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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと剣術大会

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178話

「何もないな」

「こういうものじゃないんですか?」

「いや、確かにそうだな。平和が一番いいよな」


そう思いながらも、このままでいいのかと思った。

なんとなく、そんな気はしていたが、ここまで何もいないとなると、異世界なのかすらも怪しい。

確かになんとなく気持ちの悪い感じだった、ここまでモンスターがいないのもそうだけれど、最初にあったようなモンスターがいるのではないのかという痕跡すらもない。

これは、本当に優秀なスキルをもった人がいるとしか考えられないな。

どんなスキルなら、こんなことができるのかがわからないけど…

警戒はした方がよさそうだ。


「それにしても、意外に森が広いな」

「ええ、この森があることで、我々の町にある畑に栄養がきていますからね」

「なるほどな。ちなみに、シバルは何か気になるところあるか?」

「いえ、ほとんどありませんね」

「そうだよな。こうやってても効率が悪いし、二手に別れるか?」

「そうですね」

「それじゃ、俺とこいつでシバルは一人でもいけるか?」

「はい、大丈夫ですか?」

「ああ、道が俺だけだとわからないしな」

「そうですね」

「ということだ、行くぞ」

「わかりました」


男と二人だけで行動するというのは正直なところ嫌ではあったが、それでも仕方ないことだと割り切るしかないだろう。

今回ばかりはな。

シバルが行く向きの逆に俺たちは進む。

何かあるのか?

わからないまま進んでいく俺についてくる男。


「何かわかるんですか?」

「いや、適当に進んでるだけだな」

「そういうものなんですか?」

「ああ、俺はこの世界のことほとんど知らないからな」

「そうなのですか?」

「ああ、ちなみに、ここから行けるところで開けた場所ってあるのか?」

「ええっとですね。わからないですね」

「まじかよ…」

「はい、森には極力近寄るなと言われていましたので…」

「それも聖騎士が言っていたのか?」

「はい」

「なるほどな」


結局聖騎士は、モンスターを倒すということも、独り占めしたいらしい。

そこで思い出したのが、冒険者になる条件だ。

確か、モンスターを倒すことで得られる、魔石というものを冒険者ギルドで渡すことによって、冒険者になれたよな。

そりゃ、魔石さえ持っていれば、簡単に冒険者になれるわけだな。

このレックスですらも、モンスターを倒すという行為が聖騎士しかしていないのだから…


「あーくそ、嫌な妄想をしてしまうな」

「何かあったのですか?」

「いや、なんでもない」


俺はその嫌な妄想をかき消すようにして前に進んだ。

その後をついてくる男。

そうして進んでいくと、前に開けた場所に出た。

湖か?

そこに見えたのは、湖だ。

そこだけ、木がないので日がさしていて、どこか神秘的な様子だ。

こういうところでエルフとかいそうだな。

そんなことを考えたが、そんなファンタジー世界のありきたりなことは起きない。

よくある、美少女が水浴びをしていて、なんてことがあるのはファンタジー世界でしか起きないのだ。

あ、ここは俺からすれば、ファンタジー世界か…


「こういうところに、何かありそうだけどな」

「は、はい。初めて来ました」

「そうだよな」


といっても、この湖からは水路といえばいいのだろうか、小さな川が繋がっている。

なんとなく予想はしていたが、ここからこのレックスの畑で使われる水が賄われてるって考えるのが自然か…

特に変わったことが全くないよな…

定期的に何かがされているのか、湖の近くといえば、草が生い茂っていることもあると思うがそんなこともないということはそうなのだろう。

聖騎士が見回りをしてるってことなのか?

うーん、わからん…

そうこうしているうちに時間はたつ。

湖をぐるりと見まわったところで、何もなくてシバルと合流をしないといけないなと思っていたときだった。

あることに

気づく。


「そういえば、落ち合う場所を決めてなかったな」

「ええ?それはまずいんじゃないんですか?」

「そうだな。かなりまずいな」


やってしまった。

といっても、シバルのことだ。

俺のこういうところも考えて行動をしてそうだから、大丈夫な気もする。

迷ったら、戻るに決まっているな。


「とりあえず、森から出て考えるか」

「はい、そうですね」


そうして森を出るために、湖から離れようとしたときだった。

俺は気配をなんとなく感じて、男と一緒に倒れる。


「な、なんですか?」

「ほう、今のを避けますか」


驚く男の声と、感心するような女性の声。

驚く声は言わずもがなだが、女性の方は…


「なるほどな、今の技でここの草を刈ってたのか」

「ええ、そうなりますね」


そこにいたのは女性。

そして手には驚くべき武器を持っている。

なんだあれは…

俺も全く見たことがないそれだった。

女性は俺の驚く顔を見て楽しそうに笑う。


「ふへへへ、すごいよな、そう思うよね!」

「ああ、なんだその武器は?」

「ふへへへ、まあ気になるのは仕方ありませんね。初撃を避けたご褒美として教えて差し上げます。この子の名前はデスサイズ。あなたを刈りとるものです」

「ということはやらないといけないのか」

「わかっていたのでしょ?」

「まあ確かにな」


そういう女性の武器は本当に変わっていた。

サイズと言えば、鎌だけれど、普通であれば柄があって、そこに大きな刃がついている。

ただ、それは片方のみだ。

でも、目の前の女性がもつデスサイズと呼ばれれたそれは、柄の両方にサイズの鎌が付いている。

両刃剣であればわかるが、鎌としてかなりそったものが両方についているそれに、驚きしかない。

ただ、女性はそれを軽々と振り回す。


「デスサイズ、かまいたち!」


そして、魔力を纏わせると、先ほどと同じように斬撃が飛んでくる。

なるほどな、これがさっきの攻撃ってことか!

俺は見えないはずのそれを、ジャンプして避けた。

まあ、見えない斬撃とはいえ、振るモーションでどこに飛んでくるのかはわかるのだから、簡単に避けられる。

そう思っていたが、俺の足は傷を負った。


「なに?」

「ふへへへ、驚いた?」

「ああ…」


完璧に避けたと思ったが、どうやらそうではなかったらしい。

これはまずいな。

俺は早速ポケットに手を突っ込むのだった。

そして当たり前のようにパンツを被る。

戦闘中なので、勢いよくだ。

沈黙が訪れる。

そう思っていたが、そうはならなかった。


「ふへへへ、なに?なに、その恰好!」

「まあ、ちょっとした趣味だ」

「そうなんだ!でも、それで何が変わるのか見せてもらおうかな!デスサイズ、かまいたち!」


ああ、見せてやる。

俺は二つ目の武装であるブラジャーを目につけると集中するのだった。


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