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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと剣術大会

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194話

「がああああ!」

「ちっ、無茶苦茶な剣筋だな」

「ただし!」

「大丈夫だ」


俺は剣ではじく。

剣技を使っているわけじゃないので、速い攻撃ではあったが俺の剣で防ぐことはできる。

でも、さっきよりも確実に攻撃が重い。

攻撃が速くなるということだけでも重さが増すことはわかっていたけど、こんなに激しいのかよ。


「がああああああ」

「はああああああ」


予想はしていたけど、やっぱり二刀は手数が多い。

ジンバと違って、手数がやばいな。

それに、魔力がなぜか上がっているからか防ぐのも苦労する。

俺は両手に着けたナックルでも二刀を弾く。

剣と拳。

両方を使ってなんとか防げるくらいだ。

そんな俺たちを見て、シバルはどうしたらいのかわからないのか躊躇している。

落ちている剣を拾うということもせずに盾をただ、構えている。

そんなときだった。


「シバル!」


その声が聞こえた。



どうしたらいいというのだろうか?

ボクにはわからない。

でも、何かをしないといけない。

そんなときだった。


「シバル!」


その声は、ボクの耳に確かに聞こえた。

そっちを見ると、声をかけてくれていた、アイラ様がいた。

その目を見たボクは体が硬直するのがわかった。

どうしてそんな顔を…

ボクは強さがわかったはずなのに!


「うわあああああ!」

「シバル!?」


ボクは盾をもって突っ込む。

ただしが驚いているが、ボクは盾を持って突撃した。

急な行動に、兄も言葉にしないが驚いているのがわかる。

そのままの勢いで後ろから、二刀の剣に向かって盾を当てる。

ガキンという音がなって、盾が剣に当たる。


「く…」

「シバル!」

「大丈夫です」


その攻撃の重さに、ボクは戸惑いながらも支えてくれたただしの手を払って立ち上がる。

そう、ボクはここで負けるわけにはいかないのだから…

それをアイラ様の目が思い出させてくれた。

ただ、兄はそんなボクのことなど待ってはくれない。

右手と左手を腰のあたりに引き絞る。

そして、勢いよく突進してくる。


「双剣、二の型、ダブルブル」


そのままの勢いで、突きを放ってくる。

突進突き。

ボクは盾を構えるけれど、ドンという音とともにぶつかると、吹き飛ばされる。

でも、そこで兄の攻撃は終わりじゃない。

吹き飛びながらも剣は振り上げられている。

二刀の剣を両手で一つに持つ。


「双剣、四の型、ダブルザン」

「くううううう…」


ボクはなんとか盾を上に向けて、その攻撃を防ぐ。

といっても、完全に押されている。

このままだと…

そう思っていたときに、剣が飛んでくる。

すぐに兄は反応して距離をとる。

剣を投げたのは、わかっている。

ただしだった。

ただしを見ると、ジンバとまた相対していた。

どうやら、馬が戻ってきて、再度騎乗しているところを見ると、ただしがボクを助けてくれる状況じゃなくなってくるだろう。

ううん、ボクがそんな考えでどうする?

ボクが兄と戦わないといけないのに…

痛い全身もドエムスキルでなんとかなっている。

ここで、ボクが兄に勝たないといけないんだから!

そう、強さとは思い。

だから、ボクが兄に勝ちたい。

この思いの強さは、負けない。

だから!


「双剣、二の型、ダブルブル」

「ぐ!」

「がああああああ」

「くはっ…」


一瞬の衝突があり、そしてボクは吹き飛ぶ。

意識を失いそうになるのをなんとか耐えながらも、ボクは地面に転がった。

負けた。

どうして?

叶に言われたことがようやくわかったと思ったのに…

動かない体をなんとか動かそうとするが、立ち上がることはできない。

兄は倒れたボクを見て、すぐにただしの方へ向かおうとする。


「待っく…」


体の痛みで、待ってという言葉すらも言えない。

ただし、ごめんなさい。

ボクがいらないことを言ったばかりに、ただしは二人に蹂躙される。

そう思っていた。

でも、ただしは違った。

顔は仮面のせいでわからないが、その目はギラギラと輝いている。

そして、すべての攻撃をかわしている。

まるで先読みしているみたいに…

その姿に、ボクはまた思う。

ボクなんかいらないということを…

セイクリッドでの出来事で、ボクはアイラ様に何もできなかった。

だから、このレックスでのことはボクがなんとかしないといけない。

そう思ってこの場所にきて、兄をなんとかしたい、そう思っているのに…

ボクは無力だった。

何もできていない。

せっかく、ボクと一緒についてきてくれたただしの隣に立てたと思っていたのに…

強さが何かわかったはずなのに…

何もかもが通用しないボクは何もできない。

だから、目をそらしたときだった。

影がボクに落ちる。

え?

と思ったときには、その衝撃がお尻を襲っていた。


「ペシン」

「うひゃあ」


思わず変な声が出る。

いつの間にか隣に来ていたただしに、お尻を叩かれたのだ。

その行為に、戸惑っているとただしは言う。


「シバル。こんなところで終わりか?」

「それは…」

「本当に終わっていいのか?そんなことになったら、ここで終わりだぞ?」


その言葉にハッとする。

ボクはさっき強さについて、わかったはずだった。

思いの強さが、自分自身の強さになるとわかったはずなのに…

グッと体に力を籠める。

ただしに叩かれたお尻が痛かったけれど、それはどこかここちよかった。

だから、ボクも変わる。


「ただし!」

「なんだ?」

「もう一度気合を入れてください!」

「お、おう…」


どこかただしが、引いたような気もしているが、ボクには今変わるために必要なことだった。

勢いよくお尻を叩かれる。


「うひゃい」

「シバル?」


どこか心配をするように声をかけてくれるただしには、悪いけれど、ボクはやる気満々になった。

お尻の痛みからわかる。

ただしがボクのお尻を押してくれている。

だから、ボクはやれる。

ボクは兄に向き直った。


「ねえ、兄。ボクはわかったよ」

「がああああああ!」

「ふへ!」


ボクは振られた二刀の剣を完全に防ぐ。

それも、これまでとは違う、完全にはじき返した。


「双剣、二の型、ダブルブル」

「ふひ!」


兄からの二刀の技ですらも、ボクは完全に防ぐ。

数分前との違いに、兄は驚きを隠せないようだ。

そんな兄を見据えながら、ボクは言う。


「兄、お兄様…ううん、ツイン!今度こそボク、シバル・セメスキが守るから!」


そして、盾を構えたのだった。


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