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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと異世界のこと

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215話

「それで、結局やってほしいことはなんだったの?」

「そうですね。簡単にいえば、わたしの…わたしたちの予言を変えてほしいのです」

「えっと、ごめん…どういうことか全くわからないんだけど」


予言を変えてほしい。

どこか、ミライがただしに言っていたとされる内容と被ることだったけれど、ここにはただしはいない。

ということは、予言というものがどういうものなのかを聞かないといけないっていう状況だ。


「えっと、それは私たちが聞いてなんとかできるものなの?」

「どういうことでしょうか?」

「だって、予言が今のところは全部当てはまってるってことでいいんだよね?」

「はい、そうなりますね」

「だったら、私たちが聞くことも予言の中に入っているっていうの?」

「そうですね。わたしの予言ではそうなっています」

「待って、あなたの予言っていうのは?」

「はい、名前の通り、わたし一人で行った予言魔法によるものです」

「ちょっと待って、予言魔法って…」

「はい、バーバルの話しでは、エルフでもたくさんの魔力が必要だと言っていましたね」

「それを、あなたは一人でできるっていうの?」

「はい。わたしの目は先ほど見てもらったときにわかったと思いますが、かなり異質なものです。そして、あの目は簡単にいえば魔力の塊なのです」

「どういうこと?」

「そうですね。服従の目なんてカッコいい名前にしましたが、簡単にいえば、わたしの目を見れば、相手の魔力を反応させていうことをきかせることができるのです」

「そうなんだ…」


かなりすごい能力。

私たちは確かにそう思ったけれど、その能力をどこかで知っていることもわかっていた。

それは、セコの使っていたソウゾウスキルでできたもので、今はパンツを被せることで、それを制御しているといえばいいのか、そういうものだった。

ただ、セコのように相手に身につけさせたり、相手の考えによって思い込ませるというものと違い、あれは見るだけで魔力がある人がしたがってしまうようになると考えると、どちらがより強力なのかわかってしまう。

でも、そういう存在が近くにいたことで、どういうものなのかが想像できるのはよかった。

でも、そこで気になるところがあった。


「ねえ、その目で予言を防ぐことはできなかったの?」

「それは…」

「できるわけないだろ、予言ではエメはもう生きてないことになってるからな」

「どういうこと?」

「生まれたと同時に殺される存在だったのよ」

「もしかして…」

「そうよ。こんな特徴的な目を持った赤子が生まれたら、すぐわかるでしょ?」


そういわれて納得する。

確かに、光り輝く目を持った赤子が生まれたら殺せ、そんな予言は私が読んだことがある本でも、よく目にする言葉だった。

でも、それならどうしてここにいるのだろうか?

そう思っているときに、声がする。


「いや、それは僕が助けましてね」


その言葉で、声がした方を見るが、誰かわからない。

それに、声が聞こえるまで全く気配というものがしなかったことを考えても、かなり新手だと思う。

私たちが構えをとるのとは違い、エルはその存在に怒った。


「ちょっと、遅い」

「いや、ここまで僕の分身をうまく使って最速できたんだけどな」

「そうなんだ」

「はいはい。ですのでね、少しおじさんも話させてもらってもいいかな?」

「別に、あたいとエメ以外はあんたの存在を知りたいと思うから、いいんじゃないかしら」

「では、少し簡単な自己紹介をさせてもらいましょうか。僕はイル。そちらの騎士のお嬢さんとはあったことがありますよね」

「はい、あのときただしを殴った…」

「ひょええええ…危ない」

「うん?避けないでいいのに、お兄ちゃんを殴ったんだから、死ぬ覚悟ができてるってことだよね?」

「さすがにそこまではないといいますか、ですが、あれにはしっかりと理由があったんですよ」

「本当に?」

「はい…と、いいますか、急に攻撃されたせいで僕のスキルが完全にばれてしまいましたね」


そう、シバルがただしを殴った発言をした瞬間には叶がスキルでイルと呼ぶ男がいた場所を斬りつけていた。

普通では避けられないような攻撃ではあったが、イルはスキルを行使したのだろう、その場で二人に増えるとお互いに突き飛ばしあってなんとかかわしていた。

そこでわかるのは…


「はい、僕のスキルは分身。こう見えても、十人には分身できますからね」

「まあ、そのおかげで諜報にはもってこいだよな」

「そうですね。重宝はされていますね」

「ならいいじゃない」


そうエルは言いながら、イルの肩をバンバンと叩いている。

でも、だからといって疑問がとけたわけじゃない。


「えっと、ごめん。結局はどうやってエメを救ったの?」

「ええ、それは僕が潜入してなんとかしましたよ」

「潜入?そんなことが簡単にできるの?」

「はい、僕はそれができるのです、こうやってね…」


その言葉とともに、気配を感じ取りにくくなる。

そこにいるはずなのに、わからない。

これには驚いた。


「やっぱり、その能力はさすがだな」


これには、仲間であるエルも関心しているみたいだ。

イルは、解除したかのように、再度その場所に現れるとお辞儀をする。


「どうですか?僕のこの能力は?」

「かなりすごいのはわかりました。でも、それだけだと、このエルフの里に入れる理由がわかりませんよね?」


確かにすごかったのはすごい。

でも、それだけでは、ヘンタイ的なすごさを見てきている私たちとすれば物足りないというべきか、その程度なのかと少し考えてしまうくらいには、ただしで有り得ないことにも慣れてしまっていた。


「ふむ、やはり、この程度のことでは全く動じませんか…では、その疑問に答えさせていただきますと、それは簡単なことです。ここにいるエルさんに連れて行ってもらっただけです」

「えっと、どういうこと?」

「あー…あたいのことを見て、あんたたちは何も思わなかったか?」

「それは、普通のエルフと肌の色が違うということですか?」

「わかってるじゃない。だったら、なんとなくあたいがどうなったかわかるんじゃない?」


そうエルは言うが、私にはその答えがピンとはこなかった。

でも、シバルは違うようで、ハッと気づいたように言う。


「追放ですか…」

「そう、正解!あたいはそれをくらったってこと。そのときに予言として知っていた存在だったエメのことを救うために、あたいのスキルでそんな人を探していたの、そこで出会ったのがあの仮面の女性である、ラグナロクの党首だったってこと」

「そういうことだったんだね」

「まあね。だから、追放されたとはいえ、里に入ることはあたいのスキルでできてたからね。それで、この男にエメを救い出してもらったってわけ」

「なるほど」


私は、いい話だなとうんうんとうなずいた。

感動していた私に対して、ヤミがツッコミをいれる。


「待つのじゃ。結局は何をしてほしいのかわからないのじゃし、そもそもここはどこなのじゃ!わからないことばかりで放置はよくないのじゃ!」

「そうだね。結局はちゃんと言ってなかったね。何をやってほしいのかは、さっきのように予言を変えてほしい。そう、これから起こるであろう、モンスターの大群がエルフの里をせめてくるということを…まあ、あとは、この場所についてね。この場所はエルフの里にある一番大きな木の下にある空洞ね」


エルが簡単に答えた内容だったが、これから起こるであろう騒動を考えて、私はぐっと拳を握りしめた。

聞いたらやらないといけない、でもこのままだと結局ただしとバーバルに会うということもできないのかもしれない。

だから、口にする。


「まずは、予言の内容を聞かないとわからないわね」

「そうだな。それはあたいじゃなくて、エメから言ってもらわないとね」

「はい、説明させていただきます」


そして、私たちはその話を聞くことになったのだった。

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