「ふは、モンスターの相手でもしてな」


その言葉とともに、ゴブリンたちが現れる。

女たちは、モンスターの方へ歩いていく。

それはバーバルも例外ではなかった。


「ごめんね、ただし、アイラ」


そんな言葉を残しながら去っていく彼女を追いかけることはできず、俺たちはゴブリンと対峙する。

アイラはホーリジャベリン出しながら言う。


「謝るくらいなら、どこかに行かないでよね」

「ああ、本当にな」

「ただしと一緒に戦うことになるなんてね」

「まあ、なんだ…そういうこともある」


そして、俺たちはゴブリンと戦うことになったのだ。


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