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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと剣術大会

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179話

ヘンタイ眼!

俺はいつものようにそれを発動する。

これで魔力を視ることで、何をしているのかがわかるだろう。

見えなかった斬撃を見ることができた。

それでわかった。

一撃だと思っていた斬撃は二発飛んできていた。

俺はそれがわかると、すぐに避ける。

完璧に避けた俺に対して、女性はどこか楽しそうだ。


「ふへへへ、なになに、変な恰好をしてるかと思ったら今のを避けるんだ」

「まあこれくらいはな」

「ふへへへ、なんでしょうね。面白い方ですね」

「それはどうも…」


それにしても、見た目としゃべり方でなんとなくそんな気はしていたが、変わった人だ。

黒髪のロングヘアであり、さらには前髪も長いことで目はかなり隠れてしまっているが、美人だということがわかる見た目でありながらも、あの笑い方で全てを台無しにしてるんじゃないのかと思ってしまうくらいには、少し気味の悪い感じだ。

それも毎回のように何故か不自然なくらい笑っている。

いや、今はそんなことを考えても仕方ないか…

相手の攻撃について考えないとな。

一撃だと思っていた攻撃が二つ飛んできた。

単純に考えると、一つが二つに増える程度のことだと考えるのが普通だ。

でも、そんな単純な攻撃をする相手だと思うだろうか?

わからないな。

初撃でわかったら苦労しないよな。

そう考えていたときだった。


「ふへへへ、どうわかる?」

「いや…というか、俺の考えてることがわかるんだな」

「ふへへへ、まあね。どうやってるんだろうって考えるのはすごくいいことだと思うよ」

「そうか…」

「ふへへへ、そうだよ。そんなあなたに、また攻撃をするね」

「お手柔らかに頼みたいがな」


そんな俺の願いが叶うのかはわからないが、女性は持っていたデスサイズを正面で回転させる。

あれだ、よくある棍棒なんかを体の前で回転させて防御するために使うやつだが、これは見ているだけで違うものだということがわかる。

どこかヤバそうな気がする。

俺のその予感が当たったかのように女性は体を宙に浮かす。

デスサイズは、その刃を牙のようにして、さらには回転することで攻撃力を増しているようだ。

ただ、そんなことをしても、普通であればその場にとどまるだけで何をしているのかわからない攻撃だが…


「風よ、味方には追い風を、敵には向かい風を、ウィンドゾーン。デスサイズ、ペネトレイト」

「まじかよ!」


俺はすぐに魔法の意味を理解する。

普通であれば、その場で回転するだけであっても、その風魔法を使うことでできることはわかっている。

すぐに風が相手から吹いてくる。

それも勢いが強い。

後は間違いなく、デスサイズにも魔力が宿っている。

それがヘンタイ眼でわかる。

それでスキルがなんなのか理解はした。

ただ、すぐにこのスキルがヤバいということに気づく。

迫る女性はそのままの勢いでこちらに向かってくる。

集中だ。

回転突撃。

普通であれば、ミンチになる勢いだ。


「ふう…せい!」


だから俺は勢いよく地面を殴る。

いつものあれだ、地面を殴ることで土を吹き飛ばす。

といっても、風の影響ですぐに土は俺の方に飛んでくる。

一撃であれば…


「オラオラオラオラオラオラ…」


連続で地面を殴る。

傍から見ればおかしい人ではあるが風の勢いを俺の攻撃で吹き飛ばす。

さすがに突っ込む先に土が待ち受けている。

それすらも女性の攻撃で吹き飛ばせそうではあったが、それでも少しはダメージを与えられる。

それを相手もわかっているのだろう。

俺に当たることもなく、攻撃は横にそれる。

そして、タイミングを見て、女性は着地した。


「ふへへへ、いいねえ。今のを防ぐなんてね」

「防いだって感じじゃないけどな」

「確かに、あのまま攻撃はできていたかもしれませんね」

「まあな」

「ふへへへ、それをちゃんとわかっているところ、やっぱり戦うのが楽しいわね」

「それはどうも…そんなでかい鎌を持ったやつにそんなことを言われると、ちょっと考えさせられるけどな」

「ふへへへ、それで?うちのスキルはわかりましたか?」

「ああ、かなり厄介なものだな」

「そうか、わかりますか」

「まあな」

「ふへへへ、それで?うちとまだやるよね」


そう言うと女性は楽しそうにデスサイズを舌で舐める。

こういう相手とやりたいとは正直なところはあまり思わないが、あの感じ逃がしてはくれなさそうだ。

どこか妹を思い出すな…

そんなことを考えながらも、俺は拳を構える。

逃げられないのであれば、戦うしかない。

そう思っていたときだった。

一人の女性が飛んでくる。


「ぐ…」

「シバル!」

「た、ただし…」


飛んできた人には見覚えというか、シバルだ。

すでに誰かと戦ったのか、見るからに疲れている。

その相手を、目の前の女性はわかっているのか声をかける。


「こら、妹のことを簡単に吹き飛ばさないの」

「仕方ないだろ、言うことを聞かないんだからな」

「ふへへへ、そこを言うこと聞かせるようにするのがお兄ちゃんとしての務めじゃないのかしら?」

「ちっ、お前のそういうところはイラっとくるな」

「ふへへへ、仕方ないでしょ。うちはこういう感じなんだから」

「それで、そこのヘンタイはこっちで対処していいのか?」

「ええ?その人の相手は、うちがしようとしていたのに…」

「妹をたぶらかした本人だからな、やるのならこっちでだ」

「ふへへへ、そっか…そういうのなら仕方ないね」


俺はシバルに手をかけて立たせる。


「いけるか?」

「すみません、ただし…」

「気にするな。俺もああいう兄は嫌いだからな」


そして、俺はシバルを後ろに庇うようにして前に立つ。

それを見た、二刀兄はその二刀を構えた。


「なんだ?こっちのことを言える立場なのか?」

「まあ、こう見えてもな、俺も一応妹がいるもんでね」

「その妹は何をしてるんだ?」

「さあな、今はわからないな」

「ふは、そんなことでどうする、妹のことを知らないなんて、兄失格じゃないのか?」

「何を言ってる、そっちこそ、妹の言うことを無理やり聞かせようとしていたくせにな」

「兄としての単なる教育だぞ」

「そう言っておけば何をしても許されるとでも思ってるのか?」

「そういうお前は何もできていないようだけどな」

「そうだな。それは否定しない。だけどな、ここで俺がどちらが兄に相応しいか教えてやるよ」


そうして、俺たちはお互いに駆ける。

二刀の男の剣が、俺がつけていたナックルに当たる。

キンという音がなり、戦闘が始まった。


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