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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと剣術大会

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198話

俺はそのままの勢いで、ある場所に向かっていく。

それは、モンスターが多くいる場所だ。

どうしてそこに向かうのか?

簡単なことだった、このモンスターを作り出している人物がいることがわかっていたからだ。


「ちっ、邪魔だ!」


といっても、モンスターの数が多くてすぐにはたどり着くことはできない。

どうやってもこのままじゃダメか…

そう思っていたときだった。


「わらわの爪をくらうのじゃ!ドラゴンネイル」


その言葉とともに、俺の横には見知った幼女がやってくる。

どこからやってきたのかという問いには、たぶん空からなのだろうということだけはわかったが、今のは…

疑問に思っていると、ヤミは自慢気にいう。


「どうじゃ、すごいじゃろ?わらわのドラゴンネイルは!」

「すごいことは、すごいと思うが、そんなに魔力を使っても大丈夫なのか?」

「ふふふ、当たり前じゃ。こう見えても、わらわは日々成長しておるからの」

「そうか…」


この時の俺は、セイクリッドで例の黒い塊を飲んでいるとは思わず魔力がなくならない程度に戦ってくれよとしか思わなかった。

いや、待て…

俺はすぐにあることを思いだし、握りしめていた拳を解除した。

そして、ヤミをおだてるようにしていう。


「じゃあ、強くなったヤミを見せてもらおうかな」

「そうかそうか、おぬしもわらわの強くなったところを見たいっていうことじゃな。任せるのじゃ!」


そう言葉にすると、再度手に魔力を宿す。

すぐに見た目がドラゴンのものになった。


「ドラゴンネイル!」


ヤミが手を振り下ろすと、魔力を帯びた爪による斬撃がゴブリンたちを屠っていく。

さすがに単純といえばいいのか、簡単にいきすぎているような気もするが、これもヤミの魔力をなくすため、そしてソウゾウスキルを使うあいつのところへ行くためだ。

俺は嬉々としてヤミがドラゴンネイルをするのを後ろからゆっくりとついていくという流れになった。

うんうん、これがモンスターのモーゼってやつなのだろうか?

そんな関係のないことを考えながらも、俺はヤミの後ろをついていく。

そうして、簡単に俺たちは宗次のもとへとたどり着くことができた。


「よ、また会ったな」

「く、作るのにも、それなりの苦労があるっていうのに、こんなに簡単にこの場へとくるなんて、僕も予想してなかったよ」

「本当かよ」

「本当だ。僕はすべてのことを自分の思い通りにしてきたんだ。今回も同じというだけだ」

「そう、うまくいくかな?」

「うるさい。僕の何がわかるというんだ」


わかるさ…

あったことがあるんだからだ。

まあ、俺のことは宗次からすれば、他大勢の中の一人というだけで、意識していないのだろう。

それに見た目も、生きていたときと変わっているのだから、気づかないというのも理解できる。

だけど、お前がうまくいっていなかったことというのは、知っていた。

だって、それなりのニュースになっていたからな…

どう考えても、それがあったから勇者として、この世界に来てしまったと考えるのが妥当だ。

いや、今はそんなことを考えても仕方ないな。

俺がやることは決まっている。


「ここに来た理由はわかるだろ?」

「はあ、わかってるよ。僕を倒しに来たんだろ?」

「そうだが」

「でも、いいのか?僕は勇者。そんな僕を倒すということは、勇者としての存在をだれも信用しなくなるんじゃないのか?」

「確かにな…」


言われていることはわかっている。

この世界に召喚される七人の勇者は魔王を倒すために召喚されたものだからだ。

それにしては魔王がどこにいるのかもわからないので、そんなことを言われても仕方ないだろと思ってしまう。

それにだ…


「このタイミングで悪いことをしているのは、魔王じゃなくてお前だしな」

「仕方ないだろ、僕の思い通りにするのには必要なことなんだからな」

「へえ、だからって救うはずの人たちにこんなことをしていいんだな」


俺がそういうと、宗次は笑いだす。


「ははは!」

「何かおかしいことを言ったか?」

「当たり前だろ。この世界の人のことなど、僕が知ったことじゃないからな。どうせ、この世界に来たのも勇者として魔王を倒し、それで僕が叶えるはずだった夢をするため、それだけだからな」

「そうなのかよ、モンスターを召喚することで何ができるのかは知らないがな」

「わからないのか?なんだ、あんたのことをあの男は気にしていたというのにな」


その言葉に、俺は少しカチンとくる。

面倒くさいやつに目をつけられてこちとら迷惑しているっていうのもわからないらしい。


「だったら、言ってやるけどな。そのモンスターを魔王軍とやらに紛れ込ませてやるってだけだろ?」

「なんだ、わかってるのか…」

「当たり前だ。だから俺は、さっさとお前を倒しに来たんだからな」

「できるというのですか?僕を倒すことが」

「まあな、じゃないとここに来てないからな」


そうして、俺たちは戦闘態勢に入ったのだが、この場にもう一人いることを忘れていた。


「なあなあなのじゃ」

「なんだ?」

「わらわも一緒に戦ってもよいのかの?」

「いいけど、まだ魔力は残っているのか?」

「ふふん、こう見えても、わらわは強いからの、余裕なのじゃ」

「ほんとかよ」


俺はそう言いながらも、隣で構えをとるヤミと宗次に向かっていった。

このとき、俺は気づいていなかった。

戻ってきたはずの、自称神の声が俺に聞こえていなかったということに…



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